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覇道高校、新撰組! 第十五幕 
2006.06.03.Sat / 03:52 
「はぁ…」

同時刻。
部室棟一階の長い長い廊下、月明かりに照らされたリノリウムの床に二つの影があった。
長い影を落とすは気だるそうな吐息を浮かべた長身の女性。御堂・つららだ。
光が当たれば深い瑠璃色を反射する髪は長く伸ばされ、うなじ辺りで結ばれている。
刃物の様な鋭い目つきで右目は縦一文字に傷痕が奔る。
糊で皺ひとつ無いブレザーに包まれた肩は心なしか下がっていた。

「つーちゃん先輩、今日は家に誰も居ないんです…」
小柄の影を廊下に伸ばすのは生徒会長の覇道・舞鬼。
束ねられていた髪は解かれ、肩ほどで切りそろえられている軽くウェーブがかかった栗毛の髪が歩くたび跳ねる。
眼をうるうるさせ、両手を丸めて口元を隠す舞鬼。頬を赤く染めているのは何故だ。
「先輩も何も私とお前は同じクラスだろう…」
タイの横、胸に付けられた校章は二人とも三年を表す群青色で縁取られている。
「こういうのは形から入るんだってー」
「そんな形の巡回なぞ聞いたことは無い!」

つららと舞鬼は放課後の見回りをしていた。
普段はつらら一人でやるのだが、今日は舞鬼が閃いた様に、
「今日はつーちゃんと夜を共にする!」
と言い出し(本当にただ閃いただけなのだろう)今はこうして二人で夜を纏う校舎を巡回していた。
当然つららは止めたのだが頑として舞鬼は譲らず仕方なく、という形なのだが。

「…む、どうした?」
いつもならここでノリがどうのだとか栄光の漫才ロードがどうのと喚くだろうとつららは踏んでいたが、舞鬼の反応は無い。
横を向けばぴったしと並び付いてきた舞鬼の姿が見当たらず、はっとして後ろへ振り返ると、
「つーちゃん逃げて!」
舞鬼の眼は大きく開き、廊下に響く大声で絶叫していた。
顔を振り返る状態で舞鬼を見ていたつらら。
その背後から強烈な熱風とプレッシャーがかかるのを感じ、低い姿勢から強く床を蹴り跳躍。
何か強烈な勢いで質量あるものが通過したのだろう。耳元から轟とした音が聞こえ、刹那追い風を感じる。

「只者じゃねぇと思ったけどよぉ、良い動きするじゃねぇか、あぁ?」
回転受身を取りつつ、つららは背後に向いた。
左手を水平に伸ばし舞鬼を庇う様に佇む。
廊下にはいつの間にか新しい人影が現れていた。
それは大柄の十代後半ほどの青年だった。
目つきは悪党顔負けの悪どさを漂わせている。
焔色をしたストレートの髪は長く、無風の廊下だが何故かゆらりと揺れていた。
筋肉質の体に制服を纏っていない事からは覇道学園の生徒では無いことが解る。
両手には淡く赤銅色に光る皮手袋を填めていた。
手袋の位置を直しているので先ほどの熱を伴った風は拳圧なのだろう。

「…にしてもアンタは手品師か何かか?」
男はつららを睨みつつ言う。
いつの間にかつららの舞鬼を庇う逆の手には一本の鞘に収まった長刀が握られていた。
「気にするな。乙女の嗜みだ。」
と真に皮肉ひとつ無い真面目な口調で語るつらら。
すっと前に出て、男と対峙する。
「私は御堂・つらら。この学校の治安を守っている者だ。君は…この学校の生徒ではないな。名は?」
つららは両手を下げたまま、背筋を伸ばし立つ。鞘に収まった刀は握っているが構えてはいない。
ほう、と男は感嘆。
「名乗られたらコッチも名乗らないとな。確かブシドーって言うんだっけ?そういうの嫌いじゃないぜ。」
威嚇するように睥睨していた眼をすっと細める男。雰囲気に真剣さが生まれる。
「俺様はクトゥグアってんだ。別名"生ける炎"。よろしくな。」
「別名"イケイケホモ"?」
と、いつの間にかつららの横へ立っていた舞鬼がすかさず突っ込む。
「うっせぇ上にちげーし!黙ってろガキんちょ!」
「ガキじゃないもーん!30歳のマダムだもーん!」
「マジかよっ!?」
「…嘘に決まってんじゃん。」
「急に冷めるなっ!」

