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2006年05月の記事一覧
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キャスタ×ホリック ~最終話~ 
2006.05.31.Wed / 05:36 
「うっ…んんっ…」
頭に鈍痛が走る。
目を開くと数多の星が見えた。そよぐ風が肌の熱を冷ます。
遠くから波が寄せるかのように葉擦れの音がする。
深い藍色の空に灰色の雲が流れていた。
背中が冷たい。ということは地面に寝ているのか私は。
何故外に居るのだろう?
目の前が真っ暗になってから記憶が無い。
「ポリアンナ?目が覚めたか?」
霞む目を擦ると段々と焦点が合ってくる。
覗き込むようにして誰かが私を見ていた。
「すまない。運び出す最中に壁にぶつけてしまってな。…お前の頭を。」
その人はすまなそうに大きな手で頭を撫でてくる。
ひんやりとした手が気持ちよかった。
暗くよく見えないが目を凝らす。
その顔は見覚えのあるあの人で…
「シュウだ。解るか?」
「い…」
「い?」
「嫌ぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!!!!」
亡くなった筈の先生が居た。


「どうしたものか…」
シュウは自分の血で固められた髪を手櫛で梳きつつ呟いた。
眼下には目覚めたはずのポリアンナが再び地面に臥していた。
「そういえば言ってなかったなぁ…。」
学園内の教師連中には知られて居るシュウの"殺されても死なない"体質。
不死概念の魔術らしいが原因は自分でも解っていない。
物心着いた頃には既にその魔術に罹っていた。
実は『不死』は禁呪指定すらされて居ない。
それは成功例が無い故である。…たった一つの例外を除いてだが。
この体質は別段言触らすものでも無いので生徒らには伝えてなかった事を思い出す。
「学園内では危険な目にはよっぽど遭わないからな。態々死んで見せるのもなんだし。」
なんと無しに独白していると、シュウの背後から草むらが踏みしめられる音が。
星明かりを背に大柄な影がシュウを覆う。
「ウチの学園の生徒を襲うとは舐めた真似だぜ!!デストローイ!!」
聞き覚えのある女性の声。
独特の雄雄しい喋り方は―――
「ベアトリク…」
シュウは振り向きつつ声をかける。
そこには右手を此方に掲げた赤髪の女、ベアトリクスが居て、

"―――三千世界の鴉を殺せ!!"

空間が振動しノイズが奔る。
掌から辺りの闇を悉く裂く光の熱波が幾条にも迸り、直線上の木々と地表諸共焼きなぎ払う。
「てめぇぇぇええええええええええええええええええええ!!!!!!」
本日二度目の絶叫が森林に響き渡る。


          ●          ●          ●


「少しは落ち着いたかな?」
「はぃ…ご迷惑をお掛けしましたわ…」
見渡す限り大木の中、一本の街道が通っている。
空にぽっかりと浮いた月と散りばめられた数多の星が辺りを照らす。
草木も眠る時間、三つの影が街道を歩いていた。
ポリアンナを背負ったシュウと不機嫌顔のベアトリクス、苦笑いを浮かべたアイズの三つ。

「何でテメェが居んだよ…」
ベアトリクスがぶっきらぼうに言う。
シュウはアイズを一瞥。アイズは「行く途中にベアトリクスに言った、何度も言ったよ!」とジェスチャー。
「てめぇこそ俺の顔を確認しても魔術撃つとは大した野郎だな。」
「や、野郎じゃねぇよ!」

先ほどベアトリクスが焦熱概念の魔術を放った後、シュウはポリアンナを片手で掴み受身すら取らずに大跳躍。
間一髪で避けた所にもう一発打ち込もうとしたベアトリクスをアイズが文字通り体を張って止めた。
「一回殺させろ!」と喚くベアトリクスの声で目を覚ましたポリアンナがシュウの腕の中で暴れるという大惨事がつい先ほどまで起こっていた。
そんな光景を精鋭部隊の他メンバーが微笑ましく見つめつつ事後処理を買って出てくれた。(恐らく厄介払い)
今頃は伸びている子分どもや、分子崩壊概念の魔術で脅したら失神した頭領も警察へ引き渡されているだろう。

シュウは背中から擦り落ちそうになったポリアンナの位置を正し、
「言わなくてすまなかったな。驚いたろう?」
「はい…今もまだ少しびっくりしてますわ…」
負ぶさったポリアンナは目を閉じシュウの背中に額を当てる。
「…でも、良かったです。生きてらっしゃって。」

静寂。
重苦しい空気ではなく、ゆったりとしたものが流れる。
暫し間を開けシュウが躊躇いがちに口を開き、
「ポリアンナ、試験は残念だった。それと…学園を出るほどキツイ言い方をしていたとは思わなかった。すまない…。」
悔いるように告げた。
ベアトリクスとアイズがポリアンナに目を向ける。
彼女の顔には―――疑問符が浮いていた。
「…なんの事を仰ってますの?」
聞き返されたシュウにもクエスチョンマークが伝染する。
「いや、俺が "実践" 経験が足りないときつく言ったからお前は…」
「ですから "実戦" 経験を積むために郊外に出たのですわ。」
まさか誘拐されるとは思いませんでしたの、ごめんなさいと付け加える。

「…意思疎通がなってねぇなぁ、クソ教師」
「原因は君だね…シュウ」
「えっ?えっ?…なんですの?」

シュウの歩みが止まる。
涼風にゆれる木の葉の音を感じつつ視線を空に上げた。
浮かぶ月はため息をつくほど美しく、星は相変わらず眩しく輝いていた。




~エピローグ~

とある部屋。
様々な大きさの書物が本棚を超え、床にも積まれていた。
窓からは顔を出しかけた太陽が覗ける。
金属音が鳴り真鍮のドアノブが回る。樫製の扉が開いた。
スーツを着た目付きの鋭い男が千鳥足でベッドへ近寄り―――そのままうつ伏せに倒れ込んだ。
「疲れた…」
切れ長の目をゆっくり閉じ様とした時、黒い塊が目の前を横切った。
真っ赤な瞳をもった黒ウサギが首を傾げ顔を伺ってくる。
「インレ…起きてたのか。…人間体にならないのか?」
黒ウサギは首を左右にふるふると振り否定を表す。
「ふんっ…何言ってるか解らん…。」
男は短く嘆息。そのまま呟く。
「ポリアンナは助けた。無事だ。たくさん…たくさん…お礼を言われた。」
黒ウサギがその場で一度跳ねた。
「やはり原因は俺だった。予想してたのとは少々違ったがな。……俺は教師に向いているのだろうか。」
男はベッドの上を転がり仰向けになる。天井を見つめてから長い息を吐く。
一言毒づいてから両手で顔を覆う。
黒ウサギは男の傍まで飛び頬を舐めた。
「くそっ…慰めはいらん…」
男は半回転し、黒ウサギに背を向ける。
「…お前も早く寝ろ。体に障るぞ。俺は寝る。」
黒ウサギは枕の横で丸くなった。
暫くして、二つの寝息が部屋に溶ける。




▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

【あとがき】

雪都(以下、雪):終わったね…
インレ(以下、イ):終わったっスね…
雪:ちょっと強引になっちゃったなぁ。
イ:明らかな力量不足っスよ。
雪:あるある。つか、毎日書いてみたんだけどあれだね。
イ:なんスか?
雪:前日のを読み返すと「あー!ノリで余計なこと書かなければ良かった!」って思い直すんだよ。
イ:なんでマスターは天井を吹っ飛ばしたのか謎っs
雪:めっ!俺も今は改訂したくてしょうがない。見張りどもは別に外に置いておいても良いs
イ:めっス!凹むと際限ないからこの辺に!
雪:ポリアンナももっと良い子なんだけどね。先生大好きっ子なんだよ。そこら辺をもうちょっと表現したかったなぁ…。
イ:いつか始まる続編に書けば良いっスよ。
雪:アイズやベアの使い魔も考えてるし、生徒諸君も出したいしなぁ…。
イ:キャラ設定も良いっスけど、ちゃんとストーリーも考えましょうっス。
雪:ごめんなさい…。
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テーマ:ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学
キャスタ×ホリック ~七話~ 
2006.05.30.Tue / 04:45 
ポリアンナは縛られたまま壁に寄りかかり、瞬きを忘れた目を虚空へ向けていた。
どのくらい気絶していたのかは解らない。
いっそ夢であって欲しいと何度も思った。
だが視線を少しでも下げれば現実である事を突きつけられる。
入り口付近の床が深紅に染まっているのを見るのが辛い。
見張りの男が何やら言っているようだが耳に入らなかった。
目を逸らせば無かった事になるとは思ってはいない、それでもまだ信じられなんかしない。
恩師が死ぬなんてこと。

天井には処々に巨大な穴が開いており、深い藍色の夜空が見える。
その雨を防ぐ役割をまったく果たさない天井を見つめ、呆けていたときだ。
壁を隔てた外から、突風の様な音が轟と響くのが聞こえた。
突然訪れたあまりに大きな音にポリアンナは目を瞑る。
時間にして秒未満の出来事だったが、目を開けると―――廃墟の二階部分から上が綺麗さっぱり消えていた。
視界いっぱいに広がる満天の夜空。
酒宴で散々騒いでいた男達は一斉に黙り込み、空を見上げていた。
耳が痛くなるほどの静けさが訪れる。
だがそれも一瞬で破られた。

最初酒の所為かと思っていた男らも現実ということを知り慌てふためく。
襲撃されているのか事故なのか、何が起こったのかも点で解らず狼狽している。
「静まれい!」
部屋の中央に陣取っていた頭領が大音声張り上げ、腰に巻いたホルスターから大型の回転式拳銃を取り出して空に向け、続けざまに3発発砲した。
頭領の命令でざわめきはピタリと止まった。
「いいか、テメェら…」
大型のリボルバーをホルスターに収め、頭領が口を開いたとき、別の声が響いた。

"―――汝、暗澹たる闇を知れ"

淡々と述べられる一節。
言葉が紡がれ最後の音が空間に消えると同時、廃墟内が真黒の霧に覆われた。
それは黒の塗料をぶち撒けた様な暗さで、自分の掌さえ見えない深遠の色。
開かれた天井から射す月明りや星の光さえも届かず、テーブルに置かれたランタンさえ闇に包まれる。
「これは魔術だ!襲撃されてる!テメェら戦闘体制を取れい!」
暗闇の中、布ずれと銃を抜く金属音が響く。
無音の空間、幾多の呼吸音だけが聞こえる。
永遠とも思える緊迫した時間。
やがてうっすらと霧が晴れる。

頭領が全員の安否を確認しようと見回す。
人数は減っては居なかった。だが―――
増えてはいた。一人、入り口に佇む男。破れたスーツに目付きの鋭い三白眼、殺されたはずのシュウだった。
白かったシャツは血で黒に近い紅に染まっている。
「交渉、決裂だな。」
片目にこびり付いた血を手の甲で拭い告げた。

「若けぇの、どんな仕掛けかは解んねぇがこっちには人質が…」
頭領が動揺を精一杯隠しつつ部屋の隅を指差す。
示された壁には大穴が開いていた。
それだけでは無い、ぐったりとした人間が山のように積まれている。気絶しているのだろう。
積まれているのは縛られていた女子供ではなく、男達。歳の行ったものから青年まで。

「殺しちゃ居ない。一歩手前まではやったけどな。」
その男達は先ほど死体処理を命じられた者たち数人に、先ほどの見回りが持っていたのと同タイプの自動小銃を提げている者達。
もちろんシュウを連れて来た痩躯の青年と小太りの男も山の一角を形成している。
「可愛い生徒とその他の人は返してもらった。闇に乗じてな。後、やり残したのは…一方的な暴力を振るう事だな。」
シュウは頭に片手を当て左右に一度ずつ曲げ首を鳴らす。
「なかなか痛いんだぞ、死ぬの。親切すぎるかもしれないが、どんな感じか教えてやるよ。」
手に填めた皮製のグローブの位置を正し、口の端を上げる。

「化け物がっ!」
賊の一人が恐怖に声を震わせ銃を構える。
撃鉄が起こされ引き金が引かれる。雷管から火薬に着火。
轟音と共に弾丸が発射され、シュウの眉間を穿つ。
弾丸は頭を易々と貫通する。
シュウは大きく仰け反り―――倒れなかった。

ゆっくりと頭を起こすシュウ。額には黒い穴が開いており鮮血が吹き出る。
「こんなもので殺せるとは、ゆめゆめ思わないことだ。」
少しは痛いんだがなと呟き、天井が無い廃墟の中央へと歩む。

「怯むな!ぶち殺せぇ!」
頭領が激怒の表情で怒鳴る。それを合図に恐怖していた者達もなんとか自制を保ち、銃を構える。
発砲音が響く寸前、シュウは横に跳躍。右手を床に着き反動で伸身を描き、もう一度跳躍する。
先ほど立っていた床に弾丸が注がれ数多の黒点が生まれる。
シュウは十メートルほど離れた地点に片膝をつき着地。
「くそぉ!」
あっと言う間に距離を詰められ動転した男が銃を向け発砲。
シュウは伏せると言ったほうが正しい程に屈み弾を交わし、
「まずは一人。」
捻るように放たれた掌底が男の鳩尾に食い込む。
体は『く』の字に折れ、音も無く崩れる。
一連の動作は五秒足らず。
光景を見ていた者は唖然として居た。

「おや、手が止まっているぞ?」
突如、シュウの姿が消えた。
「がっ!」
消えた地点から五メートルほど離れた丸テーブルが跳ね上がり、傍に居た中年の男が顎にクリーンヒット。
「二人目。」
テーブルのあった場所、金具が埋め込まれたブーツを履いた長い足が天に向かい上げられていた。
伏せた状態からテーブルを蹴り上げた勢いを殺さず、反動でシュウは立ち上がる。
繰り広げられている事態を把握できない残りの者たち。
我に返り銃を構えなおすが、既にシュウはそこに居なかった。

数秒と立たぬうちに離れた地点から乾いた布を思い切り開いた様な乾いた音が鳴る。
シュウが片足を軸にした重い蹴りを無精髭の男の脚に放つ。強烈な足払い。
瞬間、男は半回転。
「…えっ?」
男が呟くや否やシュウは左の掌を右手の拳に当て、打ち下ろす様に右肘を宙に浮いた男の脇腹に極める。
食い込んだ肘を更に沈ませる。男はバウンドしつつ床を転がり、飛んで行った。
「三人。次は誰が良い?」
射殺すように視線で集団を一瞥。
シュウが目を閉じる。姿がブレたと思えばもう姿は無い。

一人、裏返った声で叫ぶ男が居た。
「こ、こいつ、テーブルの下を潜って走ってやがるぞ!」
「正解。」
それは身をとても低く屈めた姿勢での疾駆。
合間無く応えられた言葉が途切れると同時シュウの手刀が延髄を襲い、男が昏倒する。
「四人目だ。」
まったく息が上がった様子は無く、淡々とシュウは告げた。

頭領は目の前で起こっている事態を未だ把握できていなかった。
魔術学校を強請ったのは覚えている。
教師の一人がのこのこ遣って来たのも覚えている。
そいつがふざけた事を言ったから殺したのも覚えている。確認はしていないが生きているはずは無い。
いくら魔術師と言えど銃を撃たれれば死ぬのは道理だった。現に何人も殺めた。
聞くところでは魔術は声を発すると共に発動するものであり、無声では効果がまったく無いと言っても良いらしい。
それに魔術は世界の理を揺さぶるものであり、前兆がある。力で強引に捻じ曲げるゆえ、前兆は能力が無い一般人でも感じ取れる程のものだ。
つまりよく観察し、声にさえ警戒すれば魔術は未然に防げるのだ。
だが、これは何だ?
今二十を超える側近の部下が一人二人三人と倒されている。
魔術発動の前兆とも言える空間振動も無く、それらしい詠唱は無い。
では、唯の徒手空拳で?魔術も無しに?

