ADMIN MENU ≫ | IMAGE | WRITES | ADMIN
スポンサーサイト 
--.--.--.-- / --:-- 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第二幕~  
2006.07.05.Wed / 04:02 
八神は後方から飛行機の車輪が大地に接触する音を聞いた。
皮のソファーを指で擦った様な甲高い摩擦音が鼓膜を震わせる。
「ぅゎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!」
巨大なプロペラが風を掻き分ける中、半狂乱の操縦士の声が迫る。
八神はナコトを再び見た。
彼女は硬く目を瞑り、先ほどと変わらない格好のまま草原へとうつ伏せている。
その姿には怯え一つない。
(信じてくれてるのか…。それとも事態を把握しきれてないか…。…前者だったら良いな。)

『魔道書』であるナコト(勿論知る人はごく少数の極秘事項だ)は図書委員会長と厳重な約束を結んでいる。
それは、
(魔法を一切使わないこと、か。)
それが大前提としてナコトは一生徒として暮らすことが許されている。
当然破れば元の図書室暮らしへ戻ってしまうだろう。
真面目なナコトは厳格に約束を守っているが、もし何故か慕っていてくれる僕に危険が起こったならば…多分、魔法を使う、と思う。
(こんな事じゃ駄目だ…。折角ナコトは自由になったんだ。また隔離の生活になんて戻らせはしない!)

八神は中腰で低く屈んだ姿勢で立ちあがる。
そのままナコトへ向かい走った。
「え。」
よく解っていない声を上げるナコトの腰を掴み、なんとか片手で拾い上げる。
(間に合えっ!!)
大地を踏み抜く心持で八神はナコトを抱えたまま身を投げた。
半回転し、自分が下となり地面に背から着地する。
刹那、先ほど八神が位置に車輪が轟音を立てながら通過。
二枚翼の影が二人を包み込み、そして再び陽光が差す。
「助…かった。」
クラシック型の飛行機は芝を巻き上げつつ惰性で100メートルほど丘を走り、そしてゆっくりと停止した。


           ■      ■      ■


「ふむ…遅いな…」
覇道高校大食堂。左蔵たちは先ほどと同じテーブル、同じ椅子に腰掛け、当然同じ位置に居た。
オールバックの青年、左蔵が左袖をまくり銀色の時計に目を移す。
三時半。
三時には八神、ナコトと合流。お茶会がてら会議の予定だったのだが――
「来たぞ…」
ずっとコーラが入ったグラス(コーラは底に沈殿し、氷は溶けて二層に分かれている)と睨めっこしていた剣信が立ちあがり、小走りに席を離れた。
その先にはナコトと飛行服を着た人物、そしてその二人に肩を担がれている八神が居た。
剣信はその一団となにやら一言二言交わし、ひょいと八神を背負う。
なにやらじたばたと暴れている八神だったが観念したのか大人しくなった。



「大丈夫だ、って言ってるのに…」
剣信の背中から降りた八神は木製の椅子に背中を預けため息と共に苦笑する。
「して、どうしたのかね?」
左蔵は八神とナコト、謎の飛行士と順にみつめて問うた。
「えと、それはウチが…」
その中の飛行士がすっと立ち上がる。
ゴーグルをしていたのでいまいち解らなかったが、まるで今気付いたように(実際今気付いたのだろう)ゴーグルを外せば女性だった事が解る。
日に焼けた肌に金髪がよく似合っている。髪は恐らく天然だろう、両目が鮮やかな空色をしていた。
背は高くもなく、小さくなく、と言ったところか。

「お嬢さん、尋問し様と言う積りではないから席に着いて構わんよ。座りたまえ。」
左蔵は右手をおもむろに掲げ、指をぱちんと鳴らした。
するといつの間に控えていたのか、銀髪の初老の執事が現れ、盆には飲み物が三つ置かれていた。
「お紅茶で御座います。」
その執事は慇懃に飛行服の女性の前に紅茶を差し出し、
「八神様はメロンソーダで御座いましたね。」
「あ、すいません、セバスさん。いつもいつも。」
「勿体無いお言葉。」
セバスと呼ばれたどう見ても日本人の執事は陽だまりのような笑顔で頭を下げる。
「ナコト様はホットミルクで御座います。」
「あ。ありがと。」
「よし、下がれ。」
「はっ、坊ちゃま。」
セバスはカツン、と靴の踵を合わせ一礼。
そのまま食堂の出口へと足音も立てずに退室する。

