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覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第四幕~  
2006.07.09.Sun / 04:14 
風は目に見えない。だが葉や木々、水面など煽り揺らし奏でることで確かに私はここに在ると主張する。
八神はガラスのティーカップを置き、天井に嵌められた大きな採光窓から枝葉が靡く功刀の木々を見た。
ガレージの中はとても静かで、山全体の木々の囁きが聞こえる。
(平和だなぁ…。)
「あの…先輩?」
落花が手をぱたぱたと軽薄に振り八神の注意を引こうとするが、当の八神の焦点は遠くへと合っている。
「ウチ高所恐怖症で、飛行機に乗るだけで身体がガチガチになるんですわ。そんで…うわ墜落、ってな感じで…。」
「だったら何で飛ぶんだよ!!」
「あ…あははははははは…やっぱり飛行機が出来たら飛ばせたくなるやん?ガンプラのキュベレイ作ったらハマーンになりきって遊ぶ、みたいに。」
「ならないっ!」
「なんやて!?じゃあシャアザクかいな!?」
「そうじゃないから!!」

息も切れ切れに肩を上下し、八神は落花に食い入るように睨む。
「…天空橋嬢、八神はそういう事が言いたいのではないのだよ。」
今まで深と口を噤んでいた左蔵がゆったりとした優雅な動作で立ち上がる。
右手でオールバックのサイドを掻き揚げ、梳き、整えてから口を開いた。
「ガンプラは飾るタイプなのだろう。」
「あー、それもアリやな…」
「だ・か・らっ!!」

なんで最近こんなに疲れるんだろう、と八神はごちる。
一年の頃は自分から交友範囲を広げようとは思わず、積極的に他人に話そうとはしなかった。
それでもちらほらと変人は居たんだけど、嫌でも気付くほど色濃くなってきたのは二年になってからだ。
恐らく新撰組を拝命し、他人に干渉することになってから。
…そうか、疲れる原因は明白だった。
(ウチの学校は変人が多かったんだ。)

ちょっと別世界へ行っていたようだ。
帰ってくるのは簡単で、八神はくんくんと袖を引っ張られた事により元の世界へ戻ってきた。
制服の袖を引っ張っていた主は鮎で、
「あれあれ、あれ見てよ」
引っ張る手と逆の手、小さな丸っこい手は人差し指だけぴんと伸ばされ、その先は壁へと激突する。
木目調の壁には一枚のポスターがピンで止められていた。
日焼け具合から張られて真新しい事が解る。上質紙のなかなか大きなポスターだ。
光輪を纏う太陽と蒼穹を背景に躍動感溢れる飛行機が一機、飛んでいた。
俯瞰で撮影されたその写真の空いたスペースには、
「第2回メイプルズカップ開催?」
そう読めるゴシック体の大きな文字が躍っていた。

何やら左蔵とガンダム談義に花が咲いていた落花がハッとした顔でこちらへ振り向く。
「あー、それ…飛行機のレースなんですわー。」
「飛行機レース?」
「そです。学生オンリーのイベントで、全国の飛行機ファンが自作の機体でレースをするんや。去年から始まって歴史は浅いんですけど、大手の企業がスポンサーやから規模もそりゃもうスゴいのなんの。その手の雑誌にも大々的に掲載されてるビックなレースなんや。」

(そういう事だったのか…。)
「君はそのレースに出場したくて、自作の機体を製作、整備した。そして高所恐怖症だけど…テスト飛行してたわけ、ね。」
「あれは…ホントすんません。…でも、ちょい違います。ウチは出なくても良いんです。飛べなくても良い…。でも、あの子だけは…どうか飛ばせてやりたい…。多くの飛行機のトモダチと一緒に、大空を飛ぶことをあの子に教えてあげたいんですわ。ウチは飛ばなくても良いんや…。なんせ高所恐怖症やし、それに…今は作るほうが楽しくて楽しくて。」
落花ははにかんだまま笑い、きゅっと肩を竦める。
『あの子』というのは部屋の中央にある骨組みの飛行機のことだろう。
「たとえビリでも良いから…。あはは、こんな事言ってたら、甘っちょろいわぁ!って言われそうやな。あははは…は…。」