「二十四…と。チェックメイトだ、頭領。」
ゆっくりと立ち上がり肩に掛かった埃を払う。
血に染められたシャツは既に乾いており、小気味良い音が鳴る。
「あんた…一体何なんだ…?」
長身で体躯のがっちりした頭領が恐る恐る聞く。
シュウは、名乗る義理は無いが冥土の土産に教えてやろうと前置きし、
「俺はシュウ。称号はヘルリッチ。シュウ・ヘルリッチだ。不死のシュウ、聞いたことは無いか?」
「…無いなぁ。」
「……せいっ。」
「がはっ!」
シュウが放ったつま先が頭領の腹を抉る。
おほん、と咳を一つ。
「とまぁ、お前も終わりだ。そろそろウチの学園の討伐隊も来るだろうよ。で、警察にでも突き出されて一生臭い飯をだな…」
「ちょっと!ちょっと待ってくれ!」
あん?と目を細め、見下すように睥睨するシュウ。
ひい、とシュウより身長が高い頭領が怯え竦みつつ問う。
「アンタ、いくら欲しい?いくらでもやるよ!だ、だから見逃してくれ…ワシだけでも良い!」

ぴくり、と眉が動くシュウ。
「…それは本気で言ってるのか?」
頭領は媚びた表情、仕草で、
「あぁ!何なら頭領の座を譲っても良い!」
目を閉じ、片手を顎に当て思案顔のシュウ。
「ったく、仕方無いな…」
「あ、はい!では…」
「魔術は当てないでやろうと思ったんだけどなぁ…」
「魔術は当て…って…えぇ!?」
シュウは目を開き口角を少し上げ、
「反省の色は皆無、少々教育が必要だな。」
「はいっ!?」
右手を開き頭領に向けて伸ばす。
小指薬指中指と順に親指まで曲げ、曲げた順番通りにまた開いていく。
左手は伸ばした右手首にしっかりと沿える。
シュウは大きく深呼吸。
大気が微かに振動し、硝子の粉末が舞うように周囲が煌く。

"―――汝、"

シュウの掲げられた右手に紫電を纏った人の頭大の黒き珠が生まれる。
「うぉおおおおおおおおお!」
昂奮した頭領は大型のリボルバーを抜き、続けざまに六発放つ。
二歩分も無い距離で放たれた弾丸は黒き珠が纏う紫電に阻まれ、シュウに当たらなかった。
弾丸は極微細な鉄粉となり、風に乗りやがて見えなくなる。
「分子崩壊の概念を持った魔術だ。直撃すれば欠片も残らん。…外れても其れなりに残らん。」
とシュウは言い、詠唱を続けた。

"―――塵すら残さず夢と散れ"

廃墟の内部から、一本の黒い光柱が立ち上った。





▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

【あとがき】

雪都(以下、雪):終わらなかったワケだが
インレ(以下、イ):まぁー…思いつきで書いてるからっスよ。
雪:本当はシュウの魔術で一掃してはい終わりー!ってしようとしたんだけどさ…。
イ:生き返るのはかなり想像つくっスよ。そのうえ勢いでバーン!は…
雪:だよねぇ…。だから少しでも戦闘シーン入れよう、と思ったわけさ。
イ:ホント思いつきっすよね…。ららさんのブログのタイトル貰ったらどっスか?
雪:ぶっちゃけ検討中。で、インレや、ちょっと下見てみ、

20060530044207.jpg


イ:ひぁ!マスター出かけてんじゃないんスか!?
雪:絵です。ららさんが描いてくれたんよ、絵を。どうですかよ?
イ:いやー、やっぱ格好いいっスよねー。我主ながら惚れ惚れっスよ!
雪:次回は最終回だから存分にデレてくれ!
イ:うっす!
雪:…たぶん終わるから。
イ:…うっす
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
キャスタ×ホリック ~三話~(BlogPet) 
2006.05.29.Mon / 11:20 
きょうちぃがスプリング筆記された!


*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「ちぃ」が書きました。
キャスタ×ホリック ~六話~  +人物紹介 
2006.05.29.Mon / 03:03 
町外れ。
鬱蒼と繁った木々、葉の天蓋から僅かに除く空は薄い藍色。
森に一本の舗装されていない道が伸びていた。
そこに小奇麗な軽装の辻馬車が走っている。
時間帯が半端なため客は一人。
「止まってくれ。ここで降ろしてくれるか。」
そのたった一人の客。目付きの悪い二十歳前半の男が後部車両から顔を出す。
上下一式黒ずくめのスーツに身を包んでいる。
声を掛けられた中年の御者は恐る恐る聞き返した。
「本当にここで良いんだか?まぁ、料金は貰ったから構わんだけども。」
御者は前方を走る一頭の栗毛の馬に繋がれた手綱を引き、徐々にスピードを落とす。
見回しても樹木しか見えない街道にやむなく馬車は止まった。

目付きの悪い男、シュウは黒い皮製の鞄を左手に提げ馬車から降りる。
スーツの襟元を直しつつ街道から逸れた何も無い森へ入ってゆく。
「お客さん、何をするかは知らんけども気ぃつけなよ?」
ありがとう、と男は振り返らずに言い、空いている右手を掲げる。
中年の御者は顎に蓄えた髭を撫でつつ、疑問顔でまた馬車を走らせた。

       ●       ●       ●

シュウは短刀を取り出し、足の脛辺りまで伸びた草むらを薙ぎながら進む。
日が落ちかけて周囲が暗くなるにつれ悪態づく回数が増える。
「そろそろ見えるなり着くなりしても良いんだがな。」

そう呟いたときに前方に僅かに建物が見えた。
土壁で作られた家で、一見廃墟の様だが窓から煌々と洩れる光が有人だと主張する。
「待ちなテメェ…何モンだ?」
自動小銃を脇に構えた肌の浅黒い男二人にシュウは挟まれた。
草むらで足音を立てずに寄ってきたことに軽く賞賛し、両手を挙げる。
「オルムズド大学園の者だ。交渉に応じに来た。生徒が世話になってるらしいな。」
二人のうち、痩躯の青年が応える。
「あぁ…あの嬢ちゃんか。中々上物だよなぁ?良い具合だったぜぇ。」
青年はもう一人の小太りの男と下卑た笑いを浮かべる。
シュウは眼を細め弓形に変え、口角は仄かに上がる。
「…よく聞こえなかった。もう一度、言ってみろ。」
穏やかな調子だが、明らかに声には怨嗟が篭っていた。
黒真珠の様な眼が刃物のような鋭さでゆっくりと両者を射る。

男達の笑いは止まり顔色が蒼白に染まる。
痩躯の青年が狼狽し応え、
「じょ、冗談だって。どうせこんな条件を飲むとは思ってなかったしよぉ、そんならそれで売り払っちまおうと思ってた所だ。傷物になんかしやしねぇよ。」
「…早く案内しろ。」
「お、おう、そっちだ。」
いつの間にか下げていた小銃を再び構え直した男二人は、シュウを先頭とし廃墟へと進んだ。

       ●       ●       ●

廃墟。広さは一辺40メートルほどの正方形の大部屋が一つ。
部屋と言うには語弊があるか、天井や壁には所々に大小様々な穴が開いていて、室内から星やら木々やら観察できる。
建物は二階建ての吹き抜けになっており、一階部分には丸テーブルと椅子が並べられている。二階は二段ベッドやら武器類、貨物が押し込められていた。
どこか西部の酒場を思わせる。
各テーブルには男らが集う。二十人は居るだろうか。
そこでは宴が開かれていた。

盗品の成果を見せ合い自慢する者や、
ぶどう酒を樽ごと飲もうとする完全に酔いつぶれている者、
下品な話をし、野太い声で笑う者など多様に盛り上がっている。

宴も酣といった頃、そこに闖入者が現れた。
開放式の扉の前には自動小銃を掲げた男二人と黒い鞄を携えたスーツ姿のシュウ一人、計三人。
「頭領、ガッコのセンセが来ましたぜー!」
二人の内、痩躯の男が声を張る。
騒ぎが一瞬止み、また新しい騒ぎが生まれた。
部屋の中央、一際大きな丸テーブルから体躯のがっちりとした大柄の男が立ち上がる。
歳は五十を越えたくらいか、縮れた黒髪に白髪が幾本か混じっている。
顔面に刻まれた皺は深い。
歳の割りには筋肉質で身長は長身と言われるシュウより頭一つ分は高いか。
肩を揺らしふらふらと入り口へ歩いてくる男、頭領なのだろう。
表に着く頃には既にざわめきは止んでいた。

「若けぇの、お遣いご苦労だなぁ」
太い声が深とした廃墟に響き、周りから僅かに笑いが洩れる。
その笑いを手で制止し、続ける。
「さすが学校だよなぁ、吹っ掛けてもホイホイ出しやがる。…おっと魔術は使うなよ?使った途端嬢ちゃんには死んでもらう。」
頭領がシュウから見て左を指差す。
視線を向ければ部屋の一角に轡をされ荒縄で縛られたポリアンナや数人の女子供が居た。
横には連射式長銃を構えた賊三人が警戒をしていた。
ポリアンナは目を見開きうーうーと唸っている。
遠目に捕われた人々に外傷が無いことを確認し一先ず安堵するシュウ。

「おい先生よお、ちゃんと金は持ってきたんだろうな?…おい、確かめろ」
頭領がシュウの左右に居る青年と小太りの男に告げる。
はっ、と二人は敬礼しシュウが持つ鞄を恐る恐る奪い、開け―――

「何も…入って無いですぜ…」

廃墟が静寂が訪れる。
破ったのは怒声を帯びた頭領だった。
「ふざけんじゃねぇぞ!!何も入ってねぇとは何なんだ!?あぁ!?」
忌々しげに眉を寄せ、うんざりとした表情でシュウは、
「金よりも良い物だ。人質を返せば、お前らの命を取る事はしない。」
再び静寂。

何処からか失笑が洩れ、それが段々と広がってゆく。
仕舞いには二十人全員の男が笑い出す。
頭領も大口を開け腹から響く呵呵大笑。
一頻り笑った後、目元を拭い
「おい、若けぇの、笑わせてくれるなよ。………やれ。」
指を鳴らすと男供が一斉に立ち上がり各々の銃を抜き―――撃った。

数えることもままならない程の火薬の破裂音。
一連した音にすら聞こえる連射にシュウは穿たれた。
左肩に当たり、よろめいた時には右膝に当たり崩れる。
その後豪雨のような弾に頭蓋が右半分飛び、指が何本か無くなり、あとは打ち抜かれるがまま。
まるで襤褸布のよう。
「もういい!てめぇら止めろ!」
頭領が片手を挙げると発砲はぴたりと止まった。
入り口には数多の穴が開きシュウだったものから徐々に赤い池が広がる。
「おい、目障りだ。それ外に捨てとけ。」
頭領が中央のテーブルへ戻り、また主演は再開される。
下っ端と思われる男数人が処理に当たる。

ポリアンナは目を閉じたまま壁に寄り添い、気絶していた。



       ●       ●       ●


「インレちゃん?ちょっとこれ教えてー。」
「はいはい、ちょっと待つっス。」
小さな、とても小さな具体的に言えば五人が辛うじて入れるような教室にインレは居た。
生徒用の机は四つあり、一つは空席だった。
インレは一瞬目を向け暗い顔をし、
「どうしたの?」
「あ、あはは、何でもないっス。で、何スか?」
「えと、ここのね?」
ふっくらとした女の子が本の一節を指差した時、教室の扉が叩かれた。
「シュウかインレちゃん、居るかい?」
「はいはーい、今開けるっス」
インレは女の子に待ってて、と断りを入れドアを開ける。
先ほどシュウの部屋に訪れたアイズが立っていた。
「アイザックさん?どうしたんすか?」
アイズは軽く挨拶をし、部屋を見回す。
「…廊下で話そう。」
すまない、インレちゃんを借りるね、とアイズはシュウの生徒に言い、廊下へ出た。

「やっぱシュウは…行ったのかい?」
「あはは、そっす。」
頭を掻きつつインレ。
アイズは苦笑。
「やっと意見が纏まったよ。少数精鋭で一気に叩くことになった。」
「あっ…でも…」
「まぁ、着く頃にはシュウが制圧してるだろうね。」
「…だと思うっス。」
二人ともクスクスと笑う。
「いや、マスターはホント強いんすよ!?」
「解ってるよ。学生時代嫌と言うほど思い知ったしね。」
アイズは目を閉じ、目の端にはうっすらと涙が。
ぶるぶるぶると震え、やがて止まった。
「でも、アイツは無謀なことするからなぁ…。万が一が無ければいいけど。」
呟くアイズにインレは胸をどんと叩き、
「それこそ問題無いっす!マスターはやられるハズ無いっすから!」
自慢げに言った。

でも、とアイズ。
「不幸にも…その精鋭部隊にベアトリクスが居るんだよね。まぁ、オレも医療担当として行くわけだけどさ。」
「えっ…ベアトリクスさんは…」
「あぁ、シュウが単身先行してる事は知らないだろうね…。」
沈黙。

「マスターをくれぐれも宜しく願いします!」
インレはアイズに深々と礼をした。




△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

よし、描いてみたよ。暫定的イメージね。でも、ほぼ確定。
紹介といってもネタバレは書きたくないので、かなり端折りモードで。

20060529023537.jpg

【シュウ】
ゴメン、シュウちゃん殺した。
いや、最初から考えてたんよ。
あれ?メガネかけてんじゃないの?と思ったアナタ、ごめんなさい。
最後にメガネを描こうと思ってたら忘れたまま保存してた。
でも、この方が格好いい気がしたからこっちにします(ひ



20060524050310.jpg

【インレ】
以前張ったけど、紹介ということで再貼り。
説明する機会を失ったんですが、シュウの使い魔。
名前の元ネタが解るともうどうしようもないので調べないで下さい(ひ
まぁ、ググっても先頭に出ないから大丈夫かwww



20060529023557.jpg

【ベアトリクス】
熱血キャラは好きだけどゴツイ男は描けないんですよ!
じゃあ熱血女ということにしちゃえば良いじゃない!というコンセプト。
片目が隠れた長身の女キャラとして描いたんだけど…あれれ?
これなんてアビスのメロンさんですか?(ひ



20060529023614.jpg

【アイズ】
本名:アイザック。
仲の悪いシュウとベアトリクスの仲介役。
こいつの専門分野からするとメガネが超似合うと思い直し、メガネっ漢(こ)になってもらいました。
シュウより似合うよ、うん。



20060529023631.jpg

【ポリアンナ】
シュウの生徒の一人。
今回誘拐されちゃった人です。
まぁ、お察しの通り次の話で助かります(ちょ




これでも一時間ぐらいかかった。
下手でスマン。練習しとく。
流石に色付けると+2時間はかかるので勘弁してくださいですYO。
テーマ:連載小説 - ジャンル:小説・文学
キャスタ×ホリック ~五話~ 
2006.05.28.Sun / 05:28 
シュウは自室に戻る。
扉を後ろ手に閉め、ゆっくりと深呼吸。
傍に居る項垂れたインレを一瞥し―――プリントを挟んだバインダーを手渡した。
インレは突然の事に当惑し、眼を見開きシュウを見つめる。

シュウは本の山を書き分け机の前に立つ。
そしてローブとスーツの上着を脱ぎ椅子に掛けた。
机に色々な物が積もった山を漁り、何かを手に取る。
手袋だった。
黒い皮製のもので、指が出るフィンガーグローブタイプ。
手の甲には細かい刺繍が施されて居るが擦り切れていてよく見えない。
両手に填める。
そして壁に掛けていた細身のナイフを取り、ベストの背中側に縫い付けた鞘に差し込む。
黒のスラックスに黒のベスト、黒のネクタイという黒ずくめの井出達。

「おい、インレ。」
「…はい」
びくりと一度振るえ返答。
「範囲は何処でも構わないから自習させておけ。俺は急用で外出、とでも言ってくれ。」
「……え!?えっ!?」
驚き顔でシュウの顔を見上げるインレ。
シュウはため息をつき呆れ顔で、
「聞こえなかったのか?俺は今から外出するから…」
「ち、違うっス!さっき行かないって言ったからてっきり…」
「ありゃ会議だろ。そんなんやってたら日が暮れちまう。誰も見捨てるとは言ってねぇよ。それとも俺はそんなヤツだと思ったのか?」
ふるふるふると凄い勢いで顔を横に振るインレ。
「…さっきは悪かったな。あぁでもお前に言わんと奴らを撒けなかった。」
また何も言わずに、何度も顔を横に振るインレ。
「でも、アイザック…、アイズの奴にはバレてたな。ワザとらしく情報流しやがって。ま、その分時間は省けたが。」
「マスター!!じゃあ、じゃあ!?」
「ポリアンナを迎えに行く。たっぷりとお礼しなきゃな。」

インレは授業用のバインダーを抱きしめ、俯く。
「マスターの…マスターの…」
ふるふると振るえ顔を上げる。その顔は満面の笑みで。
「ツンデレー!!」
バインダーをベッドへ放り投げ、シュウへ飛びつき―――
避けられた。
「バカなことしてる暇は無い!ったく…行ってくる!」
「行ってらっしゃーいっス!」
インレはシュウを見送った。


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知らない人のネトラジ聞いてたら時間無くなった(ひ



テーマ:ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学
キャスタ×ホリック ~四話~ 
2006.05.27.Sat / 06:24 
翌日。
書物がうず高く積まれた小部屋にシュウとインレは居た。
見回せば本の海。様々な高さの本の塔が床に幾つも聳える。
天井に採光の為に填められた窓からは夕日が覗く。
シュウはこれまた腐海と化している木製の大型机の前に座り何やら作業中。
インレはと言うと、しわしわのシーツのベットの上に丸くなり寝ていた。

「よし、インレ起きろ。最後の授業へ行くぞ。」
机上に出ていた書類を掻き集めバインダーに挟み閉じながら、シュウは言う。
少女の姿をした使い魔のインレがむくりと起き上がり眼を擦る。
「もうボク食べれないよ…」
「それ、すっげぇ頭悪そうなセリフな」
少女は両手を組み頭上へ掲げ伸びの姿勢。
くぁ、と欠伸を噛み締め暫く停止。そのまま倒れる様にベットへまた顔を埋めた。
シュウが厭きれた表情でため息一つ。眼鏡の位置を直し、今まさに怒鳴ろうとしたとき―――

「おらおらぁ!居るのは解ってんだ!速やかに開けやがれ!5秒だ。いや、めんどくせぇ3…2…1…」
「シュウ、居留守はしない方が良いよ。さもないと君の部屋が文字通りなくなると思うから…。」

猛々しい女の怒声と飄々とした男の声がドアを隔てた先から聞こえた。
樫作りの扉が強烈な力で叩かれ早くも限界の悲鳴を挙げている。
そして突如嵐のようなノックが止み、部屋から足音が遠のいてゆく。
なんだブラフだったか、とシュウが一息つくと―――