飛行服の女性は金魚のように口をぱくぱくと開閉。
「…気にしちゃ駄目です。」
八神は達観を含んだ表情で微笑みつつ、メロンソーダへとストローを差し込んだ。
「は、はい。えと、どこまで話たんかな…」
まだ手にしていたゴーグルを外し、羽毛がついた耳垂れ付きの飛行帽を脱ぎ、テーブルへと置いた。
「まだ何も話してないよ…」
ぼそりと呟く八神に飛行服の女性は礼を言い、そして話し始めた。

「ウチ…じゃなくて…ワタシは…」
「自然体で話して構わんよ。」
「あ、はい、すんません。ウチは一年の天空橋・落花(テンクウバシ・ラッカ)言います。飛行機同好会の部長してますん。」
「一年で部長、それはまた。」
「あはは、不甲斐ないですが…。それでですね――」
落花と名乗る部長は独特のイントネーションでとつとつと語った。
「今日は自作飛行機のテスト飛行でしたん。天候の心配もなく、絶好の日和だと思たんです。せやけど…途中で調子が悪くなって…緊急着陸しましてん。その時、八神さんを…その…轢きそうになってしもうたんですわ。えろうすんまへん!」
がたりと落花は椅子を蹴るように立ちあがり、八神とナコトに向かい何度も何度も頭を下げ、何故か左蔵と剣信にも下げている。

「いや、何度も言うけど気にしないでいいって天空橋さん。」
「やけど…」
「背中はちょっと打ったけど別に痛まないし、もう平気だよ。」
「……えろう、すんまへん。」
もう一度、落花は深く頭を下げる。

「…和解したかね。八神も五体満足な様だ。我輩が言うのもなんだが、そろそろ頭を上げたらどうかね?」
「うん、事故なんだしさ、気に病まないで、ね?」
「はい…すんまへん…。」
「あはは、だから謝んなくていいってば。」
「でも…」

八神は少し困った顔で、メロンソーダに口を付ける。
グラスから鮮やかな緑色の液体が無くなり、からん、と乾いた氷の音が響く。
「そうだ、じゃあ、部室見てもらっても良いかな?飛行機って近くで見る機会あんまないしさ。その見学料でチャラってことで、どうかな?」
「え、そりゃもちろん構いませんけど…そんなんでええんですか?」
「うん、興味あるし。みんなはどうする?」
「では、我輩も同行するとしようかね。」
「俺も行こう。」

左蔵と剣信の同意が得られた。
落花は机に置いたゴーグルと帽子をベルトに掛かったポーチの中に収めて、
「それでは皆さん、行きましょか。」
「あ、ちょっと待ってくれる?」
八神は先ほどからちらちらと視線を送っていたほうに今度はしっかりと狙いを定め、疑問をぶつける。

「そういや、なんでさっきから鮎は机に突っ伏したままなんだ?」







△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

【あとがき】

雪都「すぐ終わる予感だったんだけど…これはまた長くなる…かも?」
鮎「あれ!?ここどこ!?」
雪「三途の川です。お前はもう死んでいる。」
鮎「あ、思い出した!ボク、エクレア食べてたはずだよ!」
雪「うん。だから。」
鮎「死因がエクレアなんて嫌だぁ!」
雪「正確にはワサビエクレアと普通のエクレアとのコンビネーションにショック死」
鮎「うわぁ…ボク的情けない死に方ベスト10に入りそうだよ…」
雪「ちなみに一位は?」
鮎「エロゲ屋の前に徹夜で並んで凍死」
雪「それは…」
スポンサーサイト
テーマ:連載小説 - ジャンル:小説・文学
COMMENT TO THIS ENTRY
   非公開コメント  
スポンサーサイト覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第二幕~ のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

雪都

Author:雪都
name:雪都
age:20
sex:♂
condition:神様、ゲームを最後まで続ける力をください

messenger☆
heart_to_heart_symphony
@hotmail.com

mixi☆
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=1880641

カウンター

ペット

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

doumei


CopyRight 2006 君と私のクロニクル All rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。