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覇道学園、新撰組!(小説) の記事一覧
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覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第八幕~  
2006.08.18.Fri / 03:45 
F1をご存知だろうか?
たまにニュースで映像が流れたりするから一度は目にするだろう。
サーキットを周回するごとにタイヤが目減りするのでそれを交換しにピットインするときの光景を思い描いて欲しい。

飛行機レース参加の各学校控え室は、それと似たり寄ったりの雰囲気である。
天井がやや低く、それでいて広い空間だ。
壁が一辺だけ開放されており、庇の下には我が覇道高校エントリーの飛行機が堂々と鎮座している。
なかなかに壮観なのだが、湿度と熱気を兼ね備えた夏特有の空気が入り込むのが少々辟易だ。
頑張れ控え室内の冷房設備。君が吐き出す冷気だけが希望である。

先ほどピットを想像して欲しいと言ったが、あれから喧騒を取り除けば良い按配かもしれない。
真夏にデパートの屋上で仮面ヒーローのショーをやり終えた一団のようにリラックスムードが漂っているからだ。

開会式に代表として出た僕は流石に疲れ、今はパイプ椅子を引きつれ扇風機の前を領地する。
「八神、お茶だ。この天気だ、暑かったろう。」
暑いという単語とは逆、涼やかに立ち振る舞う女性が小さなお盆にちょこんと乗ったグラスを渡してくれた。
長い艶やかな黒髪を首元で一つに結われた房がふわりと揺れ、石鹸の香りが仄かに香る。
日本刀のように鋭い左目と、ヒビの入った様な亀裂が走る右目を持った御堂・つらら先輩だ。

「ありがとうございます。流石に炎天下、立ってるだけで汗が吹き出ますよ、ホント。」
清涼感溢れるガラスの湯のみに冷えた緑茶が満たされていた。さすが先輩、抜かりがない。
漂流者が念願の陸地に立ち、初めて口にする一杯の水の様に勢いよく飲み干す。
「ふふっ、もう一杯飲むか?」
仕方ない奴だ、と言いたそうな優しげな笑顔で聞いてくるので僕はお礼を言いもう一杯ご馳走になることにした。
音もなく、だが堂々と歩む先輩の背中を見送ったのち、壁にかかったアナログ時計を見つめた。
午後十二時。
あと二時間で開幕だ。


逸る心を抑えつつ、ホワイトボードに目を向ける。
先ほど作戦会議と銘打ち舞鬼会長が何処からか持ってきたものだ。
レースの内容はごく簡単である。
複座の小型飛行機にペアで搭乗。
そしてここ、羽田空港から一斉スタートしゴールは南方の大島までの一直線。純粋な速度がものを言う純レースだ。
だがボードに書かれた作戦が「勝て!!」しか記されてないのは大いに危機感が生まれたとしてもそれは致し方ないことだろう。

でも、下が海というのは付け焼刃の飛行技術しかない僕には緊張が少々和らぐ。天空橋さんを疑う訳ではないが、万が一墜落した場合でも死にはしないもんな。
というか、いくら空路を一時買い占めたから一般人でも飛行して良いとは言え、他の学校はちゃんとライセンスを取得している学生が操縦桿を握るんだろうなぁ、ちょっと無謀だろウチは。

自分がそのレースのメインパイロットという現実に嘆息しつつ、我が相棒となる小型飛行機に目を移す。
そこには最終点検を行っている天空橋さんの姿。
頬に描かれている横一文字の真っ黒いオイルの線を拭いもせずに一心不乱。
飛行機が大好きだが、何かに必要に怯え、飛行機に搭乗出来ない少女。
ライセンスは持っていると聞くので、きっと後天的な何かが問題なのだろう。
…君が乗れなくなったのは何故なんだ?

「おいっ、ミコト!」
肩が外れるのではないかと言うほど強く叩かれた。
振り返れば奴が居た。というか奴しか居ない。
茶色い皮ジャケットに白いスカーフ。炎のような真っ赤なスラックスを着込んだ腐れ幼馴染の鮎である。
実はコイツがメインパイロットこと僕の背中を預けるサブパイロットなんだよなぁ、これが。誰か代わってくれないか?
「んだよ、淡水魚!塩かけて焼くぞ!」
「ワケ解んない事言うな。んなことよりこのカッコ見て言うことないの?」
「…もう着てるの?暑くないか?」
「まったく…。コイツは…。」

言わんとしていることは解る。
似合っているか、似合っていないかと聞かれたらこれがなかなか似合うのだ。
馬子にも衣装と言いたいが、こういう皮肉の類は通じないのが奴。
華麗にスルーするのが吉だ。

「ったく暑いなぁ…」
さっそくスカーフを外し、厚手のジャケットを脱いで、僕の扇風機を遮り冷を取る。
やっぱ暑いだろう。というか近くに寄んな、暑い。あと扇風機返せ。

ワレワレハ、ウチュウジン…カ?などと扇風機の前でビブラートを纏い喋る鮎の頭を叩こうとしていたのは幸か不幸か第三者によって遮られた。
「覇道高校様ですね?整備は終わりましたでしょうか?そろそろ機体をお預かりしたいのですが。」
緑色のつなぎに同じ色のツバ付き帽子を被った二人組みの男が現れる。
胸には大会係員の文字が刻まれたプレートが輝いている。
何しろ百校を超えるほどの大会なので、各自に任せスタート位置に機体を置くとなると多少の衝突が起こる事を予期し、ガレージからスタート地点への移動は全て係員に一任される。恐らく彼らはその役員なのだろう。

「あ、もう終わりますん。もうちょい待っててなー。」
独特のイントネーションの天空橋さんは何度か機体の装甲をレンチで軽く叩いてから良し、と呟く。
「オッケーです。では、この子お願いしますわ。」
「はっ。では失礼します。」
男らは帽子を目深に被り一礼。
一人は前輪に縄を結び始め、もう一人は近くに停車させていた小さな牽引車へと乗り込んだ。
しっかりと繋がったか確かめ、結び役の男は再び一礼し牽引車へと乗り込み、ウチの飛行機を伴い飛行場へと消えていった。

天空橋さんは飛行機が見えなくなるまでずっとその光景を見ていた。
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テーマ:連載小説 - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第七幕~  
2006.08.04.Fri / 15:19 
太陽は中天に居座り、夏場並みの日差しを容赦なく地上へ注いでいる。
水色の絵の具を白いカンバスに直にぶちまけたのではないかと思える程の青空には先刻からから空砲が立て続けに撃たれており、ポップコーンが弾けた様な軽薄な音と共に白煙が棚引き、そして溶けていく。

暑い。暑すぎる。
地面へ生卵を割り投下すれば目玉焼きが出来るかも危惧する程の炎天下ということもあるが、群衆の中に居ることも熱量が調子に乗る原因の一つではないのか。
僕は今、羽田空港に居る。
空港と聞いて何を想像しただろうか?
クーラーの効いたロビーや絶景が望める展望レストランなどだろうか。残念ながらそんな快適な場所ではない。
では何処だと聞かれれば「滑走路脇のちょっとした広場だよ」としか言いようがなかったりするわけだ。
当然関係者以外の立ち入りなどもっての他な場所であろうが、今は残念ながら関係者なので誰にも咎められはしない。

白学ランや空色のブレザー、黒のワイシャツに赤のネクタイなど、まさに多種多様の制服に身を包んだ生徒らの列の一角を形成している僕は、吐きたくもなるため息をし、やや上へと視線を移していく。
恐らく眼前の光景を描写すれば、今置かれている状況を明瞭簡素に皆さんに解って貰えることだろう。
まずシーツで出来ていたとしたら大病院のベッドを全部剥がす必要がある巨大な横断幕が架かっている。
想像できただろうか?そこにはこう書いてある。思い描いて欲しい。
『第2回メイプルズカップ』とでっかく墨字で染め抜かれている様子を。
そう、今まさに飛行機レース大会の式中であり、会場が貸切の羽田というわけだ。
僕には金持ちが考えることは今後もきっと解らないのだろうな。

庶民の家に生まれたことを再認識しつつ、端から端まで見るのが一苦労な幕からゆっくりと視線を下げると、櫓が組まれているのが見える。
その頂には闇に緑を少量垂らした色のブレザーを纏った女性。生徒会屋敷でSPを連れていた五光院とかいう令嬢だ。今は主催者として壇上へ上っている。
彼女は何本も束ねられた、ちょっとした花束状態の脚付きマイクに向かい高らかに宣言する。
「――今此処に、メイプルズカップ開催を誓います!」
ハウリングと共に怜悧を体現したらこんな感じなのだろうと思える声が響き、そして日差しに溶け亘った。

一瞬、無音がこの世に生を受けたが、後に生まれた轟きにより存在を絶たれる。
皆は味わったことがあるだろうか?周囲のテンションが上がるにつれ、自分の覇気が下がるという反比例の法則だ。
僕が今置かれた状態が今まさにそれ。
また気温が二三度は上昇したのではないだろうかという錯覚を覚えつつ、意識がゆっくりとブラックアウトしていった。