「よーし、おめざの時間だぜ」
「オレは見ていることしか出来ないのかっ…!」

廊下から凶悪な攻撃魔術が編まれているのを感じた。
規模からすればこの教員塔のフロア一階分は優に消し飛ぶだろう。
「解った解った!今すぐ開けるから一先ず落ち着けぇー!」
シュウは有らん限りの声を上げ答えた。
なんとか相手にも伝わったらしく、魔術構成が止まる。
舌打ちを一回。ドアへ駆け寄りつつ、ふとベッドに目を移す。
インレといえば既に―――熟睡していたのでシュウは蹴りを入れた。
「あいったぁ!子供出来なくなったらどうするつもりだよ!」
というインレに知らんと即答しつつ扉を開錠、そして開く。

廊下には二人の男女が立っていた。
女性は二十歳前半の妙齢の女性。
背はかなり高く大柄。長く伸ばされた赤髪は後ろに流されている。
瞳の色は燻った、だが決して消えていない炎を思わせる。
その濃い琥珀色の瞳の片方は前髪で隠れている。

その横に居る男も二十歳そこら。
中肉中背で短く切られた濃緑の髪。
飄々とした声に違和感が無い、これまたのんびりとした顔。
二人とも濃い紅蓮色の教員ローブを着込んでいる。

「ベアトリクスにアイズか…で、何で俺は強襲されてんだ?」
シュウが半眼で二人を睨む。
ベアトリクスと呼ばれた大柄の女の片眉が上がり息巻く。
「こんのクソ教師!緊急会議だとさっき召集があっただろうが!」
「…そういえばそんな気もするな。だが俺は授業のほうが正直大事なんだが。知ってるだろ?なんせ俺のクラスは―――」
あっけらかんと返すシュウが癇に障ったのか、さらにベアトリクスが言う。
「ホント厭きれたヤツだよ!議題知ってるか!?知らねぇだろうなぁ、てめぇの生徒が誘拐されたってのに暢気に授業の用意してやがるヤツはよ!!」
シュウの顔が一瞬強張る。だがすぐに戻った。
「冗談にしては最悪だな。」
その言葉を聴き今にもシュウの胸倉を掴まんとするベアトリクスをアイズと呼ばれた男が止める。
アイズの顔は至って真剣そのもの。
「残念ながら真実だよ。ポリアンナ、君の生徒だろう?今日……見たかい?」

「………。」
シュウは無言。
「先ほど脅迫状が学園長宛に着てね。もう既に会議は始まっている。」
「だが学園内に居るのに誘拐なんて…」
「中ならばな!」
ベアトリクスが怒気を含んだ声で呶鳴る。
まぁまぁ、とアイズが宥め先を続ける。
「早朝、寮から出て行くのが目撃されてる。何か心当たりはないかい?」
気づかない内に、すぐ後ろに来ていたインレは顔を伏せている。
シュウも黙りを決め込む。
今は原因の問題じゃないな、とアイズは続け、
「どうやら街を出た先で誘拐されたらしい。…賊にね。」
「だっからウソじゃねぇって言っただろうが!おら、会議行くぞ!」

シュウの腕を強引に引っ張り連れて行こうとするベアトリクス。
だがその手は叩かれた。
思いもしなかった行動にベアトリクスはやや狼狽。
だがそれも直ぐに収まり意志の強そうな眼を細め問うた。
「―――どういうつもりだ、クソ教師。」
「どうもしねぇさ、アホ教師。俺は行かねぇよ。」
シュウの言葉にインレは眼を見開き、ベアトリクスは激昂、アイズは厭きれた顔でため息。
三者三様の反応を見つめつつ、
「もう良いか?俺は生徒を待たせるのが嫌いでね。はっきり言うと…そんなこと知ったこっちゃ無いね。」
その言葉に一番に反応したのがインレ。
シュウの腕を力強く掴み、思い切り引っ張る。
顔にはやや涙を浮かべていた。
「そ、そんな事ないよね!?助けに行こうよ?ね?ねぇ…行こう…?」
シュウは不快な顔をし掴まれた腕を振り払う。
眼鏡の位置を直しつつ、
「…使い魔が主に意見をするなよ。」
一瞥しただけで殺せそうな冷酷な眼で見下ろした。
インレはびくんと震え、俯き黙り込む。

「あー、駄目だ。こいつはクソ以下だ。一人の生徒の命よりも授業が大事ってか。…頭沸いてんじゃねぇのか?」
「沸いてんのはテメェだ。さっさと会議行きやがれ。俺は用意があんだよ。出て行け。即刻出て行け。」
「気にいらねぇとは思ってたけどよ、ここまで最低だとは思わなかったぜ。」
汚い物を見るように眇めるベアトリクス。
一切のやり取りを見ていたアイズがやれやれとジェスチャーし嘆息。
「…君は変わったね。」
「お前は変わらないよな。」
皮肉げに返すシュウ。アイズは少し笑い、直ぐ無表情へ戻す。
「賊は、かのテロ集団『ヴァンパイア』だ。このままだと彼女は死ぬぞ。それでもオレ達と来ないのか?」
「愚問だ。」
「このままじゃ、若年で立場が弱いうえ給料が安いこのオレが、単体で身代金を奴らのアジトに持っていかなきゃなるだろうなぁ…君に助けて欲しいなぁ…って言っても?」
「…くどい。」
呆れ顔でアイズを見るシュウ。

「アイズ、もう放っておこうぜ…。トサカ来た。」
言うや否やそのまま振り返るベアトリクス。
肩を怒らせ廊下を歩き出した。
「そういう事だ。精精会議頑張ってくれ。オレは用意があるんでな。」
ぶっきらぼうに言うシュウ。
目の前に居るアイズにも離れていくベアトリクスにも眼もくれず、インレを連れ自室へ戻るシュウ。
扉が閉められる。



一人廊下に残された男、アイズ。
ゆっくり顔を上げ天井を見つめる。
「ベアトリクス用の鎮静剤でも作っておくか…」
そう呟き、会議室へ向かった。





△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

次で終わるかな、かな?

そういえば撮り溜めしてたアニメ版ひぐらしを観た。
まだ全部は見てないけど、中々雰囲気出てて良いと思ったさ。

声もあんま違和感ないしね。
つか、一話から飛ばしてんなぁ…レナ怖いよwww
テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学
キャスタ×ホリック ~三話~ 
2006.05.25.Thu / 05:05 
部屋の整理に三十分費やした。
拡散した書籍は応急処置として隅に積んでいる。
本棚は三人がかりで元に戻すことに成功した。
功労者(半強制的)のインレは部屋の主、ポリアンナのベットで疲れ果て寝ていた。

大きく開け放たれた出窓からは霞掛かる堰月がよく見えた。
遠方には峻厳なる山脈が並び、視界一面は樹木で覆われている。
春ということもあり、微かに吹く清涼な夜風が心地よい。
深々とした中、時折気の早い鳴く虫が歌う。

ポリアンナは椅子に姿勢良く座り深呼吸。
息をするたびに僅かに上下する細い肩にシュウが手を掛ける。
頬は薄く上気していて、風呂上りなのか芳香が漂う。
「準備は出来てるようだな。始めるか?」
少々躊躇いがちにこくんと肯くポリアンナ。
淡く灯るアルコールランプが彼女の白い肌を橙に照らす。
シュウは少女の肩にかけた手をゆっくりと下ろし口を耳元に寄せ呟く。
「制限時間三十分、筆記テスト開始だ」

         ●         ●         ●

「殿がご乱心じゃ!」

文字通りハンドスプリングで天蓋付きのベッドから飛び起きるインレ。
その音声に今まさに起こそうとしていたシュウが停止する。
主のドン引きっぷりにインレは頭を掻きつつ苦笑い。
「…ボク、何故か遥か遠きアマツの家老になってましてね。そこの殿が無類のメイド好きでして…」
「聞いてないし聞きたくもない!…筆記が終わった。採点を頼む。」
言ったと思えば何やら床に白墨で文様を書くシュウ。

了解、とインレは開いた手を額につけ敬礼。
こちらもまた苦笑いして用紙を差し出しているポリアンナにインレは先ほどの夢の続きを語り、またシュウに咎められた。
渋々顔でテストの採点をする。
「第一問、ね。『魔術行使する際、呪文を詠唱する場合とそうで無い場合では効果に大きく差が出る。』答えは『○』となってるっスね。直すなら今っスよ?」
藪睨みでポリアンナをじっと見つめねインレ。
突如始まった絡みにポリアンナは焦燥し視点が右往左往しだす。
「えっとえっと、確かそれで…」
「おい!俺の生徒を苛めんなよバカが!」
とシュウは床から身を起こしインレを再び咎める三回目。
白墨を握っていた手が白く汚れているのを気にしつつ、
「初歩的な問題だ。ぶっちゃけ詠唱なんぞしなくても魔術は撃てる。だがやはり術者本人の気持ちの問題もある。自分が魔術を行使していると自覚出来る詠唱をするのが今では通説だ。よって答えは『○』正解だ。」
ローブで粉を拭い、また床に文様を描く作業に没頭するシュウ。
まだまだ遊びたかったインレだが真面目に採点することに決めたようで、
部屋には正解、正解、んー、おまけで正解!と木霊していく。


「よし、出来た。」
シュウは白墨をポケットに仕舞い粉で白くなった指をローブで拭う。
足元の板張りの床には半径一メートルほどの複雑に装飾された円が描かれていた。
インレも丁度作業を終えたようで、赤い丸が付いた用紙を差し出す。
「採点終了しました!一問ケアレスがあった以外間違いは無いであります!」
ほう、と感嘆。
手を顎に添えつつ受け取った紙に眼を通すシュウ。
椅子に座ったまま上目で見つめてくるポリアンナに言う。
「合格だ。よく勉強したな、偉いぞ。」
と微笑みポリアンナの頭に手を乗せる。
頬に朱を点しているのを見てインレがいいないいな、と囃し立てた。

「さて、ラスト試験。実技だ。」
と言うとシュウは先ほど描いた円陣へと移動。
何やら呟くと上に向けた手の平に拳大の火玉が発生する。
煌々と赤く燃える炎を掲げ、インレにそれを投げつけた。
ひぃ!と声を挙げ飛びのくインレには届かず、炎は掻き消える。
「このように、どんな魔術を使おうと暴発しようと陣より外には出ない。思う存分やってみろ。」
恨めしげな顔で低く唸っているインレを差し置いてシュウはテスト内容を告げた。
呪文は何でもいい。先ほどの『火炎』を出せ、と。

ポリアンナは陣へ入り眼を閉ざす。瞑想しているのだろう。
精神統一に邪魔にならぬよう、シュウとインレはベッドに腰掛けて様子を見守る。
静寂が支配する雰囲気に流石のインレも固唾を呑み大人しくしている。
黙っていればいい子なんだが何処で教育を間違えたのやら、とシュウは呆れ顔で思ったとき、
「行きますわ。」
眼を開きポリアンナは告げた。
両手を腰の高さで何かを掬うように合わせる。
深呼吸をし、少女は詠唱した。

『――燃えなさい』

凛とした声が静寂を破る。
両手に火花が散り、球形の炎が発生し宙を一回転。
炎は激しく燃え上がり薄暗かった部屋を真っ赤に染め上げ―――爆ぜた。
数秒も続かなかった事にポリアンナは焦りもう一度詠唱を試みる。
だが今度は火花が散るだけ。発火までは至らず。
信じられないと言わんばかりの眼が見開かれた表情。
幾たびも呪文が唱えられるが、それらは唯虚空へ溶けてゆく。

「もういい。試験終了だ。」
シュウから冷酷にも告げられる。
ベッドから腰を上げ眼鏡の位置を直す。
「わ、私はまだっ…」
「ポリアンナ、挑戦するのはとても良い事だ。だが残念ながらこれは試験なんだよ。」
先ほどの筆記試験の書類を見つつ、言う。
「筆記は眼を見張るものがある。だがお前はその知識の実践経験が圧倒的に足りないんだ。」

シュウはポリアンナの頭を一撫でし、扉の前へ移動。未だベッドで俯いているインレを呼び付ける。
先に部屋から出し、ポリアンナに言葉をかけた。
「その魔術陣は残しておく。知識を実践段階に持って行け。今は足掻く時期だ。…だが今日は休めよ。」
「アンナちん!焦んないでね!ゆっくり、ね!?」
首だけ出すインレをシュウは廊下へ押し出す。


そして扉が閉められた。部屋には静寂が訪れる。
中央には一人、少女が立ち佇んでいた。
「経験が足りないなら補うだけです。頑張りますわ、私…。」
ポリアンナの瞳に光が宿る。




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今日はつよきす~Mighty Heart~の発売日。
それと、隕石で世界崩壊の日ね(ちょ
キャスタ×ホリック ~二話~ 
2006.05.24.Wed / 05:07 
廊下。樫製の重厚な扉の前に二人が佇んでいた。
一方は両膝に両手を一つずつ乗せ俯き肩で息をしている男。顔には生気が無く疲労困憊の態。
もう一方は小麦色の肌の少女インレ。頭を掻きつつ苦笑いを浮かべている。
「いやー、面目ないっす!」
呼吸を整えている男の背中を片手の掌で何度も叩く。
肺腑から空気を強制射出され、ごほりごほりと咽る男。
殺意を宿らせた瞳で黒肌の少女を眇めに睨みつつ、
「行き先を知らぬまま…道案内をするバカめ…。主の顔を見…」
インレは直立不動に加え軽薄な表情で男を眺める。
見つめられた男は中指で眼鏡の位置を正しつつ咳一つ。
樫の木のドアの前に立ち右手の背で三度叩く。
「ポリアンナ、俺だ。」

扉の向うでは椅子から突然立ち上がった様な音。そして一拍。
「はひっ!」
裏返った声の返答は女性のもの。誰が耳にしても焦っているな、と察せるだろう。
続けざまに本棚に椅子が当たり、中に積載されていた本が雪崩を起こしたような音。二拍。
踏鞴を踏みつつ扉の方へ気配が近づき金属音がした。鍵が開いた音だろう。

「お、遅かったですのね、シュウ先生。」
ドアが開き少女が顔を出す。
恐ろしく細い金細工の様な髪は腰まで伸び、大きなリボンで括られていた。傾ぐ動作に頭部の左右に一個ずつある削岩機を思わせる縦ロールが揺れる。
眼は曇り一つ無い抜けるような青空の色。宝石と比べても引けは取らず、小一時間ぐらいなら見ていて飽きないだろう。
背は女性にしてはやや高いほうで細身。腰など折れてしまいそうで正直怖い。
肌もこれまた白く東方の陶磁器で出来ていると言われたとしても疑うまい。

シュウと呼ばれた眼鏡の男はやや眉を顰め目頭を軽く押さえる。
そして怨嗟が篭もった声で呻く様に答えた。
「悪いな。特にどこぞのバカインレが悪い。制止したのにも関わらず俺をシティ引廻しの刑に処しやがってな。学園を一周した挙句、街まで出ちまった。」
眼鏡のブリッジの部分に中指を当て位置を直し、黒肌の少女を睨む。
幼児ならトラウマを確実に残すであろう睥睨にインレは物ともせずどこ吹く風。
まぁ、と声を挙げ口を手で軽く覆う驚き顔のポリアンナ。

「さぁ、少々散らかっておりますが、どうぞお入りくださいな。」
ドアが完全に開かれポリアンナは部屋へ二人を招き入れる。
部屋の中はアンティーク調の椅子が転倒し、年代を感じさせる如何にも高級そうな本棚が倒れ悉く本が床に散らばっていた。
「…少々?…いたっ!もぉ、えっちぃ!」
と言うインレの尻を抓りながらシュウは部屋へ入った。



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こっちはあと三回ぐらいで一章が終わる予定wwwww
もうちょい付き合ってwwwwww



↑インレはこんな感じかな。僕的イメージ。
主人公より先に出るなよwwwwとかいうツッコミの類は受け付けません!(ひ
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キャスタ×ホリック   ~一話~ 
2006.05.22.Mon / 04:02 
『―――太古の民、碑に戒めを刻みたり』
冥冥とした空間。目を凝らせど闇は晴れず。
ただ言の葉だけが虚空へ響く。
引声の主は男だろうか。黄泉より這い出る魍魎を思わせる低音。
『―――冥界の力を用う輩』
先とは異なる者が応える。此方は女性の様だが驚しさは劣らず。
松脂の蝋燭が灯り周囲が橙に染まる。
そこは小部屋だった。木目の天井は低く、酷い程蒸し暑い。
堆く積層された古書や羊皮紙により奥は未だ深遠。
『―――自ずからに災禍を降らしめる』
男。
床上には円陣が幾重にも描かれ外周に沿って細微な文字が羅列。
内部は錆付いた銀杯が置かれ、中は黒ずんだ液体が占める。
杯上には脈動を続けて居る心の臓。
『―――弔わんとて弔わるる事勿れと…』
女。
程が伴わぬ一定の音声。
そして禍禍しい儀式は…怒声を帯びた闖入者により終焉を迎えた。

「おい、インレ!時間だぞ!」
断りも無く真鍮製のノブを捻り、部屋に入るは一人の男。
背丈はやや高く中肉。鴉の羽の様なストレートの黒髪はボブカットよりやや長い位。
コイン程のレンズの眼鏡の向うには釣り目。射殺すように鋭い黒真珠色の瞳の三白眼。
上下漆黒の紳士服に御揃いのタイ。凶悪な形状の金具で装飾されている黒色のブーツ。
真黒に少量紅蓮を垂らした色の前面が開いたローブを羽織っている。

