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キャスタ×ホリック 『バカ野郎に花束を ~最終話~ 』  
2006.06.23.Fri / 05:07 
空には飽きることが無く雲が流れていた。
丘の頂に虹のように架かっていた石のアーチの姿は今は無く、膨大な量の石片が墓標のように風の丘に刺さっている。
瓦礫の中、二つの人影がひょっこりと現れた。
全身黒ずくめのスーツを着込んだ目つきの悪い男が丘を端から端まで見回し一度小さな嘆息をする。
「事故ってことに…ならないよな。」
黒服のシュウの隣にいる体格が良い女――高原の少女に似合うだろう純白のワンピースに陸軍払い下げのジャケットを着込んでいる――ベアトリクスが誰に向けるとなしに答える。
「ま、まぁ、私たちの命と比べれば安い犠牲だって。」
「俺らにアイザックを足したとしても、この遺跡のほうがなんぼか価値があるぞ。」
「…………。」
「…………。」
はっきりと無言が丘に響き渡る。
沈黙が支配者となった中、二人は口を開かず黙々とある地点へと歩き始めた。

その地点は先ほどシュウが連鎖瓦解の魔術を解き放った地点であり、その魔術で出来た巨大なクレーターにバジリコックが落ちた場所でもある。
クレーターにはアーチを形作っていた岩石が積もっていた。それはクレーターに落ちたバジリコックの上にも当然――
「死んだか…?」
「いや、気絶、と言った所か。」
シュウは穴に目を向け、ぴくりとも動かない巨大な爬虫類を確認する。
呼吸はしているようで、緩やかに口から火の粉が舞っていた。
「なら起きたらよ…」
「大丈夫だ。危険と解ればもう近寄らないだろう。痛手を負っているし、目が覚めればきっと巣に帰る。」
「なら…任務完了だな。一時はどうなるかって思ったけどよ」
ベアトリクスは両手を腰のくびれに宛て、空を見上げる。
シュウは背広の裏地に縫いこんだ鞘から隠しナイフを取り出し、クレーターから出ているバジリコックの片腕へと近寄る。
「すまんな、一本貰うぞ。」
「あっ、私のも慰謝料ってコトで!」
「はいはい…」
人一人はゆうに踏み潰せる足から生えた四本の爪。
成人男性の腕ほどの大きさはあるだろうか、その爪の先端を黒塗りのナイフで二本切断した。
「危ないから気をつけろよ。」
シュウは二つ皮袋を取り出し一本ずつ中に仕舞う。
一つを腰に下げ、もう一つをベアトリクスに放り渡す。
「サンキュ♪」
「よし、帰るぞ。」

シュウは踵を返し、丘の下に広がる遺跡へと足を向ける。
ベアトリクスは慌ててシュウを追いかけた。


        ★  ★  ★


「何ゆえ正座させられているか、解るかの?」
鏡面の如く磨かれた大理石の部屋、園長室。
壁の一面だけは前面ガラス張りとなっていて、そこから覗く夕陽が部屋を鮮やかな緋色に染上げる。
床に長い影を伸ばすのは一人の少女だった。
年は十代後半に見えるが言葉遣いがえらく古臭い。
派手な色彩の杖(羽が生えていたり、拳大の水晶が取っ手の部分に付いていたりする)でぺしぺしと手のひらを打ちつつ、悠然と立っている。
見下ろす視線の先には正座をした二人の男女が居た。

「学園長」
男、シュウが仁王立ちする少女に顔を向けるが、その少女はそっぽを向き口を硬く閉ざしている。
「……………お母さん」
「なんじゃ?」
間髪居れず返答する少女。シュウは一旦目を深く閉じ、深呼吸とともに告げる。
「バジリコック退治は成功したのですが」
「…そして丘の『天麒麟の輪』も退治というワケじゃな」
少女は三白眼でそれぞれシュウとベアトリクスを交互に睨め回す。
「バレてたか…」
「ぁぅ…」
「当たり前じゃ!このうつけがぁ!」
少女は杖でばつの悪そうな顔の二人を殴打。
声にならない呻きを上げ、両手で頭を押さえ転がりまわる二人の男女。