    ■     ■     ■


「ほらっ、ヤガミン!ベルト閉めたっ?飛んでいいっ?」
「ちょっと待ってくださいよ!」
インカム付きの飛行帽から檄が飛んできた。
僕は『覇道舞鬼』と側面にポップ調にペイントされた小型飛行機の副座に深く腰を下ろし固定。側面から二本のベルトを引き抜き、胸でクロスさせてから点対称側へと差し込んだ。
前方の座席にはツインテール用の穴が開いた恐らく特注であろう、ファーが付いた飛行帽を被る舞鬼会長が小さな体を精一杯曲げて振り向き、アヒルの嘴の様に尖らせた口を見せ付けてくる。
「もう、早くしないと大会始まっちゃうぞっ!」
まだ一週間あります。
というより舞鬼会長、何故一週間後の開催の大会の招待状を今日持ってきたんでしょうか、あの令嬢は。いくらなんでも急過ぎやしませんか?
「うーん…、それも挑発のウチだろうね、きっと。覇道の名を冠したならば一週間で飛行機ぐらいつくれるでしょう?って感じかなー。」
なるほど。
「ウチの会社の航空機部門に依頼すれば小型なんて二三時間もあれば鉄鉱石からでも造れるよ。だけどさ――」
舞鬼会長は視線を逸らし、飛行機同好会の部室へと顔を向けた。
大きく開放されたシャッターから内部が見える。天空橋さんは骨組みの機体をせかせかといじっていて、それを手伝っているのだろう鮎と剣信。左蔵は機体の傍に立ち、一言二言、天空橋さんに何かをアドバイスをしている風だ。
つらら先輩も最初は手伝っていたが、次第にクエスチョンマークが飽和状態となり、今は前線を離れお茶を煎れている。
「高所恐怖症なのに飛行機を作っては飛ばし、作っては飛ばしする。怖くても思わずしちゃうくらい飛行機が好きな子が大事に大事に作った飛行機にはきっと敵わないよ。」
子猫のように破顔して笑う。暫くして止み、低いトーンで「最初はね、」と繋ぐ。
「あの子が参加しないならそれはそれで良いと思ってた。」
きっと決めあぐねていたのだろう。大会手続きはしてなかった様子だが、機体の準備はしていた。
部室にポスターを貼っていたし、興味が無いわけではないだろう事は容易に想像がつく。
「…あの子に足りないのはあと一歩を踏み出す勇気なんだよ。」
「天空橋さんから書類を提出されるのを待っていたけど、我慢できなくなり焚きつけた、と?」
「最後の一歩ってさ、大きそうに見えるけど、やっぱりただの一歩なんだよ。…とかなんとか偉そうなこと言ってるけど、あたしのあの子を応援する踏ん切りは五光院ちゃんから挑戦が決め手なんだけどね。」

会長はそのまま天を仰ぐ。二つに結われた栗色の髪が軽やかに揺れた。
部室前の拓けた山の空間。木の葉の囁きが風に乗り聞こえる。
「ねぇ、ヤガミン。あたしこれで良かったのかなぁ…。」
空に問いかけるような、軽い呟き。独り言かと思われるが僕の名前が呼ばれているので答えるべきだろう。
そりゃ、舞鬼会長のやり方はちょっと強引だったかもしれない。けれど間違ったことかと言われれば、僕は首を横に振る。
「天空橋さんは少なくとも悲観してたり迷惑だったりはしてないと思いますよ。」
再び部室を見れば、天空橋さんは忙しそうだが、その表情には陰りが無い。迷いは断ち切られ、今は飛行機作りだけに専念している。
案ずるより産むが易し、と言ったところだろうか。後悔なんてものがあるとすれば、それは名前の通り後にすべきものだ。今は我武者羅に頑張れば良いのさ。

舞鬼会長は顔をやや伏せており、その表情は読み取れない。
僅かに口が動いたようだが、インカムからは何も聞こえてこない。故障か?
そのままエンジンの空蒸かしの音だけが腹に響く。
「よしっ!」
再びインカムから弾む様な声が聞こえてきた。言わずもがな、舞鬼会長から発せられるものだ。
聞こえたことに内心安堵したが、直ぐに聞こえなかったほうが良かったと思い直す羽目になったさ。
「操縦の基本その1!――まずは慣れろっ!」
教習所が真っ青になる程の飛行基礎技術を一週間で叩き込む地獄のフルコースの実質な幕開け宣言だった。

抗議を言い放つ前にプロペラが爆発したかのような唸りを上げて高速回転し、急加速。
後ろに仰け反るほどの重力を一身に受け、慣性の法則はやはり正しいと身をもって再認識する。
次には揚力だ。うろ覚えの理系の数式が頭にちらつく。
即座に諸手を挙げつつ、嘆息。
公式を思い出せなかった事にじゃない。暫く地上の人にはなれないだろうという予想に対してだ。
それが的中したのは態々言う必要は無いだろう。


    ■     ■     ■


「――上、開会式を終了致します!」
あまりの熱気に頭をやられたらしい。軽い走馬灯を見てしまったぞ。
アナウンスで誤謬を吹聴する理由が無いので、開会式は終了したのだろう。
小波のようなざわめきと共に、徐々に人並みが引きつつあるので確かだ。
人の流れは大晦日初詣に向かう人々のごとく一定であり、その方角には臨時で建設された簡易ガレージ群が見える。
参加校が全国から百校は軽く超える数であり、一校ずつに一つの専用ドックがあるので、アスファルトに連なる建物は宛ら近代都市の様だ。
おっと、客観している場合じゃなかった。こうしちゃいられない。
僕はまだ鈍痛が残る頭を被り振り意識蘇生を試みてから、覇道高校に宛がわれた控えガレージへと足早に向かった。





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【あとがき】
いろいろ矛盾が生まれてくる頃合です(ひ
ひょっとしたら場面場面に小出しにするべきではなく、短編なら短編を書き終え、編集に編集を重ねてからぶつ切りにしてから、投稿する方が話的にももう少し面白くなるのではないか、と、ひょっとしないことを考えていたりします。










テーマ:連載小説 - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第六幕~  
2006.07.23.Sun / 05:11 
生徒会屋敷は大雑把に言えばロの字型をしている。
伝統的な和風建築であり、高さは無くその分広い。寺のように伽藍造りの棟が中庭を囲んでいる形だ。
僕らは西側の縁側に座し、中学の頃訪れた京都の庭園を思わせる中庭を見つめながら、熱い日本茶と和菓子をお供にして会議とも呼べる雑談を交わしていた。
「というわけで、飛行機同好会のお手伝いをしようと思います。」
先ほどのあらましを包み隠さずつらら先輩に話した。天空橋さんの事、同好会の人手不足、そして飛行機大会に出たいという夢…。
つらら先輩は思案顔で湯気が仄かに昇る桜があしらわれた湯飲みに薄い唇を付けた。
喉を小さく鳴らし、床に湯飲みを置く。乾いた音が立つ。
そのまま、彼女の濡れた日本刀のように鋭く輝く相貌が僕に向けられた。
「助けは同情では決して出来ん。生半可な気持ちならば相手に失礼千万だ。助太刀するなら腹を切る覚悟で死力を尽くせ。それが新撰組であり、人の道だ。」
「もちろん解っていますよ。」
「ふふっ、お前の目を見れば解ったが、一応、な。」
つらら先輩はいたずら好きの子供がまんまとミッションコンプしたみたいな得意げが混じった顔で笑う。一見、真面目街道驀進中で冗談など一笑に臥しそうなイメージがあるがとんでもない、案外お茶目な人なのだ。最近になって解ったんだけどね。
「私は賛成だ。あとは覇道の許可一つだが、少々難しいかもしれん。」
なにやら、先ほど舞鬼会長と来客にお茶を出したとき、「話たいことがあるからヤガミンと一緒に待ってて」といつになく真剣な表情をされたらしい。仕事かもしれないが私がなんとか説得してやろう、とつらら先輩は胸を張る。
タイミングが悪かったな、と一瞬思ったが、横で湯飲みを両手で硬く握り締めて、今にもやっぱウチのことはいいです、と言い出しそうな天空橋さんを見たらそんな気持ちは吹っ飛んだ。仕事の場合つらら先輩には負担をかけるが後で倍にして埋め合わせよう、とそんな皮算用をしていたときだった。