「ご、ごめんマスター!また遊ぼ!クリスちん!」
先ほどの低迷な音調で唱えていた女の声が打って変わり弾む。
素早く立ち上がりスーツの上にローブを羽織る男の方へと駆け寄った。
声の主は少女だった。身長は男より頭二つ分は低い。
此方も同じような色彩の外装。
上は首まで覆う真黒のセーター。胸元には深い紅色のリボンがワンポイントとして結ばれている。
下は腿の中程までのデニムのズボン。膝丈のやや上までの長さの靴下を穿き、靴は白と黒のマーブル模様のバッシュ。
よく日に焼けた小麦色の肌に、真っ赤なルビー色の眼。
短く切り揃えられた銀髪が歩くたびに揺れる。

「うん、また遊ぼうね。」
クリスと呼ばれた男は整った顔立ちの少年。
片手を少し挙げ、開いた掌を振る。
「すまないな、クリス。後でまたコイツを貸してやるから許せ。」
眼鏡の男が少年に鋭い眼を向ける。別段睨んでいる訳ではない。
お気に為さらず、という返答を聞きつつ眼鏡の男はインレという少女の手を引きドアノブに手を掛け、
「遊ぶのは一向に構わないが宿題は忘れるなよ。」
一言告げ、部屋から出て行った。

          ●          ●          ●

真紅の絨毯が引かれた廊下を男とインレが進む。
木製の壁に点々と掲げられた金色のランタンが薄暗い道を照らしていた。
通路の片面は巨大な嵌め殺しのガラス窓。隔たれた景色は闇。時刻は真夜中だ。
もう片面には樫の木で出来た扉が冗談のように遥か遠方まで並ぶ。
「おい、インレ。人型に転身すると俺に多少也とも負担が掛かるのだがな。」
男が眼鏡の位置を中指で直しつつ少女に問う。相変わらず三白眼。

少女は頭を掻きつつ場都合の悪そうな顔をし、
「正味な話、この姿だと歩くスピードが速いんスよ。いや、マジでマジで。多分歩幅ってヤツの所為っス。」
インレと呼ばれる少女は突如不敵に笑い、
「でもー、マスター程の術者だとこの位の付加は別に無問題っしょ?」
小首を傾げつつ、マスターと称される男の顔を下から覗き込んだ。

男は再び眼鏡に手を沿え位置を直しつつ外方を向き呟く。
「ま、まぁな。なんとも無いが言ってみただけだ。好きなだけその姿で居るがいい。」
少女の端正な顔立ちが満面の笑みに。
意思の強そうな大きな眼は弓形になる。
「サンキューっす!では、とっとと行っきましょーい!」
いしし、とインレは笑い男の手を引っ張った。
眼鏡の男は前のめりになりつつ廊下を進んだ。






△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

なんと覇道が一章すら終わってないのに違う話を書くという士道不覚悟。
覇道の話を考えてたつもりなんですがいつの間にか全然違う話になっていきましてね。
どうせなら忘れる前に書いちゃおうかな、と(ひ

ほら、辛いものを食べてたら偶に甘いものを食べたくなりますよね?
…なるでしょう?なりますね?…なります!
そんな感じなんですよ。うん。
別に覇道を忘れたわけじゃないですからねwwwwww
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覇道高校、新撰組! 第十三幕 
2006.05.20.Sat / 21:42 
「位置に着いて…!」
僕は100メートルの長さに引かれた直線コースの終点に立つ。
スタート地点には影が三つ。
向かって左から薄緑色の西洋甲冑を着込んだハスター。
中央には片膝を曲げ蹲り、両腕を地に添えるクラウチングスタートをとる鮎。
そして右には手首足首を回してストレッチをしている剣信。
位置逆転の魔術道具『ニトクリスの鏡』は剣信に預けている。

「よーい…」
片手に携えた剣を振り上げ、
「頼むぞ、バルザイ。」
声をかければ剣が一度震えた。
「どんっ!」
振り下ろす。奇跡は青い帯となり宙に文字が奔る。

"__百華虚空に散るらん"

深蒼に染まりかけていた空が明るくなり精彩が踊る。花火だ。
見蕩れてしまうような色取り取りの火花が視界一面に広がった。
それが合図となり鮎がゴールを目指し疾走する。
流石自慢することはあり、遠近法により段々と大きく見えてくる。
一秒、二秒経過。ハスターはルール通りにスタート地点に待機。

剣信はというと、
『へ、ヘイ!キミは何してるんだい!?』
ハスターが狼狽するのも解る。なんせ、
『何処へ行くんだい!?』
鮎はゴールに向かっている。だが剣信はゴールと真逆の方向へ走っていた。
三秒、四秒と経過。
『ま、まさか…!』
そのまさかだ。
五秒が過ぎ、六秒となろうかと言う時点で『声』が聞こえた。

"汝とは解り合えぬ。__逆転世界"

空間に波紋が広がる。
剣信が『ニトクリスの鏡』を使ったのだ。
どこが女性を思わせる『声』が響き終わった後、
「…走っていなければ平気だ。」
剣信はスタート地点に息を上げつつ直立不動。
対するハスターはスタート地点からは50メートルは離れているだろうか。
『シット!謀られた!』
6秒間の猶予を使い"ゴールから出来るだけ遠ざかり"立場逆転をしたのだ。
12秒で100メートル走れる謙信は6秒では50メートル走れる計算になる。
つまりハスターは100メートルに、剣信が逆走した50メートル分が加算される。

7秒を過ぎようとした頃にハスターが我に返り走り始めた。
流石に100メートルを3.8秒で走ると豪語するだけあり、スピードには目を見張るものがある。
その姿だけ見れば太古に風を統べていたと言うのも頷ける。
ハスターはあっと言う間にスタート地点へ到達。
その時約9秒経過。
だが一方、鮎は既に20メートルを切っていた。
スカートが翻ろうとも気にもせず、どこか子供っぽさが残るフォームで疾駆する。
普段ならば叱る所だが柄にもなく真剣な顔。
…怒るなど野暮だろう?

ハスターには少なからず焦りが見える。
鮎と謙信がベストタイムタイで走り、奴の自己新が更新されないならば理論上は勝てる。
精神陽動も兼ねたこの作戦は中々に惨い。

鮎、残り5メートル。
「もう少しだ!がんばれっ!あゆっ!」
「その調子だ!」
ボクが負けるワケないじゃないかと言わんばかりの向日葵の様な笑顔。
ハスターは50メートル地点。仮面で顔は見えないが何故か狼狽が見て取れる。
『ぜぇぇぇったいに、負けんのだぁ!』
一陣の風を纏い疾走するが、勝負の神は
「ゴーーーール!」
鮎に微笑んだ。


           ●           ●           ●


『オレの負けだよ。まさかニトクリスをあぁ使うとはね。完敗だ。』
まだ明るさを伴う空。校庭では一つの戦いが終わった。
鮎はゴールした途端ゼンマイが切れたのか地べたに座り制服の胸元を広げ扇いでいる。
謙信は勝負が終わってから買ったジュースを飲んでいる。
ちなみに僕のと鮎の、そしてハスターの分も調達しているのが謙信らしい。

「ヘンタイもなかなか速かったぞ。ボクもさすがにヤバイかな、って思ったし!」
『光栄だよ。お嬢さん達もやるじゃないか。』
「えへへ、あんがと。」

さて、とハスターは一声。
『負けは負けだ。情報を渡そう。楽しかったし悔いは無いよ。「本」はね…』
「ちょっと待ったハスター。」
気づけば口から出ていた。
「やっぱ情報は要らないよ。鮎にも謙信も悪い…。上手く言えないけど、情報は要らない。」
『…何故だい?オレには解らないね。』
「きっと…」
ジュースを飲み終わった謙信が呟く。
「正々堂々とあんたが戦ったからだろう。違うか?命。」
「大体、そんな感じ。最初は悪い奴だと思ったけどハスターはルールを守った。そういう奴に…」
『待った待った待った!』
ハスターが両手の平をこちらに向けて窓を拭くような仕草をする。
制止しているつもりだろうか。
『オレが提示したルールだ、悔いはないとさっきも言った。元よりオレは魔法で身を固めているようなものだ。キミ達は魔法を使ったことを後悔しているようだけど、オレから言わせればあのルールでこそ正々堂々なんだよ。だからキミ達が罪悪感を感じることは微塵も無いワケだ。』
それに、と付け加え
『また誰か召還されたようだぞ?このままじゃ後手後手になる。早く行こうか。』
と腰に手を当て仁王立ちのポーズ。

「…行こうか?」
何やら最後が聞き取れなかったので聞きなおす。聞き間違いだよな、と思ったのだが
『案内してやると言っている。先ほど居た場所とは離れているようだしね。古い情報を教えるのも悪いかと思うんだけど?』
「ヘンタイは味方になってくれるの?」
と鮎。さっきから思ってたけどヘンタイとは少しストレート過ぎやしないかい?
『勘違いしないでもらいたいね、オレはキミらの味方じゃない。…敵でも無いけどね。』


時刻は午後6時。
完全に日は地平線の彼方へ落ち、空は蒼に染まる。
まだ家には帰れなさそうだ。





△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

また途中で消えたー…ファッキンですよ。

というか流石に毎日書いてるとクオリティが低くなりますね。
まぁ、元から底辺まっしぐらな駄文ですが。
覇道高校、新撰組! 第十二幕 
2006.05.20.Sat / 07:22 
先ほどから大丈夫か大丈夫かとしか聞いてこなかった鮎と剣信をなんとか宥め、今は教室棟一階を歩いていた。
窓辺からは沈みかけの夕陽が見え、空は橙と薄紫のグラデーションを奏でている。
「でもさ、よく一人で捕まえれたねー」
と鮎が小首を傾げ下から覗き込んで来て言う。
…実際僕自身でも何で捕まえられたのかが解んないよ。
「変なみことだー」
仕方ないなぁ、とでも言いたげな表情。
いつの間にか氷漬けにされたと思ったら、今度はいつの間にか相手が氷漬けだった、としか言えないのだがさすがに憚れる。
その言葉は甘んじて受けよう。だが校舎で虫取り網を振り回す奴には言われたくないぞ。

この校舎に飛び込んできた時の渡り廊下へ繋がる扉の前に立つ。
比較的長身の剣信でさえ楽々潜り抜けることが出来るだろう大穴が開いていた。
「…怒られたらお前のせいだからな。」
僕は右手に掴んだ色褪せた漆黒の『剣』を睨む。心なしか申し訳無さそうに一度回路に緋色の光が走った。


        ●        ●        ●

「風がきもちいいー♪」
「だなぁ…。」
「同感だ。」
中庭にある小高い丘へ川の字になり仰向けになる。
薄紫色のまだ明るさが残る空には雲が緩やかに流れていた。
一時間ほどぶっ続けで走った事もあり、現在進行形で悲鳴を上げている体に急に訪れた休息。
出来ればこのまま眠りたいがそうはいかない。
まだ肝心の仕事の『本』の回収がある。
もしこのまま放置すれば『海賊』や『剣』の様な被害が出続けるだろう。
それは何としても回避したい。
何一つ情報は無いが鮎も剣信も手伝ってくれると言うので不思議と心配ではなかった。
左蔵は…正直心配だけど。

『ヘイ、キミ!この世で大事なもの、何だと思う?』
突如男の声が聞こえた。
ドラマで見たことがある。キザ役の男のしゃべり方だ。
「まさか…剣信じゃないよね?」
「違うが。」
「…鮎、でも無いよな。」
「ボクは鈴が鳴るような美声だろ!」
「………。じゃ、気のせいか。」
あと少し、体を休めたい。そう思い草の匂いのする大地に再び横になり目を瞑る。

『ちょっと!!無視かい!?』
「うっさいなぁ…、誰だよ?」
目の前に居ました。
臼く黄緑が入った西洋風の甲冑を着た男が腰に両手を当てた仁王立ちの姿勢で構えて。
一目で関わってはいけない人だと解るが、さらにプラスアルファの変態要素が追加されている。
「…う、浮いてるよこのヘンタイ!!」
「鮎…指差しちゃいけません、とゆーか見ちゃいけません。」
そう、先ほどの暴走中の『剣』のように浮いていた。地面からは一メートル程だろうか。

「あの…この『剣』の関係者ですか?」
恐る恐る先ほど捕獲した剣を見せる。
『バルザイじゃないか?そんなのとオレを比べないで欲しいね!』
バルザイと呼ばれた剣の回路に赤い色宿る。
拙いか、と思ったが暴走はしないようだ。一先ず安心し、
「…バルザイ?」
『バルザイの偃月刀じゃないか?ただの魔術媒介道具と一緒にしないで欲しいね。そりゃオートである程度の魔術を使えるだろうが、オレには屑みたいなもんさ。』
あからさまに肩を竦ませて腕を曲げ、両手の平を天へ向ける。やれやれとでも言いたそうだ。
あ、バルザイの偃月刀が振動してる。

『バルザイ如きでも従えたって事はニンゲンにしては中々やるものだね!』
左手を腰に当て右手の人差し指で刺さんとばかりに向けてくる。
いちいちアクションが大きい奴だ。
剣信ならまだしも、あの鮎でさえちょっと引いてるぞ。
 
『で、さっきの質問さぁ!この世で大切なもの、なんだと思う?』
僕を指していた指を今度は自分の外耳のある場所を補佐するように当てて腰を曲げる。教育番組のお姉さんか。
「…友達?」
どうやら僕に聞いたらしいので答えてみた。咄嗟だったので恥ずかしい言葉を言っちゃったじゃないか。
すると薄緑の西洋甲冑、

『否!答えは「自分と戦うこと」さ!』
頭が痛くなってきた。
横を見れば鮎も剣信も多分似たような心境だろう。見えはしないが僕も同じような表情をしているだろうから。

『おっと申し遅れた。オレは「ハスター」。H・a・s・t・u・rで「ハスター」だ。風を統べるもの、と呼ばれたり呼ばれなかったりだ。』
覇道学園広し、西洋甲冑を着込むぐらいの奇人は居るだろうが、流石に飛行能力は無いだろう。
また『本』の持ち主がやらかしたか。畜生誰だ。

『ま、正直オレは退屈でね。ちょいと遊びはしないかい?』
甲冑が両手を銃のように形作り、腕を伸ばし両方で指差してくる。お前来年消えるぞ。
「よし、充電完了。『本』探ししゅっぱーつ!」
「おーっ!」
「…ん。」

『ちょ、待ちたまい!そ、そうだ!オレに遊びで勝ったらその『本』の持ち主、教えてもいいよ!どう!?』
「どうしよう…部室棟でも回ってみるか?」
「んー、そこしかないかぁー…」
「解った。」

『よし!もう居る場所も教えるよぅ!どうだい!?』
なんだコイツ、寂しいのか…。ちょっと悪いことしたかも。
だか此処まで破格の提示をさせたんだ、遊ぶくらいで情報が貰えるなら多少時間は割いても良い。まぁ、勝てるかどうかは別として。
「仕方ないなぁ…ちょっとだけだぞ?で、何の遊び?」
「ぇーっ…」
「………。」
鮎がまだ渋る。うわ、剣信のこんな嫌そうな顔初めて見たかも。
嫌だろうな、僕だって嫌だ。でもすまない、情報はやっぱ欲しい。

『ありがとう!そこでさっきの話!…なんでこんなに回り道したんだろう…まぁいいか!「自分と戦うこと」を感じれる遊び、それは「徒競走」さ!』


        ●        ●        ●


僕たちは校庭へ移動した。
陸上部が使った後の、ラインカーで白く引かれた立派なトラックがあるのでそれを使わせて貰う為だ。
なんとか鮎と剣信を説得しハスターの遊びに付き合ってもらう事にした。

ハスターが言うには100メートルを走り早く、より早くゴールへ着いたものが勝ち。
これだけならスタンダードな徒競走だろう。
だがハスターが提示したルールは他にもあった。

①ニンゲンチームは二人が走者、一人はゴール判定審判になること。
②ニンゲンチームはどんな妨害も可。ハスター側からは手出しはしない。
③但し、魔法による妨害は一度まで。
④ハスターは6秒の間ハンデとしてスタート地点に待機。

というものだ。
四番は破格とも思えるが
『オレの100メートル走のベストは…3.8秒だ』
と言う発言により鮎がやる気を無くし無理やり、というかハスターが勝手に付け足したものだ。
だが、6秒猶予があったとしても勝つには少なくとも100メートルを9.8秒以内に走らなくてはならない。
当然金メダルレベルなのは言うまでも無い。
妨害といっても相手は変態だが太古の昔、宇宙開闢の頃は風を統べてブイブイ言わせていたらしい。勿論本人談。
そんなヤツに目潰しやら投石やらはまず確実に意味が無いだろう。
効果があるとすれば魔法の類。これは回数が一回と限定されているだけありまず間違いない。
この戦いは魔法の使い方でどう時間を稼ぐかだ。

本当はスポーツマンシップとやらで正々堂々と戦うべきだろうが、相手は人間じゃないし、常識外の速さと格好だし。
それに『本』の情報もあるので奇麗事は言ってられない。
悲しいけど、これ戦いなのよね。


『そうそう、後で言い訳されたくないから言っておくよ。キミ、「ニトクリスの鏡」も持ってるね。』
緑の鎧ヤローが僕に指差し言う。
『後ろポケット。魔力がだだ漏れさ。オレには解る。その使用者と対象者を「位置逆転」する魔法だが、期待するのは良くないよ。オレが走ってる途中に逆転となるとニンゲンじゃまず壊れるだろうね。』

後ろポケット?
指摘され弄るとメモと共に古ぼけた鏡が一つ。これは左蔵が拾ったという物だ。
これに使用者と対象者が『位置逆転』する魔法がかかってる?
確かにそう言われれば心当たりは無いことは無い。
先ほどのバルザイの偃月刀に斬られそうになった時、立場が逆転したのがそれだ。
あの時、左蔵から渡されなければ…悪寒が走った。

