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キャスタ×ホリック ~七話~ 
2006.05.30.Tue / 04:45 
ポリアンナは縛られたまま壁に寄りかかり、瞬きを忘れた目を虚空へ向けていた。
どのくらい気絶していたのかは解らない。
いっそ夢であって欲しいと何度も思った。
だが視線を少しでも下げれば現実である事を突きつけられる。
入り口付近の床が深紅に染まっているのを見るのが辛い。
見張りの男が何やら言っているようだが耳に入らなかった。
目を逸らせば無かった事になるとは思ってはいない、それでもまだ信じられなんかしない。
恩師が死ぬなんてこと。

天井には処々に巨大な穴が開いており、深い藍色の夜空が見える。
その雨を防ぐ役割をまったく果たさない天井を見つめ、呆けていたときだ。
壁を隔てた外から、突風の様な音が轟と響くのが聞こえた。
突然訪れたあまりに大きな音にポリアンナは目を瞑る。
時間にして秒未満の出来事だったが、目を開けると―――廃墟の二階部分から上が綺麗さっぱり消えていた。
視界いっぱいに広がる満天の夜空。
酒宴で散々騒いでいた男達は一斉に黙り込み、空を見上げていた。
耳が痛くなるほどの静けさが訪れる。
だがそれも一瞬で破られた。

最初酒の所為かと思っていた男らも現実ということを知り慌てふためく。
襲撃されているのか事故なのか、何が起こったのかも点で解らず狼狽している。
「静まれい!」
部屋の中央に陣取っていた頭領が大音声張り上げ、腰に巻いたホルスターから大型の回転式拳銃を取り出して空に向け、続けざまに3発発砲した。
頭領の命令でざわめきはピタリと止まった。
「いいか、テメェら…」
大型のリボルバーをホルスターに収め、頭領が口を開いたとき、別の声が響いた。

"―――汝、暗澹たる闇を知れ"

淡々と述べられる一節。
言葉が紡がれ最後の音が空間に消えると同時、廃墟内が真黒の霧に覆われた。
それは黒の塗料をぶち撒けた様な暗さで、自分の掌さえ見えない深遠の色。
開かれた天井から射す月明りや星の光さえも届かず、テーブルに置かれたランタンさえ闇に包まれる。
「これは魔術だ!襲撃されてる!テメェら戦闘体制を取れい!」
暗闇の中、布ずれと銃を抜く金属音が響く。
無音の空間、幾多の呼吸音だけが聞こえる。
永遠とも思える緊迫した時間。
やがてうっすらと霧が晴れる。

頭領が全員の安否を確認しようと見回す。
人数は減っては居なかった。だが―――
増えてはいた。一人、入り口に佇む男。破れたスーツに目付きの鋭い三白眼、殺されたはずのシュウだった。
白かったシャツは血で黒に近い紅に染まっている。
「交渉、決裂だな。」
片目にこびり付いた血を手の甲で拭い告げた。

「若けぇの、どんな仕掛けかは解んねぇがこっちには人質が…」
頭領が動揺を精一杯隠しつつ部屋の隅を指差す。
示された壁には大穴が開いていた。
それだけでは無い、ぐったりとした人間が山のように積まれている。気絶しているのだろう。
積まれているのは縛られていた女子供ではなく、男達。歳の行ったものから青年まで。

「殺しちゃ居ない。一歩手前まではやったけどな。」
その男達は先ほど死体処理を命じられた者たち数人に、先ほどの見回りが持っていたのと同タイプの自動小銃を提げている者達。
もちろんシュウを連れて来た痩躯の青年と小太りの男も山の一角を形成している。
「可愛い生徒とその他の人は返してもらった。闇に乗じてな。後、やり残したのは…一方的な暴力を振るう事だな。」
シュウは頭に片手を当て左右に一度ずつ曲げ首を鳴らす。
「なかなか痛いんだぞ、死ぬの。親切すぎるかもしれないが、どんな感じか教えてやるよ。」
手に填めた皮製のグローブの位置を正し、口の端を上げる。

「化け物がっ!」
賊の一人が恐怖に声を震わせ銃を構える。
撃鉄が起こされ引き金が引かれる。雷管から火薬に着火。
轟音と共に弾丸が発射され、シュウの眉間を穿つ。
弾丸は頭を易々と貫通する。
シュウは大きく仰け反り―――倒れなかった。

ゆっくりと頭を起こすシュウ。額には黒い穴が開いており鮮血が吹き出る。
「こんなもので殺せるとは、ゆめゆめ思わないことだ。」
少しは痛いんだがなと呟き、天井が無い廃墟の中央へと歩む。