「あなた、邪魔ですわよ」
何やら深く考え込んでいたらしい。気配にまったく気づかなかった。
背後から聞こえたのはテレビでしか耳にしないようなお嬢様言葉。
その言葉は自信を込めに込めて飽和限界ギリギリのようなトーンで少々低くどこか艶かしい。
こんな声は鮎なんかには出来ないだろうし、天空橋さんがやるとは思えない。つらら先輩はもっての外だ。
「失礼した。」
いつの間にか立っていたつらら先輩が僕の湯飲みと半分食べた和菓子の皿を持っていた。
そうか、廊下側に置き過ぎたか。にしても廊下の幅は随分とあるから避けるなり跨ぐなりすればお釣りがお札で来そうなもんなんだけど。
無声映画のように声は出さずに喉だけ鳴らし笑う鮎と、困惑顔の剣信を見てから振り返る。左蔵が居ないがどうせ昆虫でも採取しているのだろう。そんな趣味があるのか知らないけど。
振り返った先にはやや長身で皮肉げに釣り上がった目をした女性が居て、こちらを見下ろしている最中だった。
鮮やかな金色をした髪は後ろにまっすぐ長く伸ばされていて、制服は覇道高校のものではない。夜の森みたいな深緑色をしたブレザーだ。
その後ろには黒いスーツを着た居様にがっちりしている体躯の男二人が居る。ちょっと、懐に手を入れて何しているんですか。
「あ、すいません。」
反射的に謝ると彼女は小ばかにした感じで鼻を一度鳴らし、ガードマンらしき男らを引き連れ優雅に去っていった。

鏡でもあればさぞかし間抜けな顔をしているだろうと思いつつ、三人が玄関へと消えていくのを見ていたら、
「うわっとと、もうなんか言われたみたいだねー」
またも背後から声がかかる。だが今度は聞き覚えのある声だ。
栗色の髪を両サイドに大きく束ねた、下手したら小学生に見えるんじゃないかという高校三年生であり、生徒会長の覇道・舞鬼その人だった。
「その点もいっしょにさ、ちょっち話すことあるから道場の方に行こうっ。キミは……うん、キミも一緒に来て。」
キョドっている飛行ジャケットを羽織った天空橋さんをにんまりと見つめる舞鬼会長。
思えばこのときから運命の歯車は音速で回り始めたのかもしれない。




「第一万飛んで二百三十一回、生徒会会議ー!」
どこから出したのか舞鬼は両手にクラッカーを一つずつ持ち、器用に時間差で発砲した。
場所は生徒会屋敷の道場。一面イグサの薫り高い畳張りで、中心に舞鬼先輩、そして囲むように座布団を車座に敷いている。
いつの間にか隣に座っている左蔵と「そんなやってるんか」と驚いていた天空橋さんに「前回は第三回だったけどね」と言っている鮎、クラッカーから排出されたごみをつらら先輩と剣信が回収する中、会議らしきものが始まった。大丈夫なのかこれ。

舞鬼会長は両腕を振り上げ、足元の座布団へダイブする素振りを見せてゆっくりと座った。
そしてこう告げる。
「えー、新撰組にお仕事が出来ました。」
「待ってくれ、覇道。」
すかさずクラッカーの残骸をポケットに詰め込みながらつらら先輩が介入した。
「八神は既に先ほど別件の仕事が出来た。私が二人分頑張るゆえ――」
そこで声は途切れた。それは解らなくもない。軽い足取りでつらら先輩に近づいた舞鬼先輩に口を塞がれたからだ。
「チッチッチ、わかってるからちょっち落ち着いてっ」
もう片方の手で一本だけ立てた人差し指をメトロノームの様に揺らす。
「ぷはっ……どういうことだ?」
よほど強い力で抑えつけられていたのか、つらら先輩は両手で引っぺがしてから半眼で訊いた。
その視線を知ってか知らずか舞鬼先輩は再び元の車座の中心の位置に戻る。
(八神…何がしたかったんだ覇道嬢は)
(しるかっ!)
会長はそのまま思わせぶりに咳を一度。乾いた咳で威厳などは欠片もなったがこう続ける。
「わが学校の飛行機同好会が飛行機大会にでれるように手伝って欲しい。依頼者は――あたし!」

遠くの喧騒が聞こえる。たぶん近くの剣道場からの声だ。そのくらいの静けさが支配する。
「わが…」
「復唱するな!一回言えば解るっ!先ずは理由だ!」
つらら先輩が頭痛に悩まされている様なというか実際に痛そうに頭を抱える。
先輩、会長を制御できるのはあなただけです。
「理由は挑戦状を送られたからっ。」
舞鬼会長はそう高らかに言って小動物のように体を弄り、二三度胸ポケットを軽く叩く。そしてスカートのポケットから一通の真っ白い封筒を出した。にしてもそっちかよ。
熨斗が無い熨斗袋の様にシンプルな封筒の宛名には大きく墨で『招待状』と書いてある。
「それ、招待状って…」
鮎が怪訝な顔で指で指すが舞鬼会長は華麗にスルー。
そのまま封筒を逆さにし、何度か上下に揺すると幾重に折りたたまれた白い紙が出てくる。
艶がある紙を開くと、青空を背景に一機の小型飛行機がプリントアウトされていて、ゴシックフォントがこう踊る。
『第2回メイプルズカップ開催』
それは飛行機同好会の部室で見たポスターと同じデザインのチラシだった。

天空橋さんはまん丸な瞳をこれでもかとさらに丸くし、鯉のように口をだらしなく開けていた。
舞鬼会長は彼女をにまにまと見つめてから、
「さっきね、喧嘩売られちゃったっ」
悪びれなく0点のテストを母親に見せる小学生のように清清しく言ってきた。
「さっき、ってあのキツめの女の子?」
廊下で睨まれた高飛車な雰囲気の女の子を思い出す。
「そだよっ。あの子から。五光院・楓(ゴコウイン・カエデ)ちゃんって言うんだけどね」
「五光院…まさか!?」
つらら先輩と天空橋さんが二人そろえて喫驚する。
「そのまさかー。五光院グループのご令嬢で、五光院女学園の生徒会長であり、飛行機大会の主催者、のね。」
なるほど、あのお嬢様気質は天然のものだったのか。にしても郵送ではなく直々に手渡してくるとはなかなか好戦的だことだ。
少し気が立っていたのと、舞鬼会長が喧嘩売られた、という事から友好試合というわけではなさそうだ。
名前が楓だからメイプルズ、か。楓の、とはよく言ったものだ。

「キミは飛行機同好会の子だよね。知ってるよっ。大会に出たいってのも知ってるよっ。活動内容書みたからね。」
うわ、絶対企んでる顔だ。
「つーちゃん、ヤガミンの仕事ってこのことでしょ?」
「む、確かにそうだが。」
「部長さんは大会に出れる、それに楓ちゃんをギャフンと言わせて私の気が晴れる、一石二鳥っ!」
勝つことは決定なのが会長らしい。あと、ギャフンは古いです。
「いいのっ!じゃあ、満場一致で決定です。」
まだ採決もしないウチに決定事項となったらしい。まぁ、反対意見はないけどさ。
舞鬼会長はレフ板のように輝いた笑顔を振りまき、

「新撰組は飛行機同好会を応援します!」

そんな会長とは対照的に未だ状況が把握できていない天空橋さんは死んだハムスターのようになっていた。
にしても、不思議と懸念がまったくないのは何故だろう。
道場を抜ける夕風を浴びつつ、そう思った。







△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

【あとがき】

いつの間にか主観になってるのはハルヒを読んでいるからです(ひ
テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第五幕~  
2006.07.14.Fri / 06:01 
時刻は黄昏。
まるで世界がバカでかい鬼灯に包まれたかの様な、鮮やかな茜色の空。
僕たちは校舎から離れた生徒会本部の前に居る。
一昔、辺りを仕切っていた武家屋敷なんだ、と聞いても納得してしまうだろう豪壮とした和風建築だ。
正面の門扉はない。いつでも生徒が訪れることが出来る披かれた生徒会であれ、という配慮というかモットーらしい。
「さ、入って入って」
既に何度も出入りしている鮎、左蔵、剣信の三人(ちなみにナコトは図書室の手伝いの時間だ。)は特筆すべき点は無いが、落花がコンクリート漬けになったのか全身がガチガチに固まっている。
仕方ないと言えば仕方ない。生徒会補佐、風紀及び治安を守る新撰組は正直評判はあまり良くないからだ。
恨みを買っているなど目の敵にされているなどマイナス概念ではなく、仕事柄だろう、一般生徒には専らお堅い連中というイメージが蔓延しているのだ。
現に僕もそうだったし。ま、入ってもみるとそうでもないんだけどね。
今度、情報公開などつらら先輩に進言してみようかな。謎の懲罰機関という印象を拭えば隊員も増えそうなもんだけど。

「で、では失礼して――」
天空橋さんがぽかーんと開いた口をキツく引き締め、決意を決めて歩き出したそのとき、突風を纏い変な男が正門から飛び出てきた。
いや、出てきたというのは語弊があるな。正しくは錐揉み回転しつつ飛ばされた、の方が正しい。
水面を切りつつ飛んでゆく小石のように男は地面をバウンドし、砂利による摩擦係数により停止する。この場合の式は…そんなことより、その男には見覚えがあった。
無造作に伸ばされた赤い髪は水面に漂うワカメみたいにだらしなく広がっていて、指先ひとつぴくりとも動かない。
粗野に着込まれた学生服といい、無駄にがっちりした体、そして屋敷から吹っ飛ばされる男といえば一人しか居ない。
あれは――
「見なかったことにして入りましょう。」
「なななな、なんやのあの人!?」
「あれはねっ、ただの吹っ飛ばされるのが好きなドマゾ君だよ。」
鮎が一点の曇りない笑顔でそう告げる。…というか何処でそんな言葉覚えたんだ。
「新撰組の一人です。久遠・空亜(クドウ・クウア)っていう、所謂筋肉バカです。」
一部のものは知っているが、つらら先輩に弟子入りしたクトゥグアである。名前が安直なのは僕の所為ではない。
今は一般生徒の振りをして生徒会本部の小間使い的キャラと化している。どうせならメイドを雇って欲しかったなんて思ってないぞ。