っと今は徒競走のことだ。
100メートルを約4秒で走るヤツだ。世界新の2倍は速い。
そんなスピード出してる最中に逆転なんかしたら幾ら運動神経が良いヤツでも良くて転倒、悪くて死だろう。
ニトクリスの鏡は使うべきではない。
となるとバルザイの偃月刀に頼る…か。
だがある程度の魔術はオートで使えるらしいが何が使えるのかが解らない。

「みことって100メートル何秒だっけ?ボクは11.6秒で、けんしんが12秒だってさ。」
「……二人に任せた。」
剣信はスポーツ万能なので文句なし。鮎は万能とは言えないが、悪くは無い。
だが飛びぬけて走るのだけは異様に速く、剣信にも引けは取らない。
となると自動的に僕が審判となるわけだ。

「…命。その鏡は誰でも使えるのか?」
剣信が言う。
「正直解らない。でも、使えたとしてもさっきハスターが言ったとおり、走行中は危ないぞ。」
「大丈夫、問題ない。」
「でも…。」
剣信がそっと歩み寄ってきて僕に耳打ちをした。
「あっ…!それなら!」
「信じていてくれ。」
「当然!…でも、無理はしないでよね。」
僕はニトクリスの鏡を剣信に渡した。
ふと片手に持ったバルザイの偃月刀を眺める。
「ごめんなー、アイツを見返してやりたかったよな?あんなこと言われてさ。」
回路に紅蓮の光が奔る。
「でも、代わりに僕らが仕返ししてやる。絶対だ。」
また一度、光が奔った。

「ま、僕は審判なんだけどね…」
慰めるつもりなのか、バルザイが微かに揺れる。





△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

ぇー、途中まで書いたらパソコンが謎の再起動。
勿論保存はしていなく、全部消えました。ヴァー。

それはそれとして死にたいわけですが、
主観表現にハマりました。

確かにスラスラ書けるし、コメディには向いてます。
でも小説としてのスキルはいまいち上がんない気ががが。
ちゃんと風景描写とかもやんないと、いざ俯瞰に戻ったときが大変だ…。

でも、面白いねん…(ひ
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! 第十一幕 
2006.05.19.Fri / 03:29 
「……遅いな。」
西階段の一階、剣信と鮎が柱の影で息を潜めていた。
「……うん。」
心なしか鮎の声に色が伴わない。
体感時間で二十分程は経過しているか、と剣信が思ったその時、
「ねぇ…?けんしん…」
「何だ?」
「みこと…やられちゃったなんて事は…ないよね?」
「…勿論だ。」
「でもさ…、ボクさっきからなんだか背筋が冷たくて…。悪い予感がするんだよ…。」
「……。」
「ボク、やっぱり見てくる!」
「待てっ!鮎!」
深々とした校舎に大音声が響く。
「……もう少し、もう少し待つんだ。」
「で、でもっ…!」
「心配なのは解る…。だが今此処を動くことで台無しになるかも知れない。」
「………だけど」
「命はそんな簡単にやられたり…諦めはしないだろう。…待てるな?」
「…へへっ、そうだね。アイツ根性無いけど嘘付かないもんね。…帰ってくるって…言ったもんね!」

そうだ、と剣信は返す。今は信じるときだと。
「無事で居てくれ…命…。」
剣信の固く握られた拳からは一筋の血が流れていた。


      ●      ●      ●


人間、車に轢かれそうになると一秒がとても長く感じたりするらしいし、ボクシングなどのスポーツで限界な状態になると汗の一滴一滴が飛沫くのが解ると聞く。
窮地に立つとスローモーションに見えるという境地をまさか自分の身を持って体験するとは思わなかったぞ。うん。
 
漆黒の刀身に血管のように巡る紅蓮の回路。脈動しているのか淡く光ったと思えば燃える様に光りだす。
自分に振り下ろされた刃をじっくりと観察出来る今なら白羽取りと云うのも出来る気がする。
まぁ、不幸にもよく解らない力で腕が縛られ身動きできないからお披露目は出来ない。
本当に残念だ。

さて、そろそろ本格的に時間が無いな。
蒼い光の帯を佩びた刀身が迫り、まさに数センチという頃だ。

耳元から『声』が聴こえた。
これが走馬灯か?とも思ったが何分初体験なので解らない。
その『声』は先ほど聴こえたものよりも幾分か高い、何処か女性を思わせた。
意思が直接、心に響く。

"汝とは解り合えぬ。__逆転世界"

瞬間、世界が回る。
目の前が暗転し、身体に浮遊感を覚えた。
あぁ、僕は死んだのか…。
開眼すれば僕は廊下を見下ろしていた。
それは一風変わった幽体離脱。
聞くところによれば普通、と言うのも変な話だが、通説として自分が客観的に見えると聞く。
だが、僕の場合は少々違った。
刹那前自分が捕縛されていた場所には『剣』がある。それも氷の蔓で縛られていた。

初幽体離脱を満喫していた僕だが、それは一瞬にして終わりを告げた。
浮遊感はいつの間にか無くなっていて目の前には氷付けになり光をてらてらと反射している廊下。
受身とか考える以前に地面に叩きつけられた。
こんなに痛いのなら重力などいらぬ!

少し事態を整理したいと思う。
氷で縛られていた僕が突如空中に放り出された。
空中に浮いていた『剣』が現に氷付けになっている。
そして女性の様な謎の『声』。
…位置が入れ替わったのか?何故?

目の前の『剣』は先ほどの威勢はまったく見られず赤い網の目の文様がただただ淡く点滅を繰り返している。
「おっと!事態整理は後っ!」
聖剣の伝説よろしく柄をむんずと握った。
『剣』は暫く発光を繰り返し、次第に緋色を無くす。
宙に刻まれ浮いていた『記号』も砂が風に攫われる様に消えていった。
ふと辺りを見回せばいつもの廊下。

気づくと無意識のうちに地面に座っていた。
氷の様にひんやりとして気持ち良いが、同時に今の光景が本物だと自覚。
「……疲れた。」
僕の両手に収まっている漆黒の『剣』を見つめて呟いた。


      ●      ●      ●


教室棟西階段一階での会話。
「……ただいまー。」
「みこと!?平気!?」
「大丈夫か!?け、怪我は無いのか!?」
「うん、なんとか…ね。」
「よかったぁ…。あ、アイツは!?あの『剣』は…ってなんで持ってんのさぁ!?」
「あぁ、なんか知らないけど隙があったから掴んでやった。にしても…そっちこそ何持ってんのさ?」
「見てわかんない?虫取り網だよ!」
「…木刀だ。」
「剣信は解るけど、なんでお前は虫取り網なんだよ!セミ採るわけじゃないんだぞ?…つーか、どっから持ってきたんだよ。」
「ん?さくらのロッカーだよ。」
「俺も左蔵のロッカーから借りた。」

ふ、と八神は肩を落とし嘆息。
「アイツ…何しに学校に来てるんだ?」

三人は間隔を置かずに同時に答えた。
「解んないなぁ…」
「しらねー」
「…さぁ」






△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

ハルヒの憂鬱を今日半分ほど読みました。
あれって主観で書かれているんですね。
いつもは俯瞰で書いてたのですが、中々面白かったので真似してみました。
主観で書くのも結構楽しいですね。
比較して幾つか気づいたことでもちょっち挙げます。

【主観視点】
良い所:描写がしやすい。心理的表現を使いやすい。
悪い所:感情移入がし辛い。

【俯瞰視点】
良い所:感情移入がしやすい。
悪い所:背景、描写能力が問われる。感情を込め辛い。

かなぁ…書いてみて思ったことは。
他にも俯瞰は解説役が必要だったり、主観だと会話のやり取りが楽ー、
とかもありますかね。
もっとあると思うけど、気になったのはこんな感じ。

最近は本を楽しむ側だけの見方ではなく、書く側の見方も出来、
正直忙しいですwww
でも、楽しみながら勉強できるってのは良いですね。

何が言いたかったかと言うと、
『涼宮ハルヒの憂鬱』楽しいよ、と言うことでwwww
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! 第十幕 
2006.05.18.Thu / 06:26 
中庭の小高い丘に差し掛かる。
眼下、正面には校門。左手には教室棟への渡り廊下、右手には部室棟が見えた。
「生徒が居ない教室棟へ行こう!あんまり目撃されたくないし…」
「…そうだな。」
「左向けー!けんしん!」
緩やかな坂を勢いよく駆け、三人は渡り廊下へ。
「にしてもノリで「倒す!」とか言っちゃったけど、どうすれば良いんだろうなぁ…。」
走りながら冷静に思考できる自分の神経に苦笑しつつ八神。
「あの…実はさぁ…ボク解っちゃったかも。」
「言ってみなさい。お母さん怒らないから。」
鮎は八神に蹴りを一発。
「んと、あのヤローの横に変な文字があるでしょ?赤いの。あれのせいかなー、って思うんだけど。」
と言い、『剣のようなもの』を指差す。
確かにその側面には赤く光る回路の他に見たことも無い形の『記号』が見える。
「スイッチが入ったってゆーのか?でも、デザインかもしんないだろ?」
「いや、ボクが触る前はなかったし。」

しばしの沈黙。
「すまん、命。俺が目を離したばかりに…」
「剣信は悪くないって。剣信は。」
「怒んないって言ったじゃないか!そ、それにボクだって悪気あったワケじゃないぞ!ただ、振り回してたらすっぽ抜けてね!ガーン!ってなってビカーン!グワッ!って!」
「もういい…。でも握った時は何にもなかったわけだな?」
「うん。ただの剣みたいだった。おかしくなったのは『記号』が出てから。」

八神が髪を掻きつつ言う。
「柄を握れば何とかなる、か?」
「…治まるかは解らない。だが所持した者を傷つけることは無いと思う。それは武器じゃない。…やってみる価値はある。」
「でも、どうやって触るか、だよねー。」

      ●      ●      ●

渡り廊下の終点。教室棟の入り口。
大きく開かれた重厚な鉄扉に飛び込み、閉める。
少しでも時間を稼ぐためだ。
「けんしん、ありがとね。」
鮎は自分から降り軽く足を回す。
「足は大丈夫か?走れるのか?」
「ボクを甘く見ないでもらいたいね!もう平気だよ!」
その場で数回跳躍する鮎。足を庇う素振りは無い。
「…まずいぞ」
「だからマズくなんて…はわっ!」
入り口を指で差す剣信。
既に扉には青白い光の帯が奔っている。
半分は既に抉り取られ夕日に染まった渡り廊下が覗いていた。

「時間が無いな…。鮎、剣信。ちょっと頼みがあるんだ。力…貸してくれるか?」
八神がこの上なく真面目な顔で聞いた。
問われた二人は一瞬顔を見合わせ、同時に息を短く吐く。
そして共に力強く首を縦に振る。


      ●      ●      ●


「我ながら無茶な注文だったかもなぁ…」
八神は教室棟の東階段を駆け上り三階にたどり着いた。ここに来るのは今日で二度目。
背後からは『剣らしきもの』が追ってくるのをひしひしと感じていた。
鮎と剣信の二人は居ない。
『僕が囮になる…。そして…その隙に…なんとかしてくれ!』
あの時の親友二人の顔は忘れられないな、と苦笑。
合流ポイントは西階段の一階。
それまでどう時間を稼ぐかが八神に科された課題だった。

その時、突如悪寒が走り、八神はふと背後を振り返る。
時たま意味も無く空中を回り蒼い残光を宿らせていた『剣らしきもの』が不規則な動きをしていた。
縦に揺れたかと思えば横に回り、斜めに前転すれば逆斜めに後転。
蒼い光は複雑な『記号』を宙に浮かび上がらせる。

『記号』!?
八神は鮎の言葉を思い出す。
……おかしくなったのは『記号』が出てから。
ここに居てはいけない。一刻も早く逃げなければ。
八神の第六感が告げる。
足が縺れつつも駆け出そうとしたとき、空気が振動したのを八神は感じた。
……声?
直接脳内に響くは音ではなく意思。

"__氷池喜懼し囚縛せん"

瞬間、周囲の温度が下がり、冷気が舞い上がる。
大気の水分までもが結晶化しダイヤモンドの様に光を反射。
窓は既に結露し世界が一瞬に白く染まる。
肺に入る酸素が痛い。

……まずいな。
八神がそう思ったときには既に遅く、
足には荊状の氷が蔦の如く巻きつき、地へ強固に結ばれて居た。
それも徐々に上半身へ伸びてきている。

宙に青白く発光する『記号』を描き終えた『剣らしきもの』は八神の背後へ。
其の侭ゆっくりと大きく後方へ反った。
緋色の回路に灯りが駆け抜けるのが間近で見える。
「一階にすら行けなかった…か。」
八神は呟く。
そして振りかぶる動きが止まり幾重にも束ねられた刃が八神に、下ろされた。





▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
うわ、三時間かかったwwwww
大筋しか考えないで詳細を全然考えてないとこうなるんだよなぁwwww

でも、ネトゲやるよりは遥かに有意義だから良いや(ひ
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! 第九幕 
2006.05.17.Wed / 05:38 
「もう走るの疲れたぁ!」
逢う魔が刻。鮮やかだった青空は今や緋色を落とす。
声が木霊するは学園の中庭。
小高い丘によく整備された芝。動物の形に剪定された樹木が一定間隔に生えていた。
教室棟と施設棟の間に存在する小庭園。
風そよぐ芝地には三人分の影が落ちていた。
八神、鮎、剣信だ。
「ほらミコトー。止まると死ぬぞー。」
間の抜けた緊張感を感じさせぬ声をかける鮎。
「なら僕と交代してくれ!」
鮎は剣信の小脇に担がれ悠々自適の表情。
「いたたたた、あ、あしがーもうだーめーだー」
「……鮎、動くと落としそうになる。」
「げ、ごめん。」

彼らの背後には『剣らしきもの』が浮いていた。
それは時折思い出したように振動し、縦に回転したり横へ回転したりで着かず離れず追尾している。
時は三十分ほど遡る。

       ●       ●       ●

八神は寮から校舎へ戻り教室棟三階を歩いていた。
最上階の三階は三年生に宛がわれ階が下がる毎に学年も下がる。
既に放課の時刻を過ぎており、新撰組特権で教室を虱潰しに巡回していた。
と言っても一学年で一千人は軽く超えるので酷く効率が悪いのだが。
城、もとい寮住まいのお嬢様方はさぞ驚いてるのだろうな、と思いつつ建物の端、三年最後の教室に入ろうとしたときだ。
終わりが見えないほど長い長い廊下の奥から勢い良く走ってくる影二つ。
顔が見える距離に入った瞬間、
「おっ、楯発見!チャラララーン!」
「…命っ!逃げろ!」
両手を頭上に上げ何かを掲げているようなポーズの鮎と、
相変わらず眠そうな顔の剣信だと解る。

そしてその後ろには『何か』が浮いていた。
長さ一メートル半ほど、緩やかに反った三日月状の物だ。
下部にグリップと思しきものがあり、巨大な出刃包丁を思わせる。
やけに厚みを感じるのは鉄板が何枚も重ねられているからだった。
どこか閉じた扇子を思わせる形状。
全てを吸い込む漆黒に染まる側面には電子回路かはたまた血管か、煌々と脈打つように光る紅い線が無尽に奔る。
その『剣らしきもの』勢い良く飛来してくる。

有無を言わせぬ事態に八神も疾走。
階段を飛び降りるように下る。二階。
「何…あれ…。」
「しらねー。」
「……解らん。」
二人して下駄箱で八神と左蔵を待っていたら突如出現したと。
で、今に至るという。

『剣らしきもの』はゆるりと斜めに一回転。
刃が奔る。
すると軌跡に淡い藍の帯がかかる。
「綺麗なんだけどさー。」
と走りながら鮎。
今度は『剣らしきもの』がふわりと横に一回転。
また藍色の斬光が宙に円を紡ごうとするが剣先が教室側の壁に触れる。
ぶつかるかと思われたが『剣らしき物』は音も立てずにすり抜ける。
「綺麗だけど、凶悪だ。」
剣信が親指で後ろを指す。
藍の残光が薄れると壁は一閃されていた。
「洒落になんないんだけど…。」
「あほかっちゅーの!」
「…階段を下るぞ。」

二階の教室をすっ飛ばし端から端へ移動。
一階へ続く階段を下りる最中。
出遅れた鮎の背後には大きく振りかぶる『剣らしきもの』。

「ひあっ!」

高らかに校内へ響く金属音。
藍の帯を纏いつつ『剣らしきもの』は踊り場の地面を跳ねる。
「ふぃー、間一髪。」
「…間に合った。」
鮎を抱き抱える八神と上段蹴りを終えた剣信。
「す、すまねぇー…」
「それは言わない約束だよ、おとっつぁん。」
と八神は笑い、
「っと、僕には重いから剣信パス。」
「解った。」
「レディに重いはねぇだろう!うがー!」

       ●       ●       ●

「左蔵は上手くやっててくれてるかなぁ…」
中庭が夕陽に染まる。
颯々と吹く風が火照った身体を冷やした。
たまには健康的な汗をかくのは良いなと八神、背後の『剣』が無ければもっと良いんだけど、と思い直す。
「あのヘタレが何ー?」
「そう言えば言ってなかったか…」

