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覇道高校、新撰組! 第十六幕 
2006.06.04.Sun / 05:17 
「はっ…!あぐっ…」

非情にも輝く月光が蹲る影を廊下に映し出す。
響くのは声では無い。胸の中央に深深と掌底を叩き込まれ肺腑から搾り出された呼吸が喉を震わせる音。
それは―――クトゥグアから発されるものだった。
彼の抉るような右フックは空を捉えている。
その右手首にはつららの左手が添えられ振り被る前の状態で停止している。
つららは屈んだ姿勢で前に踏み込み、開いた右手の平をクトゥグアの胸、肋骨の間へ沈めていた。
踏み込んでいたクトゥグアに対し、つららもクトゥグアに向かい踏み込んだ格好になるのでカウンターとしてダメージは倍化となる。
胸に叩きつけられた手は手首までめり込んでいて、みしり、と軋む音を奏でる。

「こほっ…わざと刀を手放して、元からコレ…狙ってたのか…」
「…妖怪ながら、中々骨のあるヤツだ。私も多少本気を出させてもらった。それより、貴様は何ゆえ…」
受身すら取らずに廊下へうつ伏せに倒れるクトゥグア。
力なくだらりと下がった頭はワンテンポ遅れて床に叩きつけられ、ごっ、と嫌な音が鳴る。
つららは恐る恐るクトゥドアをひっくり返し、顔を覗き見て、
「不味いな…白目を剥いているぞ…。」
気絶確認。

背後からぺたぺたと緊張感をまったく感じさせない足音で駆け寄ってくる舞鬼。
「あいやー、一瞬ヒヤヒヤしたアルねー。」
何故か中国人の様なアクセントで喋る。
つららはとりあえず、吹き飛ばされた鞘と刃が地面に半分ほど深く刺さり埋まっている三代目フツノを抜き取る。
まるでケーキからナイフを抜くような仕草であり無音。
刀身は刃毀れ一つ無く、尚妖しく輝く。
フツノを鞘に収め、つばがパチンと鳴った。
「少々私も危ういと思ったぞ。」
「つーちゃんケガ無い…?大丈夫?」
「あぁ、私は問題無い。それよりも…」
二人は床に仰向けに倒れている大柄の男を見つめた。
軽く痙攣を起こしていて、白目。

「どうするか…」
「どうするべー…」
同時に吐息混じりに吐き出した。


         ●         ●         ●


イタクァは塹壕から勢い良く飛び出てきた三人を確認。
「ふふっ…出・て・き・た。狙い撃ちよぉ、おばぁかさん。」
戦場はただの雪原。そこには身を隠す壁なぞ無い。
距離は50メートル程。イタクァからすると十分射程圏内。
先ほどテレビで見たスナイパーライフルで敵兵を向かい撃つ兵士の気持ちが解るわぁ、とイタクァは思う。
三人は散り散りに広がり、イタクァを囲むように駆け寄ってくるのを見て、
「チョロ甘よぉ!」
パチンと指を鳴らす。
背後に浮いていた無数の雪球の内二つがふわりとイタクァの目の前に移動する。
無動作で片手に一つずつ鷲掴み、身を落とし右のサイドスローで一番早くこちらに向かっている少女に投げ、すかさず左も同様に振り被り何か剣の様な物を携えた小柄の少年を狙う。
「二機撃墜っと♪」
子供の様に無邪気にはしゃぐイタクァは信じられない光景を見た。
先ほど投げた雪球は地面擦れ擦れを高速で飛翔し、降り積もった雪を軽く舞い上がらせつつ目標へ―――届かなかった。

目測を誤ることはまず無く、狙いも正確無比の筈。
だが一直線に飛んで居た雪球は空中で大きく曲がり、三人が出てきた塹壕へと収束する。
その曲がり方は空気抵抗など生ぬるい物ではなく、異常な曲がり方。
それはまるで吸い寄せられる様に。
何やら塹壕から悲鳴のような罵倒のようなモノが聞こえたが今はイタクァそれ所ではなかった。
大柄で無表情を浮かべた青年が大きく振り被り雪球を投げるのが目の端に映ったからだ。
距離は40メートル程。コントロールがあれば当たらなくも無い距離か。
イタクァは警戒しつつ指を鳴らし雪球を補充。
青年から放たれた雪球は―――大きく山型を描きイタクァのやや左側に逸れる。
「ちゃんと狙いなさぁい…!」
イタクァが低く身を屈め、投げのモーションに入ると、

"汝とは解り合えぬ。――逆転世界"

誰か解らぬ女性の声が聞こえた。
直後、大気に波紋が広がりイタクァは耳鳴りを感じた。
ぼすっ、と左から音が鳴る。振り返り確認すると、それは大柄の青年の投げた雪球の着弾音では無く―――
「へへーん、あったれぇ!」
雪球を振り被っている少女だった。
「しまっ…」
イタクァは驚愕に顔を染める。
既に彼方の剣を携えた少年と大柄の青年を狙い振り被ったモーション。
雪球を両手に握った状態では指が鳴らせなく、魔法での回避は頼れない。
もう見破られたと言う訳!?と思うが声には出さない。そんな余裕は無かったからだ。

少女は振り被った状態から雪球を放つ。
飛来する雪球は一つ。もう片手には何も無い。
イタクァは攻撃をキャンセル。
着地のことなど考えずに身を大きく後ろに逸らしつつスウェー。
そのまま後ろへ飛び、仰向けに倒れた。
ぽすん、と音を立てイタクァは雪に埋もれる。
眼前にゆっくりと飛んで行く雪球を確認。ぎりぎり避けた事にイタクァは安堵。
出来れば喜びを噛み締め、酒の一本でも煽りたかったがまだ勝負は着いていない。
がばりと起き上がり、少女を確認。
避けられた事が信じられないのか、両手には雪球は無く呆然としている。

それより気になるのが、
「バルザイ!行くぞ!」
剣を大きく上段に掲げる少年と、雪球を両手に握った青年との距離が既に20メートルを切っていた。
(バルザイ?…あの儀式刀ぉ!?)
イタクァは両手に握り締めた雪球を捨て、手を掲げ防御を取ったとき、
右の頬に軽い衝撃が走った。

「えぇっ…?」
呟き終わると同時、イタクァの足元に崩れた形の雪球が落ちる。
右手で頬を押さえると雪の残骸が僅かに残っていて冷たさを覚える。
(当たった…の?)
少女の方を振り向く。
彼女はにやにやと笑みを浮かべているが、呆然としていた先ほどと格好は同じ。投げた様子は無い。
それに―――当たった方向とは逆だ。
残りの二人を見てもハイタッチをしてるが雪球を投げた素振りは無い。

「なんなのよぉ~!」
広大な体育館にイタクァの悲鳴が響き渡る。



▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

【あとがき】

雪都(以下、雪):CLANNADの『同じ高みへ』という曲を聴きつつ書いてた。
インレ(以下、イ):ついに本文の内容にも触れないあとがきっス…。
雪:あー、内容ね。そういや雪原の場面だとさ…
イ:だと?
雪:かき氷食べたくなるよね。俺はー…レモンが良いかな。うん。
イ:…………控えめに言うとバカじゃないっスか?
雪:なんだと!?
イ:かき氷はイチゴ一択っス!それ以外邪道っス!
雪:ぁー、そっちツッコんじゃうんだ
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テーマ:創作小説 - ジャンル:小説・文学
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