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キャスタ×ホリック  ~夢見るお姫さま 二話~ 
2006.09.05.Tue / 02:56 
比較的小奇麗な宿の廊下、整整と包装された紙箱の山と小麦色の肌をした少女、インレが歩いていた。
箱の山は重い足取りで頼りなく左右前後に揺れているが、彼女は対照的で、足に羽が付いているような軽やかなステップを踏んでいる。
一人と箱の山は廊下の突き当たりで止まった。

「ドアを開けてくれ…」
荷物から声が生まれる。
「はいっス~♪」
インレは警戒に答えつつ、薄緑色をした水晶のアクセサリが付いた鍵でドアを軽やかに開けて道を山に譲った。
千鳥足よろしく歩く荷物の山は当然ドアにすんなりと入ることはなく、縁により盛大に削岩される運命となる。
「あわわわわ」
ボーダーやストライプ、星形などの模様をした包装紙に包まれた箱を必死に落とすまいと奮闘しているインレ。
荷物の山はだいぶ減量に成功しており、目つきの悪い男、シュウが支えているのが見えた。

「ここら辺で良いか」
シュウは抱えていた荷物を文字通り放った。
箱は重いものから軽いものまで、大きなものから小さなものまで雑多なものであったが放物線は全て同じ。
鬱憤が溜まった風船売りが盛大に商売道具をばら撒いたように箱は高くない天井に留まり浮遊していた。

"―――汝、業の重きに跪け"

部屋にシュウの呪詛が響くと、箱は重力を思い出したように落下し始めた。
落ちる箱は軽音や重音などの様々な抗議の声を上げ、先ほどとは違う新たな山と、
「潰れたらどうするっスかぁ!!」
埋もれた少女が抗議を上げる、もう一つの山がドア付近に生まれた。

       ■   ■   ■      

「あっははは、それは大変だったね~」
「人事じゃないだろうが…」
綿のパンツに白いパーカーというラフな井出達のアイザックがベッドに腰掛けて笑う。
あの後、所用があるらしいアイザックとベアリクスの二人と分かれたまでは良かった。
だが、
「あーっと、インレを連れ回すならコタロウも頼めねぇか?」
「ごめん、シュウ。僕のヘルメスも頼めるかな?」
二人の使い魔のお守りまでするとは思わなかった。

「マスター!あの店行きましょうっス!」
「ぁぅ、シュウさん…コタ、あれが見たいです。」
「まぁ、怜悧さがだだ漏れているカブトムシですこと。そう思いませんか、シュウ様?」

城下街の大通り全ての店を網羅したのではと疑うほど練りまわった。
玩具屋は勿論、駄菓子屋に衣類屋、装飾屋や何故か乾物屋にも行った。
カフェで二回ほど休憩を挟んだし、美容院までも覗いた。
おかげで今は夕食の時間というには遅すぎる時間である。

道中、当然お子ちゃま達はお腹空いたの大合唱。
学院に籠もっていてはまず見ることのない三ツ星レストランのウィンドウにへばり付いた三匹を何とか引き剥がし、痛みを通り越してショック死寸前の財布をなんとか守り抜き、今に至る。

「…後でヘルメスの分は請求するからな。」
「あはは、分かってるよ。」
シュウとアイザックは部屋の一角、丘を形成している荷物の山を見た。
そこでは先ほどの使い魔三匹、インレとコタロウ、ヘルメスがわいのわいのと騒いでいる。
包装紙は乱暴に解かれ、床に散乱。見るだけなら正に子供の国といった風情。

インレは真っ白いレオタードに浮き輪とシュノーケルを装備。今は駄菓子に熱心している。
デニムの半ズボンに何故か白のキャミソールを着たコタロウ。異様に似合っているが女物だと言うのは躊躇われた。
ヘルメスは相変わらず暑苦しいゴシックなエプロンドレスを着たままで、老後のハウツー本を読み漁る。

「でっきたぞー!コタ、運ぶの手伝え!」
部屋の端に申し訳程度に設えてあった簡易キッチンで苦心していたベアトリクス。
彼女の部屋から持ってきた、薄ピンク色のエプロンを脱ぎ、ソファーへと放る。
「うんっ!」
コタロウは耳をぴくんと震わせたと思うと厨房へと駆け込み、慣れた手つきで配膳。
宿の女将から借りた大皿に乗った魚介のスパゲティや骨付きリブの盛り合わせ、明らかに人数分以上ある山盛りサラダなど次々と運ばれる。
シュウは駄菓子を貪るインレの頭を軽く叩きテーブルへ着いた。

       ■   ■   ■

「ベアトリクス様作、特製フルコースだ!食らいやがれっ!」
「「「いただきまーす。」」」
「戴こう。」
「戴くね。」
三者三様の挨拶で晩餐が始まる。

ベアトリクスの性格が良く現れた豪快な料理は見た目はそれなりだが、味はと言うと、
「美味しいっス!」
とインレが涙するほど美味であったりするわけである。

「へへっ、ありがとなっ、インレ。」
照れるベアトリクスと餓鬼と化した使い魔三匹。
「さ、シュウ。僕らも食べよう。」
「そうだな。腹が減っては、と言うし、明日に備え食うに越したことはない。」
「うへぇ…仕事の話はなしにしようぜぇ…」
ベアトリクスがうんざりとした顔でシュウに抗議する。

「珍しい。明日のはお前好みの仕事じゃないか。」
「嫌いじゃないけどよぉ、やっぱ飯時は健康な精神で居たいワケよ。」
とベアトリクス。獣の様に骨付き肉を食み、
「ま、私が勝つのは決定事項だけどよ。」
この言葉が癪に障った者が居た。

「か、勝つのはマスターっスよ!」
木の器に山の様に盛ったサラダを抱えつつインレが立ち上がる。
まだ口内に菜っ葉が残っていたのか何度か咀嚼を繰り返しながらだ。
行儀が悪いぞ、とシュウが諌めようとするが、
「ふふん、勝つのはわ・た・しだぜー」
アヒル口になったベアトリクスがインレに向かって先に牽制。
親指を立て、胸に軽く突き刺し誇らしげである。こちらはからかい半分だが、
「違うもん違うもん!マスターが勝つんっス!」
インレは顔が真っ赤。

「くくっ、主人冥利に尽きるね。」
鳩の様に笑い、にんまり顔で小さく耳打ちをしてくるアイザック。
「…うるせっ。」
まだ口論を続けているベアトリクスとインレ。
骨付き肉を持ちながら喧嘩を止めようとするが、肉が気になるのか視線が泳いでいるコタロウ。
無表情、高スピードでライスをかっ込むヘルメス。

そんな光景を見ながらシュウはゆっくりと立ち上がり、
「アイザック、お前の部屋のベッド借りるわ…」
シュウは操られた人形のほうがまだ勢いがあるのではないかと疑うほどの足取りで退出した。


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