舞鬼とクトゥグアと名乗る赤髪の男のやり取りに、つららはこめかみを抑えつつ間に入り仲裁。
「クトゥグア君と言ったか。君は何故ここに居る?」
「……………。」
何やらクトゥグアは額に深い皺を刻み苦虫を噛んだ様な顔をしている。
一頻り唸った後、
「………俺が俺であるため、かな。随分哲学的な事を言うんだなぁ、アンタ。」
「そういう事を聞いているのでは無いっ!何故生徒でもない君が学園内に居るのかと聞いている!」
あぁ、と男は呟きぱぁっと顔を明るくする。何だそんな事かよとでも言いたそうな顔だ。
「強いヤツを探してたんだよ。正直暇なんだよなぁー…。ここに呼ばれたんだけどよ、アイツ別に用は無いとか言いやがるわけよ。」
そう言い終ると口の端を仄かに上げ、不敵な表情を浮かべる。
「だけどよ…見つけたぜっ!」
 
言うや否やクトゥグアの足元から爆発した様な音が鳴り響く。
五メートルほど離れていたつららに向け超加速の突進をかける。
距離は一瞬に詰められ常人では反応できない速度で男は腰に溜めた拳を一気に解き放った。
廊下に穿つ音が響き渡る。

「…おいたが過ぎるな。クトゥグア君。」
男の硬く握られた拳はつららの掲げた鞘に収められた刀の背で受け止められていた。
傍目から観ると絵画を見ているような停止した空間。力は拮抗している。
クトゥグアは目をゆっくりと細め感心するように呟く、
「アンタ、やっぱなかなかやるねぇ。楽しめそうだぜ。」
「私は貴様みたいな曲者を取り締まるのが仕事だ。…かかって来い。」
舞鬼はそんな光景を見てすすっと遠巻きに移動。
口をつんと尖らせて詰まらなそうな顔をする。
「あーあ…つーちゃんのスイッチ入っちゃった…」
暫しの沈黙。
二つの影は示し合わせたように飛び退り―――再び激突する。

つららは抜刀していないまま、低い姿勢で走りつつ身長ほどある長刀で大きな弧を描いた。
鞘に納まったままの刀の切っ先がクトゥグアの顎目掛けて放たれる。
クトゥグアはほぅ、と感心した声を出し首をほんの少し後ろへ逸らす。
刀は空気を裂く音を奏でつつ高速で通過する。
「ガラ空きだぜ!」
クトゥグアは上半身を右に屈め、右手を下から打ち上げるような格好で拳を繰り出す。
つららの顔は驚愕に固まって―――居なかった。むしろ口の端が上がっている。
「甘いっ!」
つららは予め刀を当てようとはせず、既に刀は振り切る事無くぴたりと止まっている。
手首を早送りのような速さで返し、頭―――柄の底辺の部分を襲い来る拳目掛けて打ち下ろす。
鈍い音が響きクトゥグアの拳が刀の頭に穿たれる。
並みの人間では拳が砕かれる一撃。
遣りすぎたかと思ったつららは男の顔を確認する。
それは苦痛に歪む表情ではなく、
「くっくっく…あっはっはっはっは!そうでなくっちゃな!」
「貴様は…」
「あぁ、俺は残念ながら人間じゃあない。だから本気でかかってきて良いぜ。アンタの限界、知りたく…なった!!」

哄笑と共に開いた左手を抜き手の形にし、つららの傷が走る右目を狙い突き穿つ。
「ちぃっ!?」
寸での所でつららは顔を引きつつ捻る。物凄い速さで出された突きがつららの頬を掠める。
頭を後ろに反らした勢いを殺さず、そのまま足をクッションにし野生動物のように後方へ飛び下がる。
「何故人外が居るかは今は問わぬ。貴様が仇なす魍魎とならば…成敗してくれる!」
「そうこなくっちゃ!」
クトゥグアは再び地面を抉らんばかりの踏み込みでつららまでの距離を詰める。
強く固められた右の拳を前に出しかけ―――深く屈んだ。
つららから見えない位置の左手を地面に沿え、リーチの長い足で水面蹴りを放つ。
フェイントを込めた足払いにつららは微動だにせず放たれた足の首を狙い、上履きを履いた左足の踵で踏み抜く。
クトゥグアの顔は一瞬顰められるがそれは直ぐに目を見開く形で変わる事になる。
つららは足払いを踏み抜いた足を軸とし、鞘付きの長刀でクトゥグアの目を狙い猛スピードで突く。
地面に添えた左手を開いたまま眼球を襲う刀の腹に叩き打ち、突きの軌道を変えるクトゥグア。
そのままカウンターの形でつららの腹部に右拳を打つ。
だがその軌道に進入物があった。
つららの右足の裏がクトゥグアの右拳に添えられ、衝撃を吸収し其の儘つららは後方へ飛ぶ。