八神は図書委員会の依頼の事。
その『本』の所為で怪奇現象が起こる事。
今現在、左蔵は軍事研と組み、海賊と交戦中と言う事を話した。

「魔法の本!?信じらんねー!!」
「……では後ろのもその『本』の所為か。」
「そっか、ボクすっかり忘れてたよ。」
悪びれもせず満面の笑み。
剣信に担いで貰っているから体力が余り絶好調の様だ。
「よーし、その『本』探し!ボクも手伝ってあげよう!」
「…俺も。」
「いいの?」
鮎は変わらぬ笑みで、
「だってミコトはボクが付いてないと全然ダメダメだもんねー。」
「…友達だからな。」
と目を細め優しく微笑む剣信。

「ありがと…。」
この友が居る限り何でも出来そうな気がしてくる。
そう八神は感じた。

「チッチッチ!お礼は…!」
「…早いぞ。」
「そうだね。まずは…」

三人顔を見合わせ同時に頷く。
「「「あいつを倒す!!」」」




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毎日書いてると微妙になって来るのが自覚できる!
もっとちゃんと構成をゆっくり考えるべきかなぁ…

ま、練習的なものだし良いかな(ちょ
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組!(仮)  第八幕 
2006.05.16.Tue / 05:47 
八神と左蔵は木漏れ日の下を駆ける。
そこは森林と言っても過言は無かった。
五月。
春の終わり。だが夏もまだ始まっていない季節。
目を眩ませる程の鮮やかな新緑のアーチが陽光を躍らせ、
舗装されてない路面は地を蹴る度に腐葉土が舞う。
「なぁ…!この道なんとかならないか!?」
「仕方有るまい、一番の近道だ!!」

校舎群から大分離れた獣道。
段々と人工物が減り、今周囲には自然しか見当たら無い。
「確か、こっちには、寮が、あったよな!?」
「うむ。正確には女子寮。それも箱入りお嬢様用だ。」

息が流石に上がる頃、徐々に木々が疎らになってゆく。
すると前方には焦げ茶色の煉瓦で出来た洋風の館が霞んで見えた。
十階建てはあろうか巨大な佇まいに、寮と呼ぶには憚られる程の装飾。
城と言われても納得するだろうな、と八神。
その森林の中ひっそりと聳える城にまるで似つかわしくない物が刺さっていた。

「うわ、直撃…」
霞んで見えた理由は衝突した時に巻き起こった粉塵。
海賊船の船体が建物の半分ほどまでめり込んだ光景はさも現代アートの様だ。
走行した航路だろう、船尾からなぎ倒された樹木の道が延びていた。

      ●         ●         ●

暫く進むと急に視界が開けた。
庭へ入ったのだろう。よく整備された芝地が辺り一面に広がる。
玄関へ続く石畳に並行するように四季折々の花が生けられていた。
一際目立つ円形の噴水が優雅さを醸し出す一方、館には帆船が刺さりワイルドさを漂わせている。

「委員、部活動の時間でよかった…。」
「死中に活、か。」
覇道学園は授業時間は短いが、その分人生学習として必ず一つ委員や部活動に入る規則がある。
勉強だけでは中々に視野が広まり難いという理由だ。
今は幸いな事にその時間であり人気は無い。
「さっきから気になってたんだけど…。ねぇ、あれは何?」
屋敷に刺さった海賊船の甲板から骸骨の群れ。
片手に赤銅色のやや長めの刀身を持つ剣。
身体には服だったのだろう茶色にくすんだ襤褸切れを纏う。
「海賊だろう。恐らく本物。」
間を空けて八神。
「…演劇部じゃなくて?」
「加えて技術部でも生態研究部でも無い。」
遠めに見えても着ぐるみでは無く、精緻に動く人型の模型でもない。
ならば本物であろう、と。

左蔵は徐に制服の胸ポケットから折りたたみ式の銀色の携帯電話を取り出す。
「軍畑(イクサバタ)か?我輩だ。…うむ。『あれ』を実戦で使用出来る機会が来たぞ。…今日だ。…問題は無い。相手方の得物は鈍のカトラス一本。……遠慮は要らん。……あぁ構わない。では『城』へ至急来い。…保健委員とレスキュー部も呼んで来い。……いや、万が一だが姫らが怪我をしているやも知れぬのでな。……うむ、だから遠慮など要らぬ。……うむ、ではな。」
赤い通話終了ボタンを押し一息。

「我輩が思うに、この怪奇現象は『本』を持つ者の仕業だろう。」
「…『本』?」
うむ、と同意し、
「書名は…『セス・ビショップ抜書』で間違いあるまい。」
八神はスラックスの後ろポケットを探りメモを取り出し、
「名前…教えたっけ?」
驚きの表情を見せる。
対する左蔵は至って冷静。
「いや、しかし想像は付く。海賊船は恐らくラグナールだろう。」
「ラグナール?」
「古代ノルウェーの海賊だ。魔女の母を持ち<血まみれ斧>と呼ばれ恐れられたのが船長ラグナール。竜の頭蓋らしき物が船首に備わって居ただろう。あれは彼のトレードマークの様なものだ。」
「確かにあったけど…。でも何でソイツが?」

目を閉じたまま少し考え込み、そして言葉を紡いだ。
「八神、『死霊秘法』を知っているかね?『ネクロノミコン』と言えば有名だろう?こと召還においては最悪なものだ。最高とも言えるがね。それならば海賊亡霊如き十分可能であろう。」
は、と吐息。
「だが『ネクロノミコン』の表紙は木製では無いと聞く。」

疑問符を浮かべる八神。
「…まだ?」
頭を左右に振り、落ち着けと言わんばかりに手で制す左蔵。
いや、現に目の前で侵略が繰り広げられているんだけどと八神が言おうとするが、
「そこで『セス・ビショップ抜書』なのだ。この魔導書は異端中の異端とも云える物でな。『ネクロノミコン』『ナコト写本』『屍食教典儀』『ルルイエ異本』と四冊の禁書の良い所取りだ。洒落にならんが、これならば条件に合う。そして…その書は表紙が木製の大型本らしい。」

左蔵は一度固められたオールバックの髪を掻き揚げる仕種をし、
「まさかこの学院の図書室に蔵書されているとはな。この光景を見なければ信じなかった所だ。…八神、とんでもない物を持って行かれたぞ。至急…」
「その『本』を回収しろ、だろ?」
うむ、と頷き肯定の意。
「この場は任せたまえ。先ほど友人の軍事研にアポを取った。戦闘オタクには持って来いだろう。ミリタリーゲームだと言えば喜び勇んでやる連中だ。」
先ほどの電話で話していた内容だろうと八神は察す。
「そういえば『あれ』って言ってたけど…」
左蔵はしっ、と言い人差し指を八神の口に当てる。
「違法では無い。…気がするのだ。」
「………聞かなかったことにしとく。」

そうこうしている間に軍事研究会が到着。三百名ほど居るだろうか。
黒の軍靴に緑を基調にした迷彩服。
胸に掲げるはまるで本物の様に精巧に作られている銃身を詰めたショットガン。恐らく模型。恐らく。
軍畑(イクサバタ)と呼ばれた将校服の生徒と作戦を組んでいる左蔵にその場を任せ、別れを告げると、
「すまぬが此れを持って行ってくれ。」
と手の平代の銀板を八神に手渡した。
見れば精密な細工が施された手鏡。素人目にもかなり高級なものだと伺える。
左蔵が散歩している最中に拾い、届け出ようとした時に八神に逢いそのままだったと。
捜索主が居るやもしれぬので、代わりに届けてくれと言う事だった。
八神は二言返事で了解し、スラックスの後ろのポケットにメモと一緒に仕舞った。

時刻は三時。
これ以上被害が出る前に『本』を持ち去った人物から回収しなくては、
と八神は森へ飛び込んだ。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
ヴァー
一回途中まで書いて、下書き保存しようとしたら投稿失敗。
スタートにもどる。

すいません、途中でちょい集中力切れた…。
次回にご期待ください(ひ
覇道高校、新撰組!(仮)  第七幕 
2006.05.15.Mon / 02:56 
「と言う訳なんだよー…」
「ふむ、それは難儀。当然貴様の性格も含めてだが。」
放課後。黄昏にはまだ遠い時刻、教室棟の二階の廊下に二つの影が射す。八神と左蔵だ。

左蔵が部活まで時間があり散歩していた所を八神が捕まえ、事のあらましを話していた。
「して、その書物とはどの様な代物かね?」
八神がスラックスの後ろポケットから葉書き大のメモを取り出す。
「木製表紙で…一抱えほどある大型本…らしい。」
「値打ち物か?」
「らしいけどね。ずっと書庫に仕舞われてたしそれを知り得る人はほぼ居ないって言ってた。」
「ならば換金目的の可能性は少ないな。書名は何と云う?」
八神は再びメモに視線を落とし、
「えと…セス・ビ…」

ふと併進していた筈の左蔵が居ない事に気づく。振り向けば二三歩ほど後ろに立ち尽くし、眉根を寄せ窓へ顔を向けていた。
「左蔵?」
「しっ…。静かにしたまえ。」
左蔵は右手の人差し指を八神の口に当てる。
「八神、何か音が聴こえはしまいか?」
窓から外を見つめたまま問い、
「そういえば…地響きみたいな音がゴゴゴゴっと…」
「ふむ、第二の質問だ。あれは我輩にだけ見える幻覚だろうか?」
す、と指先で外を指し示した。

八神がそれを目で追い外の光景を見る。するとそこには、
「船?」
「貴様にも視える為らば白昼夢では無い、か。」
船が校庭を走っていた。
周囲の校舎から比較するに裕に高さは百メートルを超えるだろうか。
遠近法ながらとても巨大なことが伺える。
船首には竜の頭蓋と思わせる物が備わっており、舷側には規格外な大きさの楯が幾つも沿って並んでいる。
恐らく風化しているのだろう、まるで大きな爪でズタズタに裂かれたかの様な状態の黒色の帆。
そこに血よりも濃い深紅で描かれいてるものは顎門を開いた禍々しい髑髏。

「…海賊船?」
「の、様だな。」
校庭には当然の様に水路などの設備は無かった。
だが巨大な海賊船は砂利の大地をまるで広大な海原を航海しているように疾走する。
「演劇部のテスト走行か…それとも…帆船同好会かな?」
「しかし、彼らには逆立ちしたとして船一つで陸を渡る事など出来ぬだろうな。」
船底に台車でもあればまだ解るがあの海賊船にはそれが無い。
現に地面に数メートルはめり込んでいるのを見ると本当に走行しているのだろう。
「む、いかんな。あの方向は…」
突如、文字通りに天を突くような轟音が学園内に鳴り響く。
大地が激しく振動し、立つのも儘為らないほどの揺れだ。
「ななななんだよこれっ!」
「恐らく…!例の帆船が激突したのだろう!」
「また仕事が増えるのかぁ…」
「仕方有るまい!征くぞ八神!」
「当然!」

八神と左蔵は未だ轟音と振動が鳴り止まぬまま、羊の刻の廊下を駆け抜けた。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

本日はちょっと短めで行こうかな、と。
珍しく今後の展開に迷ってます。
大まかな流れは決めてあるけど、順番が難しくて…
け、けして手を抜いてるワケじゃないんだからねっ!
覇道高校、新撰組!(仮)  第六幕 
2006.05.14.Sun / 04:34 
昼下がりの道場には二人、つららと舞鬼が居た。
「どーしちゃったんだろ…みことちん」
「うむ…」
舞鬼は既に攻略済みの棒状のキャンディの包み紙を丸め、つららの上着ポケットにさり気なく投下。
「入隊してくれたって事でいいの…かなぁ?」
「だろうか…」
頭に『?』を浮かべまくっているつらら。腕を組んだ状態で片手を顎に沿え、しきりに頭を捻っている。

ひと時の沈黙。
そして、
「…あのね?つーちゃん。やっぱ、あたしも新撰組に入ろうかと思うよ。」
座布団から立ち上がり乱れたスカートを直しながら舞鬼。
「二人ばっかに危険な目は遭わせられないもん。」
「其れは局長として断ろう。」
「で、でも!!」
「でももヘチマも無い。自分が生徒会長と言う事を忘れたか?其れこそ危険な目には遭わせられん。」
つららは舞鬼に歩み寄り頭を撫でつつ、
「お前はずっしり構えて笑っていてくれ。そうでなければ私の調子が狂う。」
はははと笑うつらら。
頭を撫でられていた舞鬼は顔を伏せ声を震わせこう言った。
「でもっ…でもっ!!何かあったら絶対手伝うんだからっ!!…手伝うんだからっ!!」
「は、覇道…泣いてる!?とととと取り合えず落ち着こう、な?」
「うぇぇん…っぐっ…つーちゃんのバカぁ!!!でも大好きぃー!!!」



八神は肩を怒らせ施設棟への渡り廊下を歩いていた。
「ったく、こんな要望を一々出すから新撰組が疲労で倒れるんだっつーの!」
手には封を開けられた白い封筒が一つ。表には『陳情書』と行書体で墨を用い書かれていた。
「『帯出禁止の本が無くなった』?その位自分達でなんとかしろってーの!」

間も無く施設棟へ差し掛かる。
聳えるは三階建ての比較的低い建物。
高さの割りに広さはとんでもなく広大、端が霞んで見えるほどだ。
施設棟は名前の通り生物実験室や科学実験室、被服室や室内プールなど教室では行えない授業をする特殊施設を全部詰め込んだ棟だ。

八神は歩みを止め見上げる。ルームプレートに記された文字は『図書室』。
「図書委員会にはガツンと言ってやらないとな。」
つらら先輩に寄ると今は図書委員会の緊急会議で一般開放はされていないらしい。
絶好の機会と踏んだ八神は騒がしく雑踏の音が洩れる扉を勢い良く開放。
開口早々まくし立てた。
「新撰組です!陳情の件で参りました!」

静まり返る図書室。
施設棟の一階全てを仕様しているだけあり広さは尋常ではない。
本棚の海が視界の届く限り広がっている。
図書委員だろうか、彼らはまるで写真の様な一時停止をしていた。
床に伏せヘッドスライディングのポーズのまま固まっている者。
会議用机の下に足を抱え込み座っている者。
悪霊退散と書かれた鉢巻を頭に閉め祈祷している者。
『焼きそば』と筆で書かれた屋台を出している者並ぶ者。
椅子に座している生徒は誰一人として居ない。
「あ、あの…新撰組です…」
八神は目の前に繰り広げられるカルト集団の様な光景に恐れつつも改めて申し出る。
するとその言葉が何かの合図のように静寂を断ち切った。

「「「た、助かったぁあ!!!!!!!!!!!」」」
辺りに響く大音声。
八神は扉を閉めて外に出た。
再びルームプレートを見上げる。『図書室』。
「違う図書室だったか…」
封筒をポケットに乱暴につめ180度ターンする八神。
その背中に再び声が降り注ぐ。

「「「ちょwwwwwwおまwwwwwww」」」


「先ほどはお見苦しい光景を…まったくお恥ずかしい…」
「お見苦しいというか心底怖かったです。」
八神は図書室別室のソファに腰掛けて居た。
教室二つ分程の広さで本棚は当然、他には机や流し台。大型冷蔵庫に仮眠ベッドなどが置かれている。
恐らく委員の休憩室目的で使われる部屋だろうと察した。
新緑を思わせる色のソファに腰掛けた生徒が対面の八神に声をかける。
「わたしは図書委員会委員長、本多・菜月(ホンダ・ナツキ)と申します。」
「僕は新撰組の八神・命(ヤガミ・ミコト)と言います。陳情の件で伺いました。」
途端に顔を輝かせ、興奮冷めやらぬ調子で、
「ということは引き受けて戴けるのですね!」
ソファから勢い良く立ち上がり対面のソファとの間に挟まれたガラス製の机を叩く菜月。眼鏡がずれる菜月。
「い、いえ、それがですね…お断りしようと…」
「えぇぇぇぇえええぇぇぇえ!!!!」
両手を頭上に振り上げ大仰に仰け反る菜月。眼鏡がずれる菜月。
この恐怖空間から早く立ち去りたいと思う八神が続ける。
「此方としても『本が無くなった』と言うだけで要請されては正直身が持ちません。新撰組は便利屋では無いんです。」
ここで一息。
「ですから…」
「もぉおおうおう終わりです!この世は終わりだったんですよ!」
両手で己の頭を鷲掴みし叫ぶ菜月。眼鏡がずれる菜月。
「あの…」
「もう死にます!今、死ににいきます!映画化決定ですよ!」
がしりと頭を掴んだまま猛烈に左右に振る菜月。眼鏡がずれる菜月。
そのまま急に止まり、うな垂れた。

「あの本は…とても大事な物なのです…。」
そう緩やかなトーンで語りだした。
本は稀少書で歴史的、金額的にもとても貴重な物。
喪失となれば大問題になり委員は全員責任を問われクビ。
悪ければ怠慢による貴重な備品喪失で退学にもなるだろう。
勿論、委員総出で散々捜索はしたが見つから無い。
一人でも多くの人の手を借りたいが、外部には情報を漏らすことは不可能。
そこで数々の事件や要望を解決した実績を持つと聞く新撰組を頼るしかなかった、と云う旨だった。

「今思えば内輪で処理しなくてはいけない問題ですよね…ごめんなさい…」
菜月はずれた眼鏡を両手で位置を直し、ゆっくりと頭を下げた。
「頭…上げてください…」
八神は菜月を遮り立ち上がる。
「そういう事情ならば話は別です。微力ながら助太刀します。」

八神は図書委員長の顔が見たくなかった。
悲しく、何処か切なそうな表情が先刻のつらら先輩に被ったからだ。
「あ…あぁ…あっ…有難う御座います!八神さん!」
顔を破綻させてまで喜び涙を流す菜月。眼鏡がずれる菜月。


八神は思った。
たかが一冊の本、簡単に見つかるだろうと。
それが間違いだったのは直ぐに思い知らされることになるのだが。




▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

やっと一章の本編に入れました。
これからトンデモ路線に入りますよヒャッホー。
た、ただの学園ものじゃないんだからねっ!