「この魔女スカサハの目を誤魔化そうなぞ――」
スカサハの一喝はそこで途切れた。
樫製の重厚な扉がノックされたからだ。
「――入ってよいぞ。」
扉が軋みの悲鳴を上げ、ゆっくりと開かれる。
「失礼します。シュウとベアトリクスが帰還したと聞きましたので。」
ほんわかした表情を浮かべる中性の顔立ちをした男がそこに立っていた。
短く刈られた緑色の髪が夕陽に混ざり、結構エグイ色になっている。
「っつつつつ……アイズか?」
「うん。」
アイズと呼ばれた青年は柔らかな笑顔でシュウに答える。
「えと、先ほどの話ですが…あ、いや、立ち聞くつもりは無かったんですけどね…」
少し申し訳なさそうな顔でアイズ――アイザックは続ける。
「『天麒麟の輪』は僕とシュウとベアトリクスの魔術で直すということで…。もちろん時間は掛かるでしょうが、直して見せます。」
「それは既に決定済みじゃ。怒っているのは隠そうとしたことなのじゃ。」
「あー、それは庇えませんねー。」

もう一度スカサハは杖を振り上げ、大気を裂く低音を纏わせつつ再びシュウとベアトリクスの脳天へと打ち下ろした。
「~~~!!!」
頭蓋から嫌な音が響いたシュウはもんどりうってびくびくと痙攣を起こし、ベアトリクスはもはや動かない。
そんなドメスティックでバイオレンスな躾を見つつ苦笑いのアイザック。
「に…しても…何でアイズが?」
一文字一文字思い出すようになんとか言葉にするシュウ。
アイズはきょとんとした表情で告げた。
「だって、元はといえば僕が悪いんだし…」
「…は?」
「なんじゃ?知らんかったのか?アイザック教師がバジリコック捕獲の為に餌を遺跡に撒いたんじゃが、予期せぬ大物が掛かってしまったというワケでな。」
「いやー、焦ったよ。一人じゃとても太刀打ちできなくて…ってあれれ?」

シュウは幽鬼のようにゆらりと佇んでいた。
ベアトリクスもいつの間にか立ち上がっていて指の関節を鳴らしている。
「二人とも、落ち着こう?ね?ね?」
尋常じゃないほど冷や汗を垂らしているアイズの声は無残に響く。

「貴様が…貴様が…」
「犯人かぁあああああああ!!!!」

シュウとベアトリクスは示し合わせたように皮袋からバジリコックの爪を取り出し、スローイングダガーの要領で投擲。
まるで猛毒を持った二本の爪がアイズの額に深々と刺さった様な形の影が、それはそれは綺麗に床に映ったという。



(おわり)


△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

【あとがき】

雪都「予定より一話増えましたが無事、何事も無く終了です」
コタロウ「それ、無事って言わないんじゃ…」
雪「なんだと!?」
コ「ななななんでもないよ!なんでもない!」
インレ「それよりアイザックさんマズくないっスか?顔色が面白いように紫っス」
コ「嫌ぁあああああ!!!アイザックさん!?アイザックさん!?」
雪「はっはっは、落ち着けみんな。」
イ「逆に考えるっス」
コ「えぐ…ひくっ…ぎゃくにぃ?」
雪「この駄文はコメディで出来ています。」
イ「次の話にはきっとにゅるりと元気になってるっス」
コ「…ほんと?」
イ「だって『あの子』のマスターなんスよ?」
コ「あ、そっかぁ…」
雪「あとがきでアイズの使い魔の複線を書くという、なんともズルイ方法ですが」
イ「いつか始まるキャスホリの話に書かれるんじゃ無いっスか?」
コ「そ、それまでみなさん」
一同「しばしのお別れー!…っス!」
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