「腹のガードが甘いと何度言ったら解る!」
怒気を含んだ声が響き、長身の女性が門から出てきた。
精巧な人形を思わせる精悍な顔立ちだが、右目だけに一閃、縦に傷が走る。
首元で括られた濃い瑠璃色の長髪をしずしずと揺らすのは御堂・つらら(ミドウ・ツララ)。彼女は元生徒会副会長であり、現新撰組局長だ。
「む、八神か。」
「ども。ちょいと相談がありまして。…お邪魔でしたか?」
いや、とため息混じりに疲労と憂いをブレンドした顔を浮かべる。
「流石にそろそろ堪えて来たから小休止を取ろうとした所だ。奴も飛び飽きたころだろう。」
「因みに本日の飛距離は総合して如何程ですかね?」
左蔵の問いにつららは暫く眼を閉じ思案に暮れる。
「伊豆までは行けるだろう…と言った所か。」
…おいおい、ここは千葉西部ですよ。
左蔵はお見事、と言い何やら手帳を開く。世界地図が書かれたページだ。そこには蛇のようにうねり歪曲した線分図が書かれていて、慣れた手つきでかりかりと万年筆を走らせる。
「何?それ。」
「久遠氏飛距離グラフだ。もう少々でハワイへ到達するぞ。誠に逸興だね。」
両者に何か景品でも進呈するか、と慮っている左蔵を僕は華麗に無視。
剣信は慣れているのか相変わらずの無表情で、鮎はさっきから小石を拾っては久遠に投げている。

「今、覇道に来客中でな。客間は使えん。こんな所で話もなんだ。夕涼みがてら縁側へ行こう。」
つらら先輩はさながら現代に生きる武士のように凛とした立ち振る舞いで堂々と歩き出す。
すかさず僕らは親カルガモに追随する子ガモよろしく、つらら先輩の後を追い、ぞろぞろと屋敷に入った。
…後で思い出したけど久遠は放置したままだった。









△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

【あとがき】
雪都「お前、影薄いよな…」
鮎「あんですとっ!?」
雪都「第一、ヒロインっぽくないし」
鮎「ボク、ヒロインだったの!?」
雪都「お前とつらら先輩の二強のつもりだったんだけどね、最初は」
鮎「…あゆパンチ!」
雪都「いつっ。まぁ、元気系幼馴染とクールビューティー先輩。もはや磐石だな、とか思ってた時期がありました。」
鮎「…あゆキック!」
雪都「ぐっ。とりあえず、つらら先輩は良い感じかなとか思うんだけどさ――」
鮎「あゆエルボー!!!」
雪都「だぁぁぁっ!ふざけんなロリっ子が!背が小さいと攻撃的になるのか!?」
鮎「小さい言うなっ!」
雪都「あえて言おう!特に胸が小さいと!」
鮎「うわーん、しねー!!!」
テーマ:☆オリジナル小説☆ - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第四幕~  
2006.07.09.Sun / 04:14 
風は目に見えない。だが葉や木々、水面など煽り揺らし奏でることで確かに私はここに在ると主張する。
八神はガラスのティーカップを置き、天井に嵌められた大きな採光窓から枝葉が靡く功刀の木々を見た。
ガレージの中はとても静かで、山全体の木々の囁きが聞こえる。
(平和だなぁ…。)
「あの…先輩?」
落花が手をぱたぱたと軽薄に振り八神の注意を引こうとするが、当の八神の焦点は遠くへと合っている。
「ウチ高所恐怖症で、飛行機に乗るだけで身体がガチガチになるんですわ。そんで…うわ墜落、ってな感じで…。」
「だったら何で飛ぶんだよ!!」
「あ…あははははははは…やっぱり飛行機が出来たら飛ばせたくなるやん?ガンプラのキュベレイ作ったらハマーンになりきって遊ぶ、みたいに。」
「ならないっ!」
「なんやて!?じゃあシャアザクかいな!?」
「そうじゃないから!!」

息も切れ切れに肩を上下し、八神は落花に食い入るように睨む。
「…天空橋嬢、八神はそういう事が言いたいのではないのだよ。」
今まで深と口を噤んでいた左蔵がゆったりとした優雅な動作で立ち上がる。
右手でオールバックのサイドを掻き揚げ、梳き、整えてから口を開いた。
「ガンプラは飾るタイプなのだろう。」
「あー、それもアリやな…」
「だ・か・らっ!!」

なんで最近こんなに疲れるんだろう、と八神はごちる。
一年の頃は自分から交友範囲を広げようとは思わず、積極的に他人に話そうとはしなかった。
それでもちらほらと変人は居たんだけど、嫌でも気付くほど色濃くなってきたのは二年になってからだ。
恐らく新撰組を拝命し、他人に干渉することになってから。
…そうか、疲れる原因は明白だった。
(ウチの学校は変人が多かったんだ。)

ちょっと別世界へ行っていたようだ。
帰ってくるのは簡単で、八神はくんくんと袖を引っ張られた事により元の世界へ戻ってきた。
制服の袖を引っ張っていた主は鮎で、
「あれあれ、あれ見てよ」
引っ張る手と逆の手、小さな丸っこい手は人差し指だけぴんと伸ばされ、その先は壁へと激突する。
木目調の壁には一枚のポスターがピンで止められていた。
日焼け具合から張られて真新しい事が解る。上質紙のなかなか大きなポスターだ。
光輪を纏う太陽と蒼穹を背景に躍動感溢れる飛行機が一機、飛んでいた。
俯瞰で撮影されたその写真の空いたスペースには、
「第2回メイプルズカップ開催?」
そう読めるゴシック体の大きな文字が躍っていた。

何やら左蔵とガンダム談義に花が咲いていた落花がハッとした顔でこちらへ振り向く。
「あー、それ…飛行機のレースなんですわー。」
「飛行機レース?」
「そです。学生オンリーのイベントで、全国の飛行機ファンが自作の機体でレースをするんや。去年から始まって歴史は浅いんですけど、大手の企業がスポンサーやから規模もそりゃもうスゴいのなんの。その手の雑誌にも大々的に掲載されてるビックなレースなんや。」

(そういう事だったのか…。)
「君はそのレースに出場したくて、自作の機体を製作、整備した。そして高所恐怖症だけど…テスト飛行してたわけ、ね。」
「あれは…ホントすんません。…でも、ちょい違います。ウチは出なくても良いんです。飛べなくても良い…。でも、あの子だけは…どうか飛ばせてやりたい…。多くの飛行機のトモダチと一緒に、大空を飛ぶことをあの子に教えてあげたいんですわ。ウチは飛ばなくても良いんや…。なんせ高所恐怖症やし、それに…今は作るほうが楽しくて楽しくて。」
落花ははにかんだまま笑い、きゅっと肩を竦める。
『あの子』というのは部屋の中央にある骨組みの飛行機のことだろう。
「たとえビリでも良いから…。あはは、こんな事言ってたら、甘っちょろいわぁ!って言われそうやな。あははは…は…。」

彼女の乾いた声がガレージに消える。
どう言葉をかけるか八神は迷っていたら、鮎が落花の肩を優しく叩いた。
そのまま先ほどと同じく、指をポスターに向ける。
「ほら、ラッカちゃん、一番下を見て。」
クエスチョンマークを浮かべる落花はリスの様に小首を傾げ、大き目のポスターの下にあるのはごちゃごちゃと書かれた大会規則か。
落花は視線をじわじわと左から右へ移る。移動するにつれ、視線は彷徨い、顔は貧血のように青ざめる。
「ね?参加条件は二人で一組なんだよ?操縦士と、副操縦士。」
鮎は一つ目の浮遊する悪魔の如き死の宣告をつげ、肩に掛けられた手は離れた。
それは落花が崩れ落ちたからで、床にひれ伏し「頭→orz←足」の様になっていたりする。
「気付かんかったー……。高所恐怖症はなんとか我慢しようと思ったけど…さすがに分身は出来んわ…」
テニス部に入らんとあかんかー…空ならアクロバットはやろうと思えば…などとぶつぶつ揚々なく何やら言っているが正直怖かったりする。

