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キャスタ×ホリック 『バカ野郎に花束を ~二話~ 』  
2006.06.12.Mon / 04:59 
オルムズド大学園。

敷地は峻険なる峰に囲まれた広大なる盆地を半分ほど占め設えられている。
平らかな敷地の中心に一際高い四角柱の塔が建つ。時計塔である。
四角柱の先端には冗談の様に大きな円盤が付いており、一から十二の数字が外周に沿って刻まれていた。
短い針と長い針が各円盤二本付いており、時を刻む。

その時計塔を緩い三日月状に囲んで存在する一際豪華な建物が居住館。
全寮制なので生徒は勿論のこと、上位階には教員も住んでいる。
その居住館を時計塔を挟み対称となって居るのは研究館。
外部構造は居住館と変わらないが、こちらは蔦が巻きついており外壁が少々崩れ歴史を感じさせていた。
柵などは無く、外部との境界を敢えて挙げるなら時計塔を囲む居住館と研究館であるか。
学園の周囲には手付かずの鬱蒼とした森や鏡面の様に空を映す湖。
そして暫く離れたところにはそれなりに大きな街があった。

そんな学園の研究館の一室。
『シュウ教室』と金字で彫られた黒色の表札が掛かる扉を叩く者が居た。
眠たげに端が下がった眼をした長身の男で歳は十代後半。
酸化した黄金を思わせる色の曲がある髪は肩ほど迄伸ばされている。
黒い皮製のジャケットに黒光りした皮パンツにローファーを履いていた。
皮製の衣服には悉く銀の鋲や用途不明のジッパーがごたごたと付く。
首には凶悪な棘が付いた首輪を下げていた。

「はぁ~い、っス!」
扉の向うからは間延びした声がする。
ドアノブがガチャリと回され開き、健康そうな肌の少女が顔を出した。
明らかにサイズが合ってないだぼだぼの深紅のローブを床に引きずりつつ、
「ん?コタロウじゃないっスか。」
「あぅ、インレ…ち、ちょっと時間いいかな?」
コタロウと呼ばれた長身の男はしどろもどろに告げる。

少女のインレは頭を掻きつつ、
「今マスターが出かけてるから、自習任されてるんス。」
「うん…コタもご主人様が居なくて自習任されてるんだ…でも…でもね?」
コタロウは腰に付いたチェーンをじゃらりと音を立て肩を竦める。
長身のコタロウは俯きつつインレの顔を伺い、
「生徒に質問されてね…?それが…わ、解んなくて…聞きに来たんだけど…」
語尾に近づくにつれどんどんと小さくなっていくコタロウの声。
インレは一瞬呆けるような顔をし、一拍おいてため息を付く。

「ごごご、ごめんねっ!ごめんねっ!」
コタロウはぺこぺこと腰を折りインレに何度も頭を下げた。
その度に皮の衣類に付いた金属がジャラジャラと音を鳴らす。
「…主の留守くらい補ってこその使い魔っスよ?」
「うんっ、ごめんね…コタ、駄目な子でごめんね…」
「別に責めてないっスよ。て言うか、泣くな男の子!」
「ひっ!ごめんねっごめんねっ!」
「ぁー…、取り合えず教室の中に入るっスよ。」

インレは大きく扉をあけ、コタロウに中に入るよう促す。
コタロウは眼の端に薄く滲んだ涙を拭い、ぱっと顔を上げる。
側頭部にぴょこんと跳ねている犬耳が揺れた。
「あ、ありがと!インレ!」
「…耳が出てる耳が出てる」
えぇえっ!?っと目を見開き、頭に付いた耳を両手でぺたぺたと撫で付ける長身の男、コタロウ。
インレは半眼でコタロウを見つめた。
「飼い狼は飼い主に…カケラも似ないっスね…」

       ●

「私のために生贄になってくれぇぇえええええええ!!」
「全力で断るわボケぇぇぇぇぇぇええええええええ!!」
忘れられた太古の都、名も無い遺跡に一組の男女と、
「くぅるるるぉおおおおぉぉぉ!!」
一頭のバカでかい爬虫類が一列になって駆け巡っていた。