ぶっちゃけ新撰組じゃなくてもよくね?とか思う今日この頃の雪都でした。(ひ
覇道高校、新撰組! 第五幕+休み時間 
2006.05.13.Sat / 08:35 
八神達は畳の部屋から出て長い板張りの廊下を移動。
庭に面した廊下は日光を浴び暖かな熱を帯びていた。
「つらら先輩、僕はどのくらい気絶してたんですか?」
八神が先を歩く御堂・つららに尋ねた。つららは長く束ねられた髪を揺らし振り向く。
「あまり時間は経っていない筈だ。せいぜい十五分かそこらだろう。でも何故そんな事を聞く?」
気絶など頻繁にしたことが無い八神はその時間が長いのか短いのか気にしながら、
「いえ、これから会議ですよね?皆さんを待たせてしまったのではと思って…。」
気絶していたとは云え遅刻には変わりは無い。自分の為に大勢の他人が時間を割くと為ると八神は申し訳ない気持ちになった。
俯き加減の八神に声をかけたのは覇道・舞鬼。
「んなこたぁない!あたしは遊べて楽しかったし。」
「でも他の方は…」
怪訝そうな顔でまたつららが後ろへ振り向く。
「…私のことか?ならば気にするな。元より私にも責がある。」
「そう言って貰えると助かります…。あと他の生徒会の方は怒ってましたか?」
つららと舞鬼の歩みが不意に止まる。すると同時に口を開き、
「…他に誰が居るんだ?」
「悪いケド、あたしを守護する妖精さんはちっとやそっとじゃ…いたっ」
舞鬼はつららに頭を叩かれ口を閉ざした。


長い廊下を突き当りまで行くと、離れに小さな道場があった。
小さいと言っても一般家庭の一軒家ほどはあるだろうか。
屋根にあるくすんだ黒色のいぶし瓦と象牙色の外壁。
内部も外見にそぐいシンプルながらも日本独特の優雅さが伺える。
埃一つ無く磨かれた板張り床の上には大きな移動式の黒板が出されていた。
黒板の正面にはつらら。右手に白いチョーク、左手に紅いチョークを持っている。
そして少し間隔を置き八神と舞鬼が座布団に座っていた。

「八神、お前にはどうも教育が必要なようだ。」
つららが黒板に右手のチョークで大きく『八神』と記し、左手で赤線を下部に引く。
「今から生徒会の仕組みと現状を教えてやる、ってつーちゃんは言うよ。」
「今から生徒会の…おい覇道、少し黙っててくれ。お菓子をやるから。」
つららはスカートのポケットから棒状のキャンディを手渡す。
舞鬼は渋々受け取り嘗めるが満更でもない様子。

「まずは仕組みから話そう。八神、新撰組係りは知っているか?」
「ええ。生徒会補佐及び警邏係りの略称ですよね。」
「正解だ。我々も、一々生徒会補佐及び警邏係りと言うのは些か面倒なのでな。ここは通称ながら新撰組と呼ぼう。その新撰組は元の名前通り生徒会の補佐を担当し警邏、つまり学内風紀を乱す者を取り締まる。」
『新撰組』の下に赤いアンダーラインを引くつらら。

「では、生徒会だ。生徒会の仕事。それは各諸行事の企画運営、委員会及び部活の統括、生徒の陳情の処理、予算決定などだったが…」
「…だった?」
うむ、と呟き『決定』にアンダーライン。

「今では部委員会統括と陳情の処理しか主な仕事は無い。企画運営は行事企画委員会の専任制へ移行。部活や委員会の支出は我々の学費からは出ない。覇道グループの実益から出るからな。よって全校生徒に内容を公表する必要も近年薄れつつある傾向だ。予算申請は学内の経理課へ提出する事もあり、有り難い事に一昨年から経理課が変わってくれた。」
黒板に
生徒会→統括、陳情処理。
企画運営→行事企画委員。
予算決定→経理課
と新たに文字を書き記すつらら。
『覇道』『もあり』にアンダーライン。

「そこで今の現状に入る。統括と陳情処理しか仕事が無くなった生徒会は今其処の生徒会長だけで組織されている。これには事情があるのだが、それは後で話そう。」
其処扱いされた生徒会長の舞鬼は必死に飴を攻略している途中で聞く耳持たず。
「委員会や部の組織統括だが…実際はやることが無い。各委員長、部長が中々に立ち振る舞っているようでな。あっても現状を報告する定期会議で雑談するぐらいだ。我々新撰組の出る幕ではない。」
『やる』にアンダーラインしつつ、つららが正面に向き直り八神を指す。
「簡単な引き算だ。みんな引けば答えが解るだろう。我々の仕事は何か?」
「……陳情の処理?」
「そう、その陳情処理を二人でやる。」
「よく解りました。そうか二人で…二人で!?」
再び黒板に向かい『みんな』と記し赤で囲むつらら。

「そろそろ何故生徒会に現在会長一人なのかも話しておくべきか…。」
ゆっくりとつららは舞鬼へ視線を移した。
その仕種に八神はつられ舞鬼を見ると飴を嘗めるのを止めて俯き、苦虫を噛み潰したような沈痛な面持ちをしていた。
舞鬼は静かに、だがゆっくりと声を出した。
「…………口の中が甘ぁい。つーちゃん飲み物頂戴?」

つららはスカートのポケットから『まロ茶(500ml)』を出し舞鬼に渡す。
満面の笑顔で受け取った舞鬼は一気に飲み干し、再度飴を攻略にかかった。
「最初は生徒会には会長と副会長の二人を残し、書記や会計が新撰組に加わった。生徒らの為に働きたいという彼らの要望でだ。だが問題が起こった。」
眉を顰め、目を瞑り一言一言かみ締めるようにつららは呟く。

「学院内中に目安箱が設置されているのを知って居るか?学生の陳情はそこへ投入されるのだが、それを解決しようとするに連れ新撰組の隊員が一人二人三人四人と辞めていくようになってな…」
なにやらノイローゼや欝などの精神的症状が多いが、中には肉体的な、それこそ入院沙汰の事件もあり、続けられなくなった者があとを絶えなかったらしい。
「元々二十人ほどだった新撰組も遂に一人となった。その一人も先月重傷を負い、今は大学病院で療養中だ。」
「では新撰組はもう居ないんじゃ…ん?ならつらら先輩は…」
「先に述べたな。生徒会には二人居た。新撰組は片や零。だが今は一人ずつだ。」
そう、私は元副生徒会長なんだぞ?と少し自慢げに笑顔で言うつららに八神は憤りを覚えた。

「何で…何でそんな危険な思いをしてまで学生の願い…いや我侭を聴くんだよ!?現に全員辞めてんだろ!?危ないと解りきったことをやる…なんて…」
一息でまくし立てた八神。
突然の事態につららが呆然とし、舞鬼も動きを止める。
しまったと思い直すが既に道場は沈黙で包まれていた。
その沈黙を謝罪の言葉で破ろうとした八神より先に、声を発した者が居た。つららだ。

「ははは、確かにそうだな。危険だ。確かに危険だ。怖いさ、確かに怖いさ。…だけどな八神、誰か困っている人の助けになりたいと思うのは果たして悪いことだろうか?私はそうは思わない。」

八神は耳を疑った。
この人が自分の危険よりも見ず知らずの他人の幸せが大事と言った事に。
悪漢に囲まれた見ず知らずの他人を助けるか?
線路に落下した見ず知らずの他人を助けるか?
答えはNOだ。
自分の防衛よりも他人の防衛を優先順位に置くのは生きることを念頭に置いた『生物』からは脱している。
もし存在し得るのならば自己満足で偽善のバカがすることだろう。

「すまなかった。こんな危険な仕事を募集すべきではなかったな。」

あぁ、きっとこの人は筋金入りのバカなのだろう。
悪漢の中に飛び込み、線路にも駆けつける。

「一人志望者が居ると聴いた時は嬉しかった。そう、とても…嬉しかった。自分で言うのもなんだが、真逆居るとは思わなかったのでな…。」

精一杯隠しているのだろうが、消え入りそうな何処か儚げの笑顔。
他人を助けることにより優越感を感じ、自己満足に浸る人間には出来ない、そんな笑顔。
この人はバカだ。…だが

「やはり説明をして良かった。八神、共に職員室へ行き書類を撤回…」
「つらら先輩が辞めるんですか?では、僕が次期局長ですね。」

だが、嫌いじゃない。

「八神…?お前は何を…?」
「僕は辞めると言った覚えは無いですよ。」

こんな危なっかしい人は初めてだ。
誰かがこの人を守らないと。
今一番近くに居てあげれる人は自分しか居ない。

八神は、そう思った。

そして呟く。
「あははっ、つらら先輩はアンダーライン引くの下手ですね。」
黒板には『八神』『新撰組』『決定』『覇道』『もあり』『やる』『みんな』の文字に朱が差していた。





△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
ゴゴゴゴゴ…
長くない?長くない?…長いよねー!
二時間半も考えタイプしてた俺もえすwww
でも、まだまだ続くんだからねっ!


そして恒例の(?)おはがきコーナー!
まず最初は


殿下から左蔵が!
ちょwwwやっぱアンタ上手ぇよwww
オールバックとか僕には出来ない(ひ



お次はけんしんー。
ムズイけどよく描いてくださった!感動した!マジで!
眠そうなのがまた雰囲気でてるwww
大丈夫、このけんしんもありありwww



そして『RaRaRo』のららさんから2-D幼馴染軍団きたこれ。
ぶwww身長が考えてたのと一緒www
けんしん>さくら>みこと>超えられない壁>あゆでしたから(ちょ
はぅーいいよぅーまじでいいよぅー



そして命ver.新撰組wwww
ちょwwwマジかっこいいwww
切り殺されたい(ひ



こちらはつららver.新撰組。
ちょ、これポスターにして良いですかね?(ひ



そしてりっちがデザインしてくれた制服をららさんも描いてくれました。
うほっ、やっぱかぁいいなぁ…この制服。
照れてるつららかぁいいよぅ(ひ



最後にマイオニー。
ちょwwwバカに見えないよwwwかっこいいよwww
はなめがねをなにげ持ってるのもポイント高いですb




あー、もう何かホント嬉しいです。
読んでくれてるだけでさえ激嬉しいのに、その上絵も描いてもらえるなんて。
しかも「~が良かったよ」とか褒められた時なんかじーんときちゃいましたよ。

頑張れるのはみんなのおかげですb
覇道高校、新撰組! ~休み時間~ 
2006.05.12.Fri / 06:35 
フォオオオオォォオオ!!!

やばいやばいやばい大興奮。
小説仲間が僕の駄文を読んでくれただけでなく、なんと絵まで描いてくれました。
もうだめだめ鼻血出るwww
ちょww宝物にしますww

許可も貰ったので今日は掲載のお時間。



まずは『Rough Note』のせり殿下からの御堂・つらら。
こんな感じですこんな感じ!というか惚れる(ひ。
着々と画力を付けていってるなぁ…油断なら無い子ですよもう!




次はりっちから全キャラプレゼント戴きました(ちょ
まず鮎から。
ちょwwやばいwwほんとかわゆすww



みことん。
気だるげなのが良いよはぁはぁ(オチツケ



サクラ。
オールバックにしたのを怒られもしましたが描いてくれましたww
雰囲気スゲー出てるよマジでナイス。



けんしん。
何故か描きづらいキャラその一。
髪がムズイって言ってたけど全然上手いよ!
あと流し目エロス。



つららん。
何故か描きづらいキャラそのニ。
ちょ、まじクールビューティー!
これもエロスw



バカことマイオニー(ちょ
あのはなめがね画像からここまで持ってきてくれたりちに感謝w



その後りっちから制服描けよ!とご指摘があったので描いてみました。


モデル:鮎
だがどうみても東鳩の色変えです。本当に。
ごめんよごめんよ、服のデザインなんかしたことないよ!!

見るに耐えかねたりっちが考えてくれたのがこれ。↓


さすがだぜ。俺に出来ないことをすんなりとやってのける。
そこにシビれるあこがれるゥ。
しぼり部分とかこぎかわいすww

最後に提出したのがこれ↓


モデル:つらら
色はこっちで適当に決めました(ひ
眠い目擦りつつだったからなぁ…
今度ちゃんと塗りなおしますね。


▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

いやー、なんか自分が作ったキャラを描いてもらうってのは
ホンッッッットに嬉しいですね。
冗談抜きで永久保存モノですよ。
今度キャラ別に絵を纏めてキャラ紹介の所に展示しますね(ひ

もうみんな大好きだ。マジで

よし、明日からまた頑張ろうっと!
覇道高校、新撰組!(仮)  第四幕 
2006.05.11.Thu / 03:27 
「おぉ、コイツ…動くぞ…」

目覚めれば八神は布団の中に居た。
青々とした畳が敷いてあるだけの殺風景な部屋。
仕様の襖の内一面が開放されており、向こうには見覚えのある漆喰の塀と松林が見える。恐らく道場の中か。
「…つっ」
意識が明瞭になるつれ後頭部と左肩の痛みも思い出す。
何者かに攻撃された後遺症だろう。

「何か装備は無いのか?」
「いや、無いけどキミは誰?」
もぞもぞと身体に触って来る少女に声を掛ける。
ウチの学園の制服を着ているが、多分小等部の子だろう。
頭の両側の髪を束ねたそれぞれのボンボンが揺れている。
「アムロ!」
「安室ちゃん?お兄ちゃんはここの生徒会長さんに用があるんだ。いい子だから一人で遊んでてくれるかな?」
「だが断…」

そこでガラリと襖が開いた。
「む、起きたか曲者」
制服に身を包んだ女性が其処に立っていた。胸に着けたリボンの色からすると三年生か。
濡れたような黒に薄く藍がかかる髪は長く伸ばされ腰の辺りで一度束ねられている。
端正な顔立ちで何処と無く日本人形を髣髴とさせる。
気になるのはただ一点、右目に切られたような傷があること。
瞳の色が少々くすんで見えた。恐らく瞳孔が開いているのだろう。

「すまないな。道場破りかと思いつい叩き伏せてしまった。だがここは道場ではないぞ。生徒会の屋敷だ。まったく間抜けな奴も居るものだ。」
ははは、と笑う彼女。だがバカにされている様な感じはしなかった。
悪意無い澄んだ笑顔に何処かこそばゆい感じかするが少し違和感がある。
その違和感に気づき
「あの、僕は今日付けで生徒会補佐及び警邏係りに任命されました八神・命と言います。」

訂正した。
そして一瞬にして静寂が訪れる。
ビデオの一時停止の様に固まっていた三年生の女性がゆっくりと口を開いた。
「うむ、話は聞いている八神・命。私が生徒会補佐及び警邏係り、通称新撰組だな、その代表『御堂・つらら(ミドウ・ツララ)』だ。」
 
「…つーちゃん、話を聞いてるハズなのに叩き伏せたの?」
「い、いや、あれは…そう!テストだ!隊士たる者あれくらいかわせなくてはいかん!」
「でも『曲者!』って言われましたよ?僕。」
「う、五月蝿い!あれは貴様が全面的に悪いのだ!」
「でも…」
「ええい黙れ黙れ黙れ黙れ~!!」

顔が紅潮し肩で息をする御堂・つらら先輩。
確かに勘違いさせた僕が悪い。冗談で乗ってみたがまさか必死に返されるとは。
中々からかい甲斐のある人…、いや、これは傷つけてはいけないピュアだ。
「と、言うことだ会長。」
強引に纏める手段に出たなという場の雰囲気。
だがまたも違和感。
「…会長?」

「ほいほーい!会長だぞーい!」
高らかに片手を挙げジャンプする少女。…少女。
「え?…ギャグ?」
「ギャグではない。これでも列記とした会長だ。」
どう見ても小等部の子供です、本当にありがとうございます。
しかし真面目ピュアなつらら先輩が言うからには事実なのだろう。
 
「おい新顔!名を名乗れぃ!」
少女ならぬ生徒会長が声を発す。
「え…ですから僕は…」
「オラは『覇道・舞鬼(ハドウ・マイオニ)』!ヨロシクな!みんなは親しみを込めて『ハーマイオニー』と…」
「呼んですら居ない。気にするな八神。」

八神は思い出す。
生徒会長は覇道学院創立の覇道グループ会長の愛娘だと言うことを。
覇道を冠する者だから自動的に会長の座に着けるのか?答えはNOだ。
特権を使えば勿論為れるだろうが、この会長は公正に則り、そして当選したわけだ。
カリスマ性(?)や地位を鼻に掛けない性分もあり、絶大な支持を受けていたりする。
そういえば去年の生徒会長選挙凄かったよなぁ…。死者が出なかったのが不思議だよ…。

「では八神、早速だがこの後会長も含めての談合だ。着いて来い。」
きっと気絶の所為だけではない疲労を感じつつ八神は畳の部屋を後にした。




▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

うはwwwwながすwwwwww
ごめんwwwwww
覇道高校、新撰組! 【学生簿】 
2006.05.11.Thu / 02:26 
何度か変わるかもしれません(ひ
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

みこと

2-D 八神・命(ヤガミ・ミコト)