「搭乗者は免許とか持ってないと駄目なのかな?」
(言ってしまった…。無意識に。)
その言葉を受けて落花は顔を上げた。
彼女の顔は豆の電動ガンを喰らった鳩の様に呆けた上、ぽかーんと口をだらしなく開けている。
左蔵は何も言わずに深く椅子に腰を掛け、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべながらカップに口を付けていて、鮎なんかは必死に笑いを堪えていたりする。剣信は相変わらずの無表情だが少し心配そうだ。
(あー、もう仕方ないだろうが。このまま放って置くのは男としてどうだ。うん。)
「いえ、レース中はスポンサーが制空権を買い占めた、とかなんとかで免許は要らないってゆーてましたが。」
「なんじゃそりゃ無茶苦茶な…。でも免許も無いヤツがそう簡単に操れるもんなの?」
「大抵の学生は持ってないですわ。ライセンスは日本では17歳から、アメリカでは15歳からやから。…でも、自宅に小型があって、小さい頃からナイショで乗ってたゆう人は結構操縦出来るさかい。ウチもそんな感じやし。」
「なら平気か…。じゃあ、僕乗ってもいいかな?前から乗ってみたかったし天空橋さんと二人だから、これで晴れて――」
そう言い終わらないうちだ。
「ダメですっ!!!!」
落花は大音声を上げ力の限りで否定する。
顔からはどんどん血の気が失せて、目は大きく開かれ忙しなく揺れ、虚空を彷徨う。
「ダメですっ!!!!」
再び強く否定。落花の表情は硬く強張り痙攣を起こしている。恐ろしいものを見たような、そんな顔で。

「ラッカちゃん、落ち着いて、ね?」
鮎は咄嗟に駆け寄り、糸の切れた傀儡の如き落花の肩を抱く。
ぽんぽんと背中を擦るうちに落花は次第に落ち着きを取り戻し、
「あ……すんません…ちょっと混乱して…。ただ八神さんが嫌で乗せられないという訳ではないんです…。むしろ好きな部類や。二人で乗ると襲われるー!とかやなくてな……ただ、色々あって乗せられないんや。ウチには人のイノチ抱えるゆーのは、重すぎる…。レースがペアなら…諦めますわ…。」
(何か重大な事をさり気なく言われた気もするが…)
彼女はすっかりと消沈。ろうそくの火をふっと吹いて消したような寂しさが漂う。

八神は目を閉じ頭を振り肺腑から大きく長く息を吐き出した。
びくりと落花は萎縮する。呆れられたとでも思ったのか。
(違うよ……)
胸の中でそう呟き、心のスイッチを入れてから目を開く。八神の瞳には意思の光が強く宿っていた。

「操縦士は僕だ!」
高らかに八神は叫び、勢いは殺さぬまま立て続けに、
「免許が要らないなら僕だって出来るよね?…天空橋さん?」
落花はヒマワリの種をぶつけられたハムスターの様に何が起こったか解らないという表情をしているが、なんとか声を絞り出し、
「確かにだいじょぶです…やけど、さっきも言った通り二人で乗るのは…ウチ…」
それでも視線を合わせずに目は地面の木目をなぞっている彼女。
だが、その彼女の声は破られることになる。鮎によって。
「副操縦士はボクだっ!ってゆーかミコト、操縦代われー!!」
(あはは、やっぱりな…)
鮎は今頃天に浮かんでいる太陽の光なんか見劣りするほどの輝かしい笑顔。

「は、はぇ?」
油揚げを齧ろうとしたらそれはロウで出来た展示品だった子狐の様な、驚きの局地の顔をする落花に、八神は告げる。
「クルーは集まりましたよ。あとはオーナー、天空橋さんの御心のままに。」
先ほど大食堂に居た執事セバスのように、静かに片手を添えてやうやうしく一礼する。
(ん、ちょっとキザだったかな。)
落花といえば目を白黒させてわたわたと手をばたつかせている。飛ぶ気なのだろうか。

「な、なんで皆さんはウチのためにそんな…」
(よし、ちょっと驚かせてやろう。)
八神はにやにやしそうなのを自制しつつ、高らかに宣言。

「えー、おほん。覇道高校、新撰組!今回は飛行機同好会の助太刀をいたします!」

「え…ええーっ!?」
大仰に仰け反り、大きな目をこれでもかと限界突破並に開き驚愕する落花。
未だ紅茶を吟味していた左蔵は顎に人差し指の背を当てて、ふむ、と言い、
「承知。」
短く、だが力強く答えてくれた。
剣信は無言のまま、こくり、と首を立てに振り肯定。
落花はかくかくと末期のハムスターみたいに震えながら、八神と左蔵、剣信、そして鮎をゆっくりと順に見つめて、
「あの…ひょっとして新撰組の方たちで?」
「正式隊員はそこの八神一人。我輩等はアルバイトの様なものだ。」
「…そうだ。」
「ボクはあまりにもミコトが頼りなくて不甲斐ないから手伝ってるのさっ!って痛っ!」
八神は落花から見えない様に鮎を小突いてから、

「僕らは困ってる人を捨て置けない、そんな偽善な迷惑集団です。もしよかったら、手伝わせてもらえますか?」

すっと手を差し伸べた。










△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

【あとがき】

雪都「恋のまじないー♪」
舞鬼「みくるビーム♪」
雪都「かけてあげるわー♪」
舞鬼「Come on let's dance♪」
雪都「Come on let's dance♪」
雪都&舞鬼「maybe♪」
舞鬼「涙を拭いてー♪」
雪都「走り出したら♪」
舞鬼「Come on let's dance♪」
雪都「Come on let's dance♪」
雪都&舞鬼「maybe♪」
舞鬼「空の彼方、へー(裏声♪」
雪都「すぺしゃるじぇねれいしょんー♪」
舞鬼「いつになったら、大人になれるの、かなっ?(台詞」
雪都「恋のマジカル♪」
雪都&舞鬼「みっくるんるん♪」


舞鬼「はぁー楽しかったー!」
雪都「(死にてぇー…)」
テーマ:連載小説 - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第三幕~  
2006.07.06.Thu / 05:19 
何か嬉しい事があったのかと問いたくなるほど異様に晴れ渡っている空。
遥か高みには一匹のトンビがひゅーろろと暢気に鳴き、悠々と泳いでいた。
八神たちは大食堂から出た後、校庭を横断、部室棟を外れ、功刀林を抜けて、今は鬱蒼とした山を歩いている。
二人が手を繋いでやっと覆えるくらいの太い幹、先端が見えないほど背が高い針葉樹林が茂っていた。

「ずいぶん遠いんだね…」
「あはは、そうなんですわ。先輩方、歩かせてしまってすんません。バスは暫くないんですわ。」
「いや、気にしないで。まったく構わないよ。」
空が晴れてて気持ちも良いし、と八神は体を大きく伸ばし深呼吸。
山の空気はほどよく水気があり、清涼。
独特の木や土の香りが鼻腔を擽る。空気が美味しいとはこの事を言うのだろう。
車の音も、学校の喧騒もまったく聞こえない不思議な気持ちもする中、一同は山肌に引かれた一本のアスファルトの道を各々踏み鳴らす。
なかなか角度もあるが、それは山なので仕様が無い。
「うぷ…きぼちわるい…」
風雅を謳歌していた八神の後方から呻きが聞こえる。鮎だ。

机上に臥していた鮎を、「大方、エクレアを咽喉に詰まらせたのだろう。…いつから?はて、半時ほど前だったk…」と言った左蔵を八神が叩き倒した後、八神と剣信(すっかり鮎のことを失念していたらしい)の二人が背中を擦ったり両足を掴み上下に振ったりやなんやらで何とか蘇生させて今に至る。

剣信は負い目を感じているのか、満身創痍の鮎を背負っていた。
鮎は剣信の肩に顎を乗せ三白眼で空中を睨んでいる。
「エクレア怖い…」
「ほう新手の落語かね。此処らで一杯、アイスレモンティーが怖い。はっはっは。」
「うっさいー、しねー…」
いつもの元気が出ないらしく、鮎は左蔵を眇め、何かを投げる仕草をするが徒手空拳なので左蔵には害一つ無い。
「…頼むから動かないでくれ。」
だがその鮎を背負っている剣信には効いているようで、鮎が動く度にバランスが崩れ、たたらを踏む。
困っているような泣き出しそうな表情を浮かべつつ、だ。

「に、賑やかですなぁ…」
「…よく言われるよ。」
八神は先ほどから、とてとてと静かに付いて来るナコトを見つめ苦笑。
「やがみ。どした?」
「ううん、なんでもないよ。ナコトが大人しい良い子だな、って。」
「…あり。がと。」
消え入りそうな鈴の様な声で、頬を淡く朱に染める。

「そろそろ見えてきましたでー。」
落花は道の真ん中でぴたりと歩みを止め、90度右へ回れ。
弾んだトーンで指差す先には、三人が横に並んだらいっぱいいっぱいな道幅の獣道が続く。
示されるその先には乱立した木々の葉に阻まれる中、辛うじて小屋が見えた。