彼女の乾いた声がガレージに消える。
どう言葉をかけるか八神は迷っていたら、鮎が落花の肩を優しく叩いた。
そのまま先ほどと同じく、指をポスターに向ける。
「ほら、ラッカちゃん、一番下を見て。」
クエスチョンマークを浮かべる落花はリスの様に小首を傾げ、大き目のポスターの下にあるのはごちゃごちゃと書かれた大会規則か。
落花は視線をじわじわと左から右へ移る。移動するにつれ、視線は彷徨い、顔は貧血のように青ざめる。
「ね?参加条件は二人で一組なんだよ?操縦士と、副操縦士。」
鮎は一つ目の浮遊する悪魔の如き死の宣告をつげ、肩に掛けられた手は離れた。
それは落花が崩れ落ちたからで、床にひれ伏し「頭→orz←足」の様になっていたりする。
「気付かんかったー……。高所恐怖症はなんとか我慢しようと思ったけど…さすがに分身は出来んわ…」
テニス部に入らんとあかんかー…空ならアクロバットはやろうと思えば…などとぶつぶつ揚々なく何やら言っているが正直怖かったりする。

「搭乗者は免許とか持ってないと駄目なのかな?」
(言ってしまった…。無意識に。)
その言葉を受けて落花は顔を上げた。
彼女の顔は豆の電動ガンを喰らった鳩の様に呆けた上、ぽかーんと口をだらしなく開けている。
左蔵は何も言わずに深く椅子に腰を掛け、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべながらカップに口を付けていて、鮎なんかは必死に笑いを堪えていたりする。剣信は相変わらずの無表情だが少し心配そうだ。
(あー、もう仕方ないだろうが。このまま放って置くのは男としてどうだ。うん。)
「いえ、レース中はスポンサーが制空権を買い占めた、とかなんとかで免許は要らないってゆーてましたが。」
「なんじゃそりゃ無茶苦茶な…。でも免許も無いヤツがそう簡単に操れるもんなの?」
「大抵の学生は持ってないですわ。ライセンスは日本では17歳から、アメリカでは15歳からやから。…でも、自宅に小型があって、小さい頃からナイショで乗ってたゆう人は結構操縦出来るさかい。ウチもそんな感じやし。」
「なら平気か…。じゃあ、僕乗ってもいいかな?前から乗ってみたかったし天空橋さんと二人だから、これで晴れて――」
そう言い終わらないうちだ。
「ダメですっ!!!!」
落花は大音声を上げ力の限りで否定する。
顔からはどんどん血の気が失せて、目は大きく開かれ忙しなく揺れ、虚空を彷徨う。
「ダメですっ!!!!」
再び強く否定。落花の表情は硬く強張り痙攣を起こしている。恐ろしいものを見たような、そんな顔で。

「ラッカちゃん、落ち着いて、ね?」
鮎は咄嗟に駆け寄り、糸の切れた傀儡の如き落花の肩を抱く。
ぽんぽんと背中を擦るうちに落花は次第に落ち着きを取り戻し、
「あ……すんません…ちょっと混乱して…。ただ八神さんが嫌で乗せられないという訳ではないんです…。むしろ好きな部類や。二人で乗ると襲われるー!とかやなくてな……ただ、色々あって乗せられないんや。ウチには人のイノチ抱えるゆーのは、重すぎる…。レースがペアなら…諦めますわ…。」
(何か重大な事をさり気なく言われた気もするが…)
彼女はすっかりと消沈。ろうそくの火をふっと吹いて消したような寂しさが漂う。