彼女は着地の衝撃を膝を曲げることで往なす。。
乱れた長めのプリーツスカートにも目も暮れず優雅に立ち上がる。
クトァグアも踏み抜かれた足を回しつつ、むくりと立ち上がった。
「その刀、抜かないのか?」
「…抜いても良いのか?」
「是非見たいねぇ、感じたいねぇ、スリルってのをさ。」
「成らば魅せよう、そして愚かさを噛み締めろ。起きるがいい、三代目フツノ。」
つららは刀を胸の高さで水平に持ち、右手を柄に、左手で鞘の根元を握り、徐々に刀身を顕にする。
ゆっくりと姿を見せるは珠散る刃。
素人目にも惹かれる美しさ。とても血を吸う凶器には見えない。
窓から射す月光に照らされているがぎらぎらと刀身は光らず、濡れたようにじわりと光る。まるで光を吸っている様だ。

「御堂・つらら、参る。」
つららは右手にフツノ、左手に鞘をそれぞれ持ち廊下を駆ける。
だらりと両手を下げた格好で、正眼ではなく八双の構え。
「鞘も使うとは、珍しいじゃんか。」
「ならば篤と見るが良い。」
つららは低い姿勢から右足を踏み込む。
廊下に爆発音が響き、そのまま左手に下げた鞘でクトゥグアの右膝を狙い―――同時に右手に携える抜き身の刀、フツノを上段から振り下ろす。
クトゥグアは下段と上段からの迫る攻撃を一瞥。
死角は無い。ならば正面の懐―――と見せかけつららから見て右へサイドステップ。
首を捻る。先ほど立っていた所の丁度頭があった場所にフツノが振り下ろされた。
風を切る音すらしない妖しく光る日本刀にクトゥグアは口笛を吹く。
あとは鞘を片手拳の背で受け止め、右ストレートを顔面に打ち込めばその微笑を浮かべた綺麗な顔は―――微笑?
クトゥグアは悪寒でとっさに飛び下がる。
先ほど防ごうとした横から迫る鞘は、フツノの刃に変わっていた。
いや、変わっていたというより―――フツノの棟に鞘が宛がわれている。
振り下ろしたフツノを右に避け交わされた瞬間右手首を返し刃を右に向け、予め左から放っていた鞘でフツノの棟を叩き強制的に軌道を変えたのだ。
鞘だと思い下手にガードしていたら今頃手は持って行かれていただろう。

「エゲツねぇな、アンタ」
「お喋りする時間は無いぞ?」
とっさに飛びのいたクトゥグアが後方に着地しようかと言う頃には既につららは元の腕を垂らした八双の構えに戻っている。
突進のスピードは少しも衰えては居ない。
「チッ…どんなスピードしてやがる…」
クトゥグアは忌々しげにごちる。
「その首、貰い受ける。」
又もつららは屈んだ姿勢から双撃を放つ。
それは同じ軌道で、下段に鞘、上段からまた先ほどと同じ軌道のフツノ。
「舐められたもんだ!二度目は無いぜ!」
クトゥグアは怒気を纏い叫ぶ。
予め出しておいた左足の蹴りで鞘を蹴る。
タイミングは抜群。カウンターで入った鞘は音を立て飛び、廊下の壁にぶつかる。
左からの攻撃は空になった。
すぐさまクトゥグアは体勢を立て直すが上からの斬撃を交わす余裕は無い。ならば―――
「逸らすまで!」
先ほどの鞘での強制方向転換は無い振り下ろされるだけのフツノ。
横から刀の腹を叩き、懐に潜ればクトゥグアの勝利だ。
予定通り振り下ろされたフツノ。
左手の掌でフツノの腹を叩く。確かな手応え。軌道は大きく逸れた。
「貰ったぜぇ!」
クトゥグアは右手を軋まんばかりに握り硬め、渾身の力でつららの腹部に叩きつける。

廊下には肉が叩かれた低音が鳴り響く。
床には吐血で血溜まりが出来る。
静まり返った校舎の中、悲鳴とも聞こえん呻き声が生まれた。





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【あとがき】

雪都(以下、雪):長っげ!長っげ!
インレ(以下、イ):というか、何でボクなんスかね?話違うっスよ?
雪:いや、覇道はみんな大変なんだよ。うん。
イ:それじゃあボクが暇を貪り放題してるみたいじゃないっスか!
雪:…違うの?
イ:………あ!なんかこの女の人強いっスね!
雪:ココだけの話、実はつららんも『本』から出たんだよね。だから強い。
イ:大事件!?
雪:という冗談は置いて、と
イ:かじかじかじかじかじ…
雪:ウサギだからって噛むな!痛い!地味に痛い!地味に!
イ:というかあとがきって何書くもんなんスか?
雪:…さぁ?
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