      ■       ■       ■


「へえー、こんな所があったのか…」
踏み固められた獣道を抜けると、左手には切り立った山肌を背に小屋が。右手には大きな広場がある。
広場には木々は一本もなく、薄茶色の地肌だけの空間だった。
地面には傾斜が無い。恐らく人工的に切り開かれた場所だろう。
野球なら優に出きるくらいの、まっさらな地面が続く。
「えへへ、ウチも結構気に入ってますねん。ささ、みなさんこちらですー。」
短く切りそろえられた金色の髪を風に靡かせ、落花が軽やかにステップを踏み、小屋へと向かう。

その建物は近くで見ると、小屋、というよりは大きなガレージの様だった。
太い丸太が積み重ねられて作られており、まるでちょっとした秘密基地だ。
ガレージのシャッターは開け放たれていて中の様子が伺える。
天井は中々高く、二階建てほどの高さがあるが吹き抜けになっていて、二階部分には外周に沿って足場なのか廊下だけが組まれていた。
「ささ、何にもないところですがー」
落花はガレージ一階の奥へと進み、木のテーブルへ八神たちを案内する。
木を輪切りにした円形のテーブルで十人は腰を掛けれる大きなものだ。
「中は結構大きいんだね。」
八神は周囲を見回す。
一階のあちらこちらには何だか解らない機械の部品の山、そして中央には骨組みの飛行機が一機ある。
天井にはランプが幾つも下げられており、そのランプ群を縫うように飛行機の模型が同じく吊るされている。
壁には設計図やら地図、飛行機のポスターなどが張られていた。
落花に勧められるまま、八神は木製のチェアに着く。
同じく「ほー」とか「なんかのアジトみたい!」などと言いつつ、左蔵、剣信、剣信から降りた鮎、ナコトの四人が席に座る。

「安っすい紅茶しかないんですけど、よろしかったら召し上がってください。」
クロスが敷かれたテーブルの上にガラス製のポットが置かれていて、黄金色の液体が占めている。
落花はポットを手に取り、同じくペアらしきデザインのガラスのカップのセットを五式、壁際にある食器棚から出し、こぽこぽと注ぐ。
控えめに金で装飾されたガラスのカップは氷のように透明に澄んでいる。
「ありがとう。いただきます。」
「すまないね。」
「ぅー、ありがとー。」
「…有難う。」
「どうも。」
全員に紅茶が行渡り、一息。
「さ、どうぞ。」
落花の言葉でお茶会が開かれた。
誰からともなく口を付け、そして感嘆の声が上がる。
「ほう、これは美味だ。」
左蔵が珍しく感心した口調で褒める。
確かに香りは薫り高く芳しく、舌当たりもまろやかで砂糖やミルクを入れなくても美味しく飲める。
死にかけだった鮎もちびちびと飲んでいて「生き返るー」などと言っていた。

八神はカップを置き、先ほどから思っていた疑問があったので聞いてみることにした。
「天空橋さん、ここ部室だよね?部員の人は…」
「あはは…部員はウチ一人だけですねん。」
「…一人なの?」
「はい、元は飛行機研究部やったんですけど、去年の三年生方で最後だったらしくて…。廃部になろうかー!って時にウチが入部したんですわ。」
「ふむ、それで同好会、と言う訳かね。」
「その通り、です。ま、学校も大らかで、一人でもやってええ、って言ってくれてますさかいな。気楽にやらせてもろーてます。」
落花は両腰に手を当て、かっかっか、と豪快に笑う。

「そういえば自作飛行機ってさっき言ってたけど…一人で作ってるの?」
八神が驚きの顔で聞くと落花は得意げな顔で鼻を鳴らす。
おもむろに席を立ち、ガレージの中央にある骨組みの飛行機を指差した。
「あれですか?もち、ウチがやってます。…さすがにエンジンは出来合いのをつこーてますけどね。」
苦笑いで頭を掻きつつ着席し、紅茶をに口をつける。
「テスト飛行…とか言ってたけど、それはどこにあんの?」
「あ!」
なんとか回復した鮎が胸を擦りつつキョロキョロとガレージを見回す。
八神はそれを思い出し、
「あの飛行機回収しないと!」
飛行機が緊急着陸した後、操縦席から落花が飛び降りてきて「大丈夫ですか!?駄目ですね!!保健室へ行きましょう!!行きましょう!!」とこちらを肩で背負ってきたのだ。
宥めるのを必死で忘れていたが、あの飛行機は未だ丘の上だ。

「あー、丘のですかー?」
落花はけらけらと笑い、
「大丈夫です。キーは取っておきましたから。盗まれる心配はありません。」
そう言って皮ジャケットの胸ポケットから銀色の鍵を取り出した。
「別に故障も無いですから放っておいてもバクハツしませんしー。」

あれ?
八神は疑問顔になり、落花にもう一度尋ねる。
「…故障で墜落したんじゃないの?」
「あっちゃー、言ってませんでしたっけ…」
梅干を噛み潰したような顔で落花は答える。
言ってもええんかなー、んー、どうしよかなぁー、などと暫く声に出しつつ熟考する彼女。
答えが出た様で落花は神妙な顔つきでテーブルに体を乗り出す。
秘密ですからね、と前置きするので、こちらも緊張が移り固唾を呑む。


「実は………ウチ、高所恐怖症ですねん。」









▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

【あとがき】

雪都「その頃のマイオニーは!」
舞鬼「アメリカ大陸を馬で横断してるよ!」
雪都「ちげーだろwww」
舞鬼「果樹園から出れない件」
雪都「じゃあ、もう本編に出なくてもいいか」
舞鬼「そこの男!失礼(し・トゥ・れい)ィィィィィ~~!」
雪都「ん~~!!…なかなかオモシロかった。かなり大爆笑!」
舞鬼「パクんなー!」
雪都「お前のギャグじゃねぇしwwwww」
舞鬼「マジか!」
雪都「つか、お前のキャラが解んなくなってきた…」
舞鬼「まぁ、元気出せよ」
雪都「よく会長になれたよな…これで…」
テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第二幕~  
2006.07.05.Wed / 04:02 
八神は後方から飛行機の車輪が大地に接触する音を聞いた。
皮のソファーを指で擦った様な甲高い摩擦音が鼓膜を震わせる。
「ぅゎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!」
巨大なプロペラが風を掻き分ける中、半狂乱の操縦士の声が迫る。
八神はナコトを再び見た。
彼女は硬く目を瞑り、先ほどと変わらない格好のまま草原へとうつ伏せている。
その姿には怯え一つない。
(信じてくれてるのか…。それとも事態を把握しきれてないか…。…前者だったら良いな。)

『魔道書』であるナコト(勿論知る人はごく少数の極秘事項だ)は図書委員会長と厳重な約束を結んでいる。
それは、
(魔法を一切使わないこと、か。)
それが大前提としてナコトは一生徒として暮らすことが許されている。
当然破れば元の図書室暮らしへ戻ってしまうだろう。
真面目なナコトは厳格に約束を守っているが、もし何故か慕っていてくれる僕に危険が起こったならば…多分、魔法を使う、と思う。
(こんな事じゃ駄目だ…。折角ナコトは自由になったんだ。また隔離の生活になんて戻らせはしない!)

八神は中腰で低く屈んだ姿勢で立ちあがる。
そのままナコトへ向かい走った。
「え。」
よく解っていない声を上げるナコトの腰を掴み、なんとか片手で拾い上げる。
(間に合えっ!!)
大地を踏み抜く心持で八神はナコトを抱えたまま身を投げた。
半回転し、自分が下となり地面に背から着地する。
刹那、先ほど八神が位置に車輪が轟音を立てながら通過。
二枚翼の影が二人を包み込み、そして再び陽光が差す。
「助…かった。」
クラシック型の飛行機は芝を巻き上げつつ惰性で100メートルほど丘を走り、そしてゆっくりと停止した。


           ■      ■      ■


「ふむ…遅いな…」
覇道高校大食堂。左蔵たちは先ほどと同じテーブル、同じ椅子に腰掛け、当然同じ位置に居た。
オールバックの青年、左蔵が左袖をまくり銀色の時計に目を移す。
三時半。
三時には八神、ナコトと合流。お茶会がてら会議の予定だったのだが――
「来たぞ…」
ずっとコーラが入ったグラス(コーラは底に沈殿し、氷は溶けて二層に分かれている)と睨めっこしていた剣信が立ちあがり、小走りに席を離れた。
その先にはナコトと飛行服を着た人物、そしてその二人に肩を担がれている八神が居た。
剣信はその一団となにやら一言二言交わし、ひょいと八神を背負う。
なにやらじたばたと暴れている八神だったが観念したのか大人しくなった。



「大丈夫だ、って言ってるのに…」
剣信の背中から降りた八神は木製の椅子に背中を預けため息と共に苦笑する。
「して、どうしたのかね?」
左蔵は八神とナコト、謎の飛行士と順にみつめて問うた。
「えと、それはウチが…」
その中の飛行士がすっと立ち上がる。
ゴーグルをしていたのでいまいち解らなかったが、まるで今気付いたように(実際今気付いたのだろう)ゴーグルを外せば女性だった事が解る。
日に焼けた肌に金髪がよく似合っている。髪は恐らく天然だろう、両目が鮮やかな空色をしていた。
背は高くもなく、小さくなく、と言ったところか。