八神は目を閉じ頭を振り肺腑から大きく長く息を吐き出した。
びくりと落花は萎縮する。呆れられたとでも思ったのか。
(違うよ……)
胸の中でそう呟き、心のスイッチを入れてから目を開く。八神の瞳には意思の光が強く宿っていた。

「操縦士は僕だ!」
高らかに八神は叫び、勢いは殺さぬまま立て続けに、
「免許が要らないなら僕だって出来るよね?…天空橋さん?」
落花はヒマワリの種をぶつけられたハムスターの様に何が起こったか解らないという表情をしているが、なんとか声を絞り出し、
「確かにだいじょぶです…やけど、さっきも言った通り二人で乗るのは…ウチ…」
それでも視線を合わせずに目は地面の木目をなぞっている彼女。
だが、その彼女の声は破られることになる。鮎によって。
「副操縦士はボクだっ!ってゆーかミコト、操縦代われー!!」
(あはは、やっぱりな…)
鮎は今頃天に浮かんでいる太陽の光なんか見劣りするほどの輝かしい笑顔。

「は、はぇ?」
油揚げを齧ろうとしたらそれはロウで出来た展示品だった子狐の様な、驚きの局地の顔をする落花に、八神は告げる。
「クルーは集まりましたよ。あとはオーナー、天空橋さんの御心のままに。」
先ほど大食堂に居た執事セバスのように、静かに片手を添えてやうやうしく一礼する。
(ん、ちょっとキザだったかな。)
落花といえば目を白黒させてわたわたと手をばたつかせている。飛ぶ気なのだろうか。

「な、なんで皆さんはウチのためにそんな…」
(よし、ちょっと驚かせてやろう。)
八神はにやにやしそうなのを自制しつつ、高らかに宣言。

「えー、おほん。覇道高校、新撰組!今回は飛行機同好会の助太刀をいたします!」

「え…ええーっ!?」
大仰に仰け反り、大きな目をこれでもかと限界突破並に開き驚愕する落花。
未だ紅茶を吟味していた左蔵は顎に人差し指の背を当てて、ふむ、と言い、
「承知。」
短く、だが力強く答えてくれた。
剣信は無言のまま、こくり、と首を立てに振り肯定。
落花はかくかくと末期のハムスターみたいに震えながら、八神と左蔵、剣信、そして鮎をゆっくりと順に見つめて、
「あの…ひょっとして新撰組の方たちで?」
「正式隊員はそこの八神一人。我輩等はアルバイトの様なものだ。」
「…そうだ。」
「ボクはあまりにもミコトが頼りなくて不甲斐ないから手伝ってるのさっ!って痛っ!」
八神は落花から見えない様に鮎を小突いてから、

「僕らは困ってる人を捨て置けない、そんな偽善な迷惑集団です。もしよかったら、手伝わせてもらえますか?」

すっと手を差し伸べた。










△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

【あとがき】

雪都「恋のまじないー♪」
舞鬼「みくるビーム♪」
雪都「かけてあげるわー♪」
舞鬼「Come on let's dance♪」
雪都「Come on let's dance♪」
雪都&舞鬼「maybe♪」
舞鬼「涙を拭いてー♪」
雪都「走り出したら♪」
舞鬼「Come on let's dance♪」
雪都「Come on let's dance♪」
雪都&舞鬼「maybe♪」
舞鬼「空の彼方、へー(裏声♪」
雪都「すぺしゃるじぇねれいしょんー♪」
舞鬼「いつになったら、大人になれるの、かなっ?(台詞」
雪都「恋のマジカル♪」
雪都&舞鬼「みっくるんるん♪」


舞鬼「はぁー楽しかったー!」
雪都「(死にてぇー…)」
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テーマ:連載小説 - ジャンル:小説・文学
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--優しくビームや、--

優しくビームや、ミコトや、血の気と、
油揚げと、しょとか告げる
雪都は、ヤツなどを
(しなかったよ。


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