2-D 川原・鮎(カワハラ・アユ)

さくら

2-D 深山・左蔵(ミヤマ・サクラ)



2-D 橘・剣信(タチバナ・ケンシン)

つらら

3-A 御堂・つらら(ミドウ・ツララ)

まいおに

3-A 覇道・舞鬼(ハドウ・マイオニ)

なこと

2-D ナコト=ミコテン=ルルイエ

くとぅぐあ

クトゥグア

いたくぁ

イタクァ

なつき

3-G 本多・菜月(ホンダ・ナツキ)
寝て (BlogPet) 
2006.05.10.Wed / 09:12 
昼、よし、そこに
雪都たちが、義理を図りたいですからね
仕方ない、そんなPSPで名高いつよきすが!
よっぴー編で昼ドラぎみのストーリーがちょっと微妙なつよきすが!
まぁ、そんなPSPじゃ仕方ないってもらえるつよきすが!
まぁ、そんなPSPで出来るんだってね……………
バージョン1.5しか出来ないならちゃんと書いとけよ!
一時間も試行錯誤したじゃんかよ!
他にも月姫やひぐらしも試行錯誤したじゃんかよ!
一時間も試行錯誤したものかと思いDSをやるこの頃だったんですよ
と、ちぃは思ったの♪


*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「ちぃ」が書きました。
覇道高校、新撰組!(仮)  第三幕 
2006.05.10.Wed / 03:17 
放課後。
八神は一人、学園内のとある道場の前に佇んでいた。
外壁は漆喰で黒色に塗られ、更にはその上に白い格子が幾重にも重なる。
あまりにも広大な和風屋敷。
周囲に広がる松林。金や銀、紅白の鯉が悠然と泳ぐ池。
時代劇の収録にでも紛れ込んだと錯覚しても可笑しくは無いだろう。

門前には木製の看板が掛けられていた。仄かに薫る独特な匂いは檜だろうか。
一見黒ずんで古く見えるが決して痛んではいない。むしろ重厚感が増していると言ってもいい。
そこには…漆だろうか、流れるような文体でこう書かれていた。
『覇道学院高等部 生徒会』

生徒会だけの為に本格的な和風建築を一棟おっ建ててしまう。
正常な学校ではありえない無謀とも言える行為。
だが異常な学校ならば話は別。

八神が在籍しているここは正確には覇道学院高等部という。
覇道学院はかの元財閥の覇道グループが設立。
幼年部、小等部、中等部、高等部、大学、大学院全て一貫の超大型私立校である。
敷地は実質、市の8割を占めており文字通り学園都市と呼ばれていたりもする。

校風が「輝け(はぁと)少年少女たち!」と生徒の自主性を慮っており、基本的に校則は緩い。
才能を環境で削るのは惜しいと、学問は当然のこと、部活にも相当力が注がれていることで有名である。
莫大なそれこそ一般人には想像付かない様な財力に物を言わせ、無駄に施設は最新式。
その辺りは新しい部活を発足する場合、書類を通し正式申請するだけで一週間後には専用の建物が出来る、と言えば規模が解るだろう。
要するに学院長は加減を知らないのだ。

八神はため息一つ。
いつまでも棒の様に立っているだけでは事態は進まないのは知っている。
「えーと、こういう場合は…確か…」
初対面での印象は色濃く残るらしい。
いきなり先輩方に失礼が有れば何をされるだろうか。…ガクブル。
八神は過去の知識を想起、適切と思しき言葉を探り当てた。
道場を訪ねるときの挨拶。
それは…
「たのもぉーーー!!」

決まった。恐らく道場に入る時のマナーなのだろう。テレビで言ってた。
これで万事泰平。
快く客室に向い入れられ小間使いさんからお茶の一つでも戴けるに違いない。
しかもお茶菓子とかも出そうだな。噂されるよりも落ち着いた場所だし。
そろそろ温かい言葉で迎えてくれるだろうか。
だが楽観していた八神に無慈悲にも思惑と反する答えが返る。
「貴様何奴ッ!?曲者かぁ!!」

突如背後から凛と響く声。恐らく女性のものだろう。
意外な方向から反応が来た事に驚き振り向こうとした刹那。
後頭部から左脇腹に掛けて袈裟状の衝撃を感じた。
「がっ…!!」

視界が暗転。
どうやら脳が揺れたらしい。
何をされたのか解らない。痛みよりも熱さが残る。
立つこともままならぬ状態に八神は地に崩れ落ちる。
薄れゆく意識の中、一日で意識を二回も飛ばすとかありえねえよと一人ごち、八神は目を閉じた。





▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

うはっ、なんか遅遅として進まねぇwwww
とりあえず八神の一人称を「僕」に変更しようかと画策中。

明日あたり学校早く終わるから各キャラの絵でも描いてみようかな!(ひ
覇道高校、新撰組!(仮)  第二幕 
2006.05.09.Tue / 03:13 
時は幕末、江戸時代。
倒幕の旗を掲げ跳梁跋扈するはかの勤皇。
誠の文字を胸に秘め、京町駆けるは新撰組。
浅黄を纏い、今日も今日とて悪を断つ。
「総司…お前は…俺の…」
「山南さん!山南さんッ!」
同胞も律を犯せば死罪切腹。
「藤堂だけは…助けたい。」
「…………。」
局中法度に刃宛て。
「勇…お前にやっと顔向けが出来る…」
時代に散ったつわもの達!


「とまぁ、この様な新撰組になれ、という訳ではない。八神、彼らが京都守護職の松平容保に仕えていたのは知っているかね?」
カラスの羽の様な漆黒の髪を後ろに流し、淵の無い眼鏡をかけた青年が問う。

時は正午。太陽がほぼ頭上に位置する。昼時だ。
場所は校内で一番空に高い場所、屋上に移る。
昼食の時間になると空気も清涼で日光が差すこの場所は生徒達で溢れていた。
八神達もその内の一つ、花壇の横に座していた。

「左蔵、お前は演劇部に入れ。で、新撰組は確かその人に命を受け、市中警護をしていたんだったよな?」
学食で購入したタマゴサンドを片手に持ち八神が返す。
左蔵(サクラ)呼ばれた青年はうむ、と呟き右手の中指で眼鏡の位置を直した。
「つまりだ、生徒会長の命を受け、学園の治安を守る警邏集団を『新撰組』に喩えているのだよ。」
「その集団に俺は入っちまったのか…」
八神は天を仰ぐ。雲の欠片ひとつ無い快晴。
伸びをすれば飛べそうな気がする、そんな空。
ブルーのスクリーンを背に鮎のシルエットが浮かぶ。
…ムカついてきた。この場に居るのならばおかずの一つでも奪ってやったのに。
幾ら腐れ縁と言えどいつも一緒に居るわけではない。
鮎は今頃女子グループと共に能天気な面で昼食を食べているのだろう。

「…命、力に為れずすまない。やはり俺が変わろう。」
先ほどから一声も発していなかった長身の男が立ち上がる。
髪は短く切られていて体躯も良い。名札には『橘・剣信(タチバナ・ケンシン)』と刻まれている。

「だぁーっ!待て待て而して落ち着けよ!職員室には行かなくて良い!剣信はちっとも悪くないから!」
八神は早くも階段を下りようとしている剣信の腕を掴む。
「剣信は止めてくれたんだろ?それだけでも嬉しいよ。ねぇ?サ・ク・ラ・ク・ン?」
「うむ、橘は些か真面目すぎる。人生ゆるりと楽しまねばな。」
「 鮎 が 推 薦 し た の を 笑 っ て 見 て た お 前 が 言 う か 」


八神・命には三人の幼馴染が居る。
「ぐっ…話せば解る!たぶん解る!」
斜陽の中、八神に首を絞められチアノーゼってるオールバックに眼鏡の青年。
『深山・左蔵(ミヤマ・サクラ)』
彼是十数年の付き合いになるが未だ以って思考回路は不明。
 
「み、命……左蔵が……」
その横で困り顔で右往左往している長身で体躯が良い青年。
『橘・剣信(タチバナ・ケンシン)』
唯一幼馴染の中で安心して背中を任せられる親友であり兄貴的存在。

最後に、
「みっことー!のど乾いた!百円…っつーかサイフ全部よこせこらー!」
まさに猪突猛進、生徒跳ね除け駆けてくる、小柄の少女。
『川原・鮎 (カワハラ・アユ)』
口を開かなければ可愛いのにと言われる回数が先日四桁を超えたトラブルメーカー。


今年、覇道高校二年生になった。
幼馴染が全員同じクラスになったのは初めてのことだろう。
八神はもう一度天を仰ぐ。
季節は春。始まりと出会いの季節。
何かが起きそう、そんな気がする。

「まったく…今年は楽しくなりそうだ…」
八神は苦笑いしつつ、サイフを掏ろうとする鮎にアイアンクローを極めた。
覇道高校、新撰組!(仮 
2006.05.08.Mon / 03:59 
『力が欲しいか…』
此処は何処だろうか。あつい。
何処か懐かしい様な、だが見知らぬ光景が赤く揺らぐ。いたい。
『力が欲しいか…』
目の前には人型の何かがあった。くさい。
いや、あいつの筈が無い。気のせいだろう。くるしい。
『力が欲しければ…』
何故地獄のような場所に居るのか。まぶしい。
何故こんな羽目になっているのか。かえりたい。
『我が名を叫べ…!』
あぁ、そんなことで。よかった。
あぁ、かえれるのならば。よかった。
『ぬるぽと云う名を…!』
「ぬるぽ!」

ガッ!!!!!

「痛ってぇ~…地味に痛てぇ~…」
突如後頭部に鈍痛が走る。
視界が徐々に明るくなり点滅を繰り返す。薄く意識がぼやけるのは
「寝てたのか…俺は」

場所は一辺20メートルほどの小さくも無く、大きくも無い部屋。教室だ。
なにやら周囲が五月蝿いが、恐らく休み時間なのだろうと察す。
気配を感じると思えば、直ぐ横にはやたらご機嫌な表情の女が一人居た。
「やほ、お目覚めですかぁ?にしても寝ながら叫ぶなよー、寝言カッコ悪い。」
「何で殴ったコラ…」
「いや、手さね。」
悪びれた素振りも見せずに溢れんばかりの笑顔の少女。
年齢より幼く見える顔立ちに、首筋辺りでアトランダムに切られた髪。
名は『川原・鮎(カワハラ・アユ)』。幼稚園小中、そして更には高校まで同じクラスという奇跡の腐れ幼馴染だ。

「ミコト、大変な事態になったんじゃね?」
と鮎はすっと教室正面、黒板を指す。
何故か立ち上がり咆哮している生徒や、ハイタッチしつつ涙を流している生徒らを除けつつ、黒板へ視点を移す。
そこには何やら文字が箇条書きに羅列してあった。
ミコトと呼ばれる青年はその中に見慣れた文字を見つけた。

『新撰組係り  八神・命(ヤガミ・ミコト)』

八神・命は体温が下がるのを感じた。
落ち着け、まだ慌てる時間じゃない。何かの本で読んだフレーズを思い出す。
いや真逆『あの』新撰組では無い筈だ。
きっと何かの間違いだ。
呼吸を一度。大きく肺に新鮮な空気を取り込み、ゆっくりと吐き出す。
大丈夫、俺は冷静だ。

「鮎、新撰組係りって…アレか?」
「そだよー。誰も係りになりたがらないからボクがミコトを推薦したって戦法さ。」
「アーッ!バカバカおバカさん!qあwせdrftgyふじこlp!」

窓辺に駆け寄り窓を開放。叫ぶ八神。
皆が狂喜乱舞している理由が判明すると同時に己の不幸さを文字通り痛感する。
すると涙を流しつつ担任が傷心中の八神に駆け寄って来た。
「八神クン!せんせー感動ですぅ!あの…あの係りを自ら志願するなんて!」
タイトなスーツに身を包んだ妙齢の女性が感動に声を振るわせつつむせび泣く。
「違います!それは鮎が勝手にやったことで俺はっ…!」
「あらっ、もうこんな時間!せんせー職員室に報告に行きますっ!ありがとう、ありがとう八神クン!不正は…無いですよぉ!」

ふらふらと重心が定まって居ないフォームながらも高速で廊下を走る担任。
あぁ、終わった。今一つの青春が終わった。

薄れ行く意識の中、とりあえず八神は鮎に蹴りを一発入れてから床に崩れた。
酒池肉林の宴会と化した教室。
多分鮎であろう、背中から何か罵倒にも聞こえる言葉と衝撃。

「あぁ、もう…みんな死んじゃえばいいのに…」
八神・命は小さく呟いた。







△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

はいはいはい、また影響されて書き始めましたよ。何かを。
今度は大丈夫、ちゃんと考えてる。
うん、平気、多分平気。
色々なツッコミとかご指摘歓迎。
というかヘタレでごめんなさいこめんなさいごーめーんなーさーいー!
上達するにはやはり叩かれたほうが良いですよ。

ということでもしこの駄文を読んで戴いて下さった方。
よかったら僕をなじって下さると光栄です!さぁ!(オチツケ

はぁ…はぁ…すいません。深夜なのでナチュラルハイです。
すいません、見なかったことに(ひ
行って来ました 
2006.05.07.Sun / 02:02 
鎌倉ー。
しかも一人で(ひ
200605061555000.jpg


天気は晴れ。
GWの絞めとしての小旅行には良い天気。
鎌倉の独特の古都としての雰囲気が好きな僕。
いやぁ、閑静な日本風な家屋や新緑映える山々が良い…って…

ちょ、人多すぎだよ。

どのくらいかというと
200605061519000.jpg

↑こんな

ぁー、もうナンダコレ。
五月蝿くてのんびりもできねぇじゃんか!
鎌倉っつーのはもっとこうお年寄りとカメコ外人の場所なんだよ。
それをいちゃいちゃいちゃいちゃしてるヤローと女が多すぎなんだっつーの!
お前ら寺見てないだろう景色見てないだろう大仏見てないだろう。
ホテル代やるからそっち行ってくれ。

以前、高校をサボタージュして行った時には都心から離れた静けさがそれはそれは良かったんだけどな。

ま、別に公共のものだし文句は言えないけどさ、それにしても…ねぇ…?
今度から鎌倉行くときは平日に学校をサボって行きます!(ひ
一日 
2006.05.06.Sat / 01:55 
空いちゃうとズルズルズルと書かなくなっちゃうよ。
一万円だとなかなか使わないが、一旦千円札に崩れるとスグ使っちゃう感じかな?
違うね。

そういえばGW。
僕は土曜と日曜も休みなのであと二日あります。
カラオケ行ったり、徹夜ゲームとかしたけど、旅行には行ってないんだよなぁ。
よし、今思いついた。
明日は少し遠出して鎌倉にでも行ってきます。
大仏ってたまに見たくなるよね?ね?

晴れてたらいいなぁ…、明日。
寝て 
2006.05.03.Wed / 03:51 
起きたら日が沈んでたんですよ。
帰ってきたのが朝の九時でしたからね。仕方ないと言えば仕方ないです。
よし、じゃ仕方ないってコトに!

何で朝帰りだったのかはミクシィに書きました。
少しは区別化を図りたいですからね、うん。


話は変わりPSP。
ぶっちゃけ携帯動画再生機としか役割を見出せない、そんなPSPですが(ひ
僕のPCは何故か動画をPSP用にコンバートしようとすると強制再起動するんですよ。
なぜですか?

原因も不明なので、結果的にPSPで動画を見ることが出来なくなります。
もう…八割方意義を失ってますよね…(ちょっとキツめのギャグ

さて、どうしたものかと思いDSをやるこの頃だったのですが、そこに一筋の光明が射す!
つよきすが!あのツンデレゲーで名高いつよきすが!
蟹沢きぬことカニがオメガ可愛いつよきすが!
乙女さんのような義理の姉が欲しくなるあのつよきすが!
声はめっさ良いが性格がちょっと微妙な姫が居るあのつよきすが!
よっぴー編で昼ドラぎみのストーリーが味わえるあのつよきすが!
流石に引くぐらいのデレぶりに死者続出のなごみんなつよきすが!
若本ボイスの鳥類に意外と硬い嘴で頭をコツコツ突付かれるつよきすが!
子安な幼馴染にご飯を作ってもらえるつよきすが!
中身がベジータなへたれ親友が熱いつよきすが!
まぁ、そんな感じなつよきすがPSPで出来るというウワサ!(長


方法とか書こうとか思いましたがやめます。
だって……僕のPSPじゃ出来ませんでしたから……
PSPのバージョンが1.0か1.5しか出来ないならちゃんと書いとけよ!
一時間も試行錯誤したじゃんかよ!
ちなみに僕のはバージョン2.50だよ!

他にも月姫やひぐらしもPSPで出来るんだってね…
…………バージョン1.0や1.5はさ



あー、みんな死んじゃえばいいのに(ちょ
実は… 
2006.05.01.Mon / 05:12 
ネトラジはじめました(ぅぉぃ
というかスカイプみたいな使い方しかしてませんがね!

まだ試験的なものだし、とても人様には聞かせられないような内容ですがwww
すまない、殿下とららさんのネトラジ聴いてたらやりたくなってね…
マイクも安かったし買ってみたんよ。

ネトラジが出来るブログで『ラジログ』と言うらしいのですが、
そのアドレスはまだ知人にしか言ってない!
というか作ったときにメッセに居た人ね。まだ言ってない人おおす。
暫くしたらリンクのトコに増えてるかも…

練習時でも聞いてみたいかも、という人が居たら教えますので(イルノカ?
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