「お嬢さん、尋問し様と言う積りではないから席に着いて構わんよ。座りたまえ。」
左蔵は右手をおもむろに掲げ、指をぱちんと鳴らした。
するといつの間に控えていたのか、銀髪の初老の執事が現れ、盆には飲み物が三つ置かれていた。
「お紅茶で御座います。」
その執事は慇懃に飛行服の女性の前に紅茶を差し出し、
「八神様はメロンソーダで御座いましたね。」
「あ、すいません、セバスさん。いつもいつも。」
「勿体無いお言葉。」
セバスと呼ばれたどう見ても日本人の執事は陽だまりのような笑顔で頭を下げる。
「ナコト様はホットミルクで御座います。」
「あ。ありがと。」
「よし、下がれ。」
「はっ、坊ちゃま。」
セバスはカツン、と靴の踵を合わせ一礼。
そのまま食堂の出口へと足音も立てずに退室する。

飛行服の女性は金魚のように口をぱくぱくと開閉。
「…気にしちゃ駄目です。」
八神は達観を含んだ表情で微笑みつつ、メロンソーダへとストローを差し込んだ。
「は、はい。えと、どこまで話たんかな…」
まだ手にしていたゴーグルを外し、羽毛がついた耳垂れ付きの飛行帽を脱ぎ、テーブルへと置いた。
「まだ何も話してないよ…」
ぼそりと呟く八神に飛行服の女性は礼を言い、そして話し始めた。

「ウチ…じゃなくて…ワタシは…」
「自然体で話して構わんよ。」
「あ、はい、すんません。ウチは一年の天空橋・落花(テンクウバシ・ラッカ)言います。飛行機同好会の部長してますん。」
「一年で部長、それはまた。」
「あはは、不甲斐ないですが…。それでですね――」
落花と名乗る部長は独特のイントネーションでとつとつと語った。
「今日は自作飛行機のテスト飛行でしたん。天候の心配もなく、絶好の日和だと思たんです。せやけど…途中で調子が悪くなって…緊急着陸しましてん。その時、八神さんを…その…轢きそうになってしもうたんですわ。えろうすんまへん!」
がたりと落花は椅子を蹴るように立ちあがり、八神とナコトに向かい何度も何度も頭を下げ、何故か左蔵と剣信にも下げている。

「いや、何度も言うけど気にしないでいいって天空橋さん。」
「やけど…」
「背中はちょっと打ったけど別に痛まないし、もう平気だよ。」
「……えろう、すんまへん。」
もう一度、落花は深く頭を下げる。

「…和解したかね。八神も五体満足な様だ。我輩が言うのもなんだが、そろそろ頭を上げたらどうかね?」
「うん、事故なんだしさ、気に病まないで、ね?」
「はい…すんまへん…。」
「あはは、だから謝んなくていいってば。」
「でも…」

八神は少し困った顔で、メロンソーダに口を付ける。
グラスから鮮やかな緑色の液体が無くなり、からん、と乾いた氷の音が響く。
「そうだ、じゃあ、部室見てもらっても良いかな?飛行機って近くで見る機会あんまないしさ。その見学料でチャラってことで、どうかな?」
「え、そりゃもちろん構いませんけど…そんなんでええんですか?」
「うん、興味あるし。みんなはどうする?」
「では、我輩も同行するとしようかね。」
「俺も行こう。」

左蔵と剣信の同意が得られた。
落花は机に置いたゴーグルと帽子をベルトに掛かったポーチの中に収めて、
「それでは皆さん、行きましょか。」
「あ、ちょっと待ってくれる?」
八神は先ほどからちらちらと視線を送っていたほうに今度はしっかりと狙いを定め、疑問をぶつける。

「そういや、なんでさっきから鮎は机に突っ伏したままなんだ?」







△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

【あとがき】

雪都「すぐ終わる予感だったんだけど…これはまた長くなる…かも?」
鮎「あれ!?ここどこ!?」
雪「三途の川です。お前はもう死んでいる。」
鮎「あ、思い出した!ボク、エクレア食べてたはずだよ!」
雪「うん。だから。」
鮎「死因がエクレアなんて嫌だぁ!」
雪「正確にはワサビエクレアと普通のエクレアとのコンビネーションにショック死」
鮎「うわぁ…ボク的情けない死に方ベスト10に入りそうだよ…」
雪「ちなみに一位は?」
鮎「エロゲ屋の前に徹夜で並んで凍死」
雪「それは…」
テーマ:連載小説 - ジャンル:小説・文学
覇道高校、新撰組! ~真昼の星 第一幕~ 
2006.07.03.Mon / 04:13 
相変わらず底が抜けたような蒼さの空の下、一人の男と一人の女が歩いていた。
歩く大地は道なき道。一面のまぶしい位の新緑の丘だ。
視界一杯には水色と薄緑色だけの光景が広がる。

男は歳が十代後半だろうか、ボブカットを少し短くした髪型。
中性的な顔立ちで学生服を着込んでいる――八神・命(ヤガミ・ミコト)だ。
八神はおもむろに立ち止まり、高い空をぐるりと仰ぐ。
首を精一杯起こし真上を見つめている。
そのまま腕を肩の高さで水平に伸ばし、ゆっくりと後方へ反れて――とすんと音を立て倒れた。

「あっ。」
それに気付いた女性が声を上げ小走りに八神に駆け寄った。
肩辺りで切りそろえられた髪は太陽の光を浴び濃い紫色を反射する。
前髪だけは長く伸ばされ両目が隠れていた。
八神よりも背が高いが、挙動などが弱弱しく感じられ、どこか小動物を髣髴とさせる。
制服の胸の部分に付いた校章とタイの色から八神と同じクラスであることが伺えた。

「大丈夫?」
その女性、ナコト=ミコテン=ルルイエがスカートの裾を軽く押さえつつ、倒れた八神を上から覗き込む。
「駄目かも…。こんな天気が良いんだ。寝転びたくて仕方ないー。」
八神は四肢を突っ張り、大の字になり草原へ身を預ける。

二人は覇道学園の敷地内にある大学病院からの帰りである。
あまりにも広大な敷地ゆえ電車やバスが通っているのだが、稀に見る快晴なので散歩がてら最短コースから外れ、丘へ寄り道に来たのだ。
何故病院へ行ったのかというと…先週の『本』を巡る騒動(犯人はナコトなのだが)、それに巻き込まれた被害者、黒魔術部の女の子の見舞いだった。
多少衰弱はしていたが、記憶障害も無く、すぐに退院出来るとの事だった。
彼女に総て、洗いざらいの事の顛末を告げたところ、
「わ、わたし魔法を使ってたんですか!?はうー、夢だったんです!!もっと詳しく教えてください!」
謝罪なんていりませんから詳しく、とにかく詳しく、と詰め寄られ見舞いに行く度話している気がする。
ナコトも低姿勢でぺこぺこ謝っていたが、どうも魔術部の子は点で責める気は皆目無く、むしろ友達になってください!と詰め寄られていた。

(大らかな子で良かったな…)
と八神は思いつつ、草原に吹く風を肌に感じる。
ナコトも八神の横に恐る恐る腰を下ろし、足を抱えて体育座りの格好で空を眺めている。
周囲360度から草ずれの音が波のように寄せては引き、また寄せて来る。
八神は視界を埋める青空を見つつ、空から海を見下ろしている様な錯覚に陥る。
目を瞑れば春の優しい息吹が肌を撫でる。
「もう溶けちゃいそうだな…。」
「だめ。とけちゃ。だめ。」
「もう駄目だー溶けるー。」
「あー。あー。」
真顔で慌てるナコトを見つつ、少しからかい過ぎたかなと思い、腹筋だけで上体を起こす。
大丈夫だよ、と言おうと口を開きかけたときだ。
耳元で羽虫が飛ぶような音が聞こえたので、八神は手で払った。
「ん?」
ぷーん、という甲高い音は定期的に聞こえている。
音は一向に遠のく事はなく、むしろ近づいてきているように聞こえる。
「虫じゃないのか…」
「ヤガミ。あれ。」
ナコトは空を見つめたまま、空の一点を指差している。

八神は指された方向に顔を向ける。
青色のキャンバスの中、一つの黒点が浮かんでいるのが目視できた。
「UFOじゃないよね。」
「ん。わからない。」
どうやらその黒点から音が来るらしい。
黒点は時が経つごとに徐々に大きくなり形が顕になってくる。
それは一見鳥のように見えたが、確実に何かが解った時には納得よりも驚愕が先に来た。
プロペラが先端に付いたセスナほどの大きさのクラシックタイプの飛行機だった。
翼は上下二段。ガラスの風防の向こうには操縦士が乗っており、手を上げぶんぶんと振っている。
それはもちろん挨拶ではなく、恐らく万国共通、逃げろという仕草で――
「って、なんでこっちに来るんだよ!!逃げるぞナコトー!!」
「うん。」
八神はがばりと立ち上がりそのままノーモーションで脱兎のごとく駆け出す。
背後にナコトがついてくる気配を察知し安堵する。