「怯むな!ぶち殺せぇ!」
頭領が激怒の表情で怒鳴る。それを合図に恐怖していた者達もなんとか自制を保ち、銃を構える。
発砲音が響く寸前、シュウは横に跳躍。右手を床に着き反動で伸身を描き、もう一度跳躍する。
先ほど立っていた床に弾丸が注がれ数多の黒点が生まれる。
シュウは十メートルほど離れた地点に片膝をつき着地。
「くそぉ!」
あっと言う間に距離を詰められ動転した男が銃を向け発砲。
シュウは伏せると言ったほうが正しい程に屈み弾を交わし、
「まずは一人。」
捻るように放たれた掌底が男の鳩尾に食い込む。
体は『く』の字に折れ、音も無く崩れる。
一連の動作は五秒足らず。
光景を見ていた者は唖然として居た。

「おや、手が止まっているぞ?」
突如、シュウの姿が消えた。
「がっ!」
消えた地点から五メートルほど離れた丸テーブルが跳ね上がり、傍に居た中年の男が顎にクリーンヒット。
「二人目。」
テーブルのあった場所、金具が埋め込まれたブーツを履いた長い足が天に向かい上げられていた。
伏せた状態からテーブルを蹴り上げた勢いを殺さず、反動でシュウは立ち上がる。
繰り広げられている事態を把握できない残りの者たち。
我に返り銃を構えなおすが、既にシュウはそこに居なかった。

数秒と立たぬうちに離れた地点から乾いた布を思い切り開いた様な乾いた音が鳴る。
シュウが片足を軸にした重い蹴りを無精髭の男の脚に放つ。強烈な足払い。
瞬間、男は半回転。
「…えっ?」
男が呟くや否やシュウは左の掌を右手の拳に当て、打ち下ろす様に右肘を宙に浮いた男の脇腹に極める。
食い込んだ肘を更に沈ませる。男はバウンドしつつ床を転がり、飛んで行った。
「三人。次は誰が良い?」
射殺すように視線で集団を一瞥。
シュウが目を閉じる。姿がブレたと思えばもう姿は無い。

一人、裏返った声で叫ぶ男が居た。
「こ、こいつ、テーブルの下を潜って走ってやがるぞ!」
「正解。」
それは身をとても低く屈めた姿勢での疾駆。
合間無く応えられた言葉が途切れると同時シュウの手刀が延髄を襲い、男が昏倒する。
「四人目だ。」
まったく息が上がった様子は無く、淡々とシュウは告げた。

頭領は目の前で起こっている事態を未だ把握できていなかった。
魔術学校を強請ったのは覚えている。
教師の一人がのこのこ遣って来たのも覚えている。
そいつがふざけた事を言ったから殺したのも覚えている。確認はしていないが生きているはずは無い。
いくら魔術師と言えど銃を撃たれれば死ぬのは道理だった。現に何人も殺めた。
聞くところでは魔術は声を発すると共に発動するものであり、無声では効果がまったく無いと言っても良いらしい。
それに魔術は世界の理を揺さぶるものであり、前兆がある。力で強引に捻じ曲げるゆえ、前兆は能力が無い一般人でも感じ取れる程のものだ。
つまりよく観察し、声にさえ警戒すれば魔術は未然に防げるのだ。
だが、これは何だ?
今二十を超える側近の部下が一人二人三人と倒されている。
魔術発動の前兆とも言える空間振動も無く、それらしい詠唱は無い。
では、唯の徒手空拳で?魔術も無しに?

「二十四…と。チェックメイトだ、頭領。」
ゆっくりと立ち上がり肩に掛かった埃を払う。
血に染められたシャツは既に乾いており、小気味良い音が鳴る。
「あんた…一体何なんだ…?」
長身で体躯のがっちりした頭領が恐る恐る聞く。
シュウは、名乗る義理は無いが冥土の土産に教えてやろうと前置きし、
「俺はシュウ。称号はヘルリッチ。シュウ・ヘルリッチだ。不死のシュウ、聞いたことは無いか?」
「…無いなぁ。」
「……せいっ。」
「がはっ!」
シュウが放ったつま先が頭領の腹を抉る。
おほん、と咳を一つ。
「とまぁ、お前も終わりだ。そろそろウチの学園の討伐隊も来るだろうよ。で、警察にでも突き出されて一生臭い飯をだな…」
「ちょっと!ちょっと待ってくれ!」
あん?と目を細め、見下すように睥睨するシュウ。
ひい、とシュウより身長が高い頭領が怯え竦みつつ問う。
「アンタ、いくら欲しい?いくらでもやるよ!だ、だから見逃してくれ…ワシだけでも良い!」