見渡す限りクリーム色をした石造りの街を一同は破壊の限りを尽くし練り周る。
現代と、いや現代以上に平らかに整備されているのではないかと思える石畳は最後尾の大型爬虫類が踏み砕く。
オオトカゲの高さは十メートル以上、幅二十メートル、全長は三十メートルは在るだろうか。
砂漠の砂のような鮮やかな黄色で処々に灰色の斑点が浮かんでいる。
頭には冠にも見える駁が見える。
バジリコックが爬虫類の王と呼ばれる由縁である。
凶悪な歯が覗く横に広い口からは鞴の様に呼吸が送り出され、それと共に高温の火炎が洩れる。

「ちっくしょう!先手必勝、燃え尽きろ!」
シュウの後ろを走る長身の女性、ベアトリクスが自棄を伴った声を吐き出し右手を後ろでに翳した。
すると周囲の空気が張り詰め、水を注がれた氷のような音が空間に奔る。

"―――三千世界の鴉を殺せ"

「バカっ!やめ…」
シュウの静止も間に合わず、ベアトリクスの掲げた手から幾条もの光の帯が放たれる。
一つ一つが炎上の『可能性』を含んだ熱波である。
視界に入れるだけで眼が焼けるような眩い光を発する熱波の帯はバジリコックの頭部に突き刺さった。
目標を穿ったベアトリクスの魔術は膨れ上がり噴煙を巻き上げ爆砕する。
「ふふん、どんなもんだい。」
ベアトリクスは徐々に走るスピードを落とし、立ち止まる。
シュウも足を止め、もうもうと巻き上がる黒煙を伺い見る。

「最初からこうすれば早く終わったんだよ。楽勝楽勝。」
ベアトリクスは揚がった息を整えつつ、額に浮かんだ汗を手の甲で拭う。
大きく突き上げられた白ワンピースの胸元をぱたぱたと扇いでいた。
身を前に掲げ、上目遣いでシュウに自慢げな顔を向ける。
だがシュウはまだ煙を巻き上げている地点を見つめており、
「いや…残念ながら終わりはもうちょっと先のようだ。」
すっ、と指で示した。

颯々と遺跡を撫でる風が徐々に粉塵を取り除く。
爆発地点から同心円状に瓦礫と化して居たが、一つだけ変わらぬものがあった。
「ぐるるるるるぅぅぅぅぅ……」
濃い金色の目がぎょろりと一回転。
そしてベアトリクスに焦点が向けられる。

「あたしは本気で撃ったぞ!」
「ほう、さすがは砂漠出身。熱いのはなんのその、か。」
「んなんで納得出来るかぁ!」
ベアトリクスはなにやら納得顔のシュウを張り手で倒し叫んだ。

       ●

「そういえば、コタロウのマスター…ベアトリクスさんも居ないんスか?」
シュウ教室。比較的賑やかな自習風景の中、一つの空いた机にノートを広げインレとコタロウがそれを挟むように座っている。
「うん…コタのご主人様は学園長に呼ばれて、おでかけ。」
コタロウは教科書から顔を上げ、インレに向ける。
金色の曲がある毛が生えてた犬耳がぴょこぴょこと揺れている。
インレは眉を寄せるが皺は出来ない。
うーん、と唸り思案顔をし、
「ウチのマスターもさっき学園長に呼ばれたんスよ…」

さぁっ、と二人の顔から血の気が失せ顔色が真っ青になる。
「どどどどどどうしようっ!?」
「どうするも何も…っス」
コタロウのマスター、ベアトリクスと自分のマスターのシュウが犬猿の仲というのはインレも良く知っていた。
別に積年の恨みだとか、親の敵だとか悪意に満ちたものではなく…
(あの二人…水と油っスからねぇ…)
我ながら良い例えだ、とインレは肯く。

「けんかになりませんように…」
「祈るしかないっスね」

長身の体を小さく竦め、手を組み祈っているパンクな服装をした使い魔、金狼のコタロウ。
イスの背もたれに力なく背中を預け、頭を後方に反らし緩いブリッジを描く使い魔、黒ウサギのインレ。
二人のため息が騒がしいシュウ教室に溶けて消える。





△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


【あとがき】

ホントは二話で終わる予定だったが、コタをどうしても出したかった。
後悔はしていない。まったく。まったくだ。
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テーマ:なんかヘンな物語 - ジャンル:小説・文学
COMMENT TO THIS ENTRY
--きのう、整備しな--

きのう、整備しなかった。
いやここへ生贄は居住したかも。

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