飛行機はというと、プロペラ音は爆音に近く、すぐ後ろに居ても可笑しくはない。
いつの日だったか、巨大な石が転がり迫ってくる映画を観つつ感じた思いを今行動に!
(こんな時は直角に逃げるんだっ!)
八神は一度振り返り飛行機の位置を確かめ、飛んでくると思われる直線上から直角の方向へ向かい、
「伏せろっ!!」
耳を覆いたくなる程のモーター音に阻まれ、聞こえないかもしれないが、出せる限りの精一杯の声で叫ぶ。
八神は着地のショックなど念頭にも入れずに草むらへ飛び込んだあと、後方を首だけ曲げるとこで確認する。
自分のすぐ近くの位置にうつ伏せに伏せるナコトの姿が見えた。
ほっと一息ついてから飛行機を探すと、すぐ見つけることが出来た。
なぜならプロペラが轟々と唸っている機首が視界をいっぱいに埋め尽くしていたから。
確かに直角へ避けたはずなのに、だ。

八神は顔だけ上げ、操縦席に座っているパイロット――両手の手のひらを合わせぺこぺこと泣きそうな顔で頭を下げている――に怨みの視線をぶつけ、ぱたりと力なく地面に頬を付ける。
「飛行機に轢かれて死ぬとか…やだなぁ…」
人間死期迫ると自然に手を組み神に祈るのかと自覚し、固く目を瞑った。


        ■        ■        ■


放課後の食堂は中々に込むものだ。
飢えにより餓鬼と化した生徒の喧騒の中、深山・左蔵(ミヤマ・サクラ)は思った。
授業は既に午前で終了している。
シルバーを基調にしたシンプルな腕時計は午後三時を示している。
午後三時。古風に言えば八つ時。すなわち――おやつの時間。

「甘味を前にすると女の戦闘力が上がるのではないか、と思うのだが。橘よ。」
「…そうだな。」

覇道学園は全体的に祭り気質の風潮がある。
行事には死力を尽くすのが覇道スピリッツというらしいが、今もまたその覇道スピリッツが迸る時間らしい。
大食堂――っと言ってもそこら辺のレストランよりは数段上等なレベルである――では毎日三時に戦争が起こるのだ。
レジを兼ねたカウンターは生徒らが発する熱気で歪んで見えた。
その修羅のオーラ漂わせる生徒らは、主に女生徒で構成されている。
左蔵はそれを見つつ、視点を上へと移動させると垂れ幕が見えた。
それにはこう書いてあった。

『デザート半額タイム ~君、糖尿になることなかれ~』

再び視線を下げ、女子の坩堝へと戻る。
「お、川原が一人の婦女子を屠ったな。腰が入った良い蹴りだ。」
「えっ…。」
左蔵の横に立つのは高身長で体躯がしっかりとした橘・剣信(タチバナ・ケンシン)だ。
あまり変化が見れない表情だが、親しい左蔵には一気に顔色が悪くなったのが解った。
「ははは、冗談だ。」
剣信はほっと安堵の表情を浮かべる。
「いやなに、往く手阻むライバルのストマックに拳を叩き込んで昏倒させただけだ。」
再び剣信の表情から血の気が失せる。
「…俺らには無理だな。」
「同じく。我輩もそう思う。」
二人は示し合わせたように片手に握られた紙切れを見つめる。
『生徒会用特別食券』


        ■        ■        ■


『本』騒動の翌日。屋上の一角。
多くの生徒らの中で花壇付近に固まるグループがあった。
シートの上に広げる弁当は空。昼食を終え、残りの時間をゆったりと消化している、八神、鮎、左蔵、剣信の四人だった。
特にいつもと変わらない、取り留めない時間。ふとした会話と会話の間の沈黙に八神がすっと立ち上がった。
「昨日は、ホントありがとう。みんなが居てくれなかったら、きっと…いや、絶対解決は出来なかった。」
「ど、どーしちゃったの?ミコト?」
鮎は八神を見てから、左蔵と橘に、そしてまた八神、と落ち着きなく交互に見つめる。
左蔵はそれに対し肩を竦め、剣信は首を横に振り答える。

八神はようやく頭を上げてから、三人を見つめる。真剣な目で。
「折り入って頼みがある。聞いてくれないか?」
鮎と左蔵、剣信の三人も表情を引き締め一度頷く。
ありがとう、と八神は言い、
「頼みは…これからも手伝ってくれると嬉しい、という事。みんな部活があり忙しいのは解ってる。我侭だとも解ってる。でも、これから昨日の様な事が起こらないとは言えなくて…。悲しいけど僕は非力だ。力がない。勿論全力で頑張るけど…困ったときはまた力を貸して欲しいんだ。頼む。」
八神は深く頭を下げてから、また上げ、そしてポケットから紙切れを数枚出した。
「これは生徒会や生徒会補佐の新撰組の手伝いをすると貰える特別な券で、一日だけ学食がフリーパスになるんだ。あ、内緒なんだけどね…。で、この券が御礼として支給されるし、どうかな?」
「ボクはダンコ手伝うよ!!フリーパスと聞いて引き受けないヤツがいるかぁ!!」
「…俺も手伝おう。」
鮎は満面な笑顔で快諾して、息巻いている。
剣信も穏やかな表情で八神を見つめて引き受けた。
左蔵は…
「八神、我輩は断る。」
左蔵は弁当を片付け、立ち上がった。うんざりとした顔で、だ。

「ちょっと…サクラ!」
鮎が屋上に響き渡らんばかりの抗議の声を上げる。
「待ちなよ!ミコトが困ってるんだよ!それを見捨てるの!?」
屋上に静寂が訪れる。無音に耳を傷めたのか左蔵が顔を顰める。
「…我輩は生徒会には興味がない。では、失礼する。」
「そっか…左蔵は忙しいよな…ごめんな、無理言って…。」
八神は苦笑いをし、悪かった、と頭を下げる。
左蔵は何も言わずに踵を返し、階段と歩みを進め―――ふと立ち止まる。
「食券などで釣らなくとも、我輩は問答無用で手伝おう。たとえ断られようとも、手伝おう。」

「……ありがとう。」
再び左蔵はくるりと振り向き、八神が頭を下げたのを見、
「礼は要らぬ。水臭い。」
眼鏡の奥にある鋭い両目が細められる。
ふと剣信を見ると無表情の中にやさしさを湛えている。
(橘の事だ。最初から解っていたのだろうな。)

そして川原へと向き直ると、
「…じゃ、左蔵の食券ちょうだいね。いらないみたいだし。」
八神に対して交渉の最中だった
「川原!折角我輩が『友情は見返りを求めず』という名言、いや、名場面を見せてやったというのに貴様という輩は!」
「うっさいバーカ!ボクだってこのメンバーの為なら無償で手伝うよ!でもどうせ貰えるなら貰ったほうが良いじゃん!?」
「そういう問題ではないのだ!」
「どういう問題だよ!?浸透圧なの!?」
「先ほどの授業で仕入れた知識をさり気無くひけらかすな!」
 
周囲には次第に雑談が再開された。
八神は「また2-Dか」とか「またあいつ等か」など声が聞こえたが不思議と恥ずかしくなかった。


        ■        ■        ■


左蔵は眼前に広がるエクレアの山とその山を恋する乙女の表情で削岩にかかる鮎を見つつ、コーヒーカップを口に運ぶ。
大学食の食事スペース。
中世ヨーロッパの城を思わせる内装で、天井は高く、壁一面に微細かつ精密精巧な絵が描かれている。
シャンデリアと白いシーツが引かれた遥か遠くまで伸びる長大なテーブルに鮎、左蔵、剣信は着いていた。
「八神がもうそろそろ帰る頃だな。」
左蔵はボーンチャイナの様な光沢を持った白磁のカップを置く。
「…そう…だな。」
剣信は氷が詰められ結露が起こっているコーラのグラスを見つめている。
口元を手で覆っていて、視点をずらそうともせずにただただコーラの泡を見つめている。
恐らく――
彼の正面、無言でスイーツを頬張っている鮎を見たくないのだろう。
見ただけで口の中が甘くなり胸焼けを起こすからだ。

左蔵は鮎を一瞥。
「まったく、そんな小さい体の何処へ入るのかね。」
鮎はぴくりと止まるがそのままエクレアの攻略に取り掛かる。
「僅かでも良い。背丈や胸囲、臀部、加え脳内に、とりわけ脳内に栄養が行渡らん事を。」
がたんと立ち上がった鮎は顔に青筋を浮かべ、優雅にコーヒーを嗜む左蔵に指を指し、
「むががーががうーがー!」
「…左蔵様最高、かね。そんな事は言わなくとも通じているよ。はっはっは。」
「うががー!うがうー!…もがっ!?」
口