ぴくり、と眉が動くシュウ。
「…それは本気で言ってるのか?」
頭領は媚びた表情、仕草で、
「あぁ!何なら頭領の座を譲っても良い!」
目を閉じ、片手を顎に当て思案顔のシュウ。
「ったく、仕方無いな…」
「あ、はい!では…」
「魔術は当てないでやろうと思ったんだけどなぁ…」
「魔術は当て…って…えぇ!?」
シュウは目を開き口角を少し上げ、
「反省の色は皆無、少々教育が必要だな。」
「はいっ!?」
右手を開き頭領に向けて伸ばす。
小指薬指中指と順に親指まで曲げ、曲げた順番通りにまた開いていく。
左手は伸ばした右手首にしっかりと沿える。
シュウは大きく深呼吸。
大気が微かに振動し、硝子の粉末が舞うように周囲が煌く。

"―――汝、"

シュウの掲げられた右手に紫電を纏った人の頭大の黒き珠が生まれる。
「うぉおおおおおおおおお!」
昂奮した頭領は大型のリボルバーを抜き、続けざまに六発放つ。
二歩分も無い距離で放たれた弾丸は黒き珠が纏う紫電に阻まれ、シュウに当たらなかった。
弾丸は極微細な鉄粉となり、風に乗りやがて見えなくなる。
「分子崩壊の概念を持った魔術だ。直撃すれば欠片も残らん。…外れても其れなりに残らん。」
とシュウは言い、詠唱を続けた。

"―――塵すら残さず夢と散れ"

廃墟の内部から、一本の黒い光柱が立ち上った。





▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

【あとがき】

雪都(以下、雪):終わらなかったワケだが
インレ(以下、イ):まぁー…思いつきで書いてるからっスよ。
雪:本当はシュウの魔術で一掃してはい終わりー!ってしようとしたんだけどさ…。
イ:生き返るのはかなり想像つくっスよ。そのうえ勢いでバーン!は…
雪:だよねぇ…。だから少しでも戦闘シーン入れよう、と思ったわけさ。
イ:ホント思いつきっすよね…。ららさんのブログのタイトル貰ったらどっスか?
雪:ぶっちゃけ検討中。で、インレや、ちょっと下見てみ、

20060530044207.jpg


イ:ひぁ!マスター出かけてんじゃないんスか!?
雪:絵です。ららさんが描いてくれたんよ、絵を。どうですかよ?
イ:いやー、やっぱ格好いいっスよねー。我主ながら惚れ惚れっスよ!
雪:次回は最終回だから存分にデレてくれ!
イ:うっす!
雪:…たぶん終わるから。
イ:…うっす
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
COMMENT TO THIS ENTRY
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闇に乗じて全員やっちゃうのは最初考えてたんですけどね、
そうしちゃうと戦闘が…ね…
敵の人数もちゃんと決めてなかったのは痛いよね。
自分でもちょっと解りにくいと思いましたww
でもまぁ、素手で正々堂々戦ったのは圧倒的な力の差と、恐怖を植えつけたかったと言うことにしておきますww

「山のように」は言い過ぎたと反省している。
というかつい反射で書いてしまったorz

戦闘シーンはちょっと気に入ってます。
ちょっとジャンプ系のノリですが、こんなのが好きですww

絵は100パー掲載しますよww
そして専用フォルダに永久保存!
オリジナルは嬉しいよ!
つか、僕だってバストアップしか描いてないのに全身描いてくださってありですwww

いやー、ナイスツッコミ。
勉強になります。

- from 雪都 -

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闇が消えた後の描写かな・・・
残りは親玉だけって言うイメージがつくね
だから後で敵が出てくると
あれ・・・?まだいた・・・?
って気になる
数人の数え方かな・・・
やっぱり不特定ではあるから
私はついたくさん思い浮かべてしまったわけだな
山のように積まれているっていう表現から
たぶん親玉残してほか全員なんだろうなと考えたのかな・・・
まぁそこが違和感あったかな

戦闘描写はいい感じ
シュウのスピード感と絶対的な強さが伝わってくるね
まだいろんな謎も残ってるので最終回期待(*´∀`)

絵載せてもらったヽ(*'ヮ')ノ
インレからもコメントをいただけるなんて感激です
でもいろいろオリジナルになってすみません・・・
il||li _| ̄|○ il||li

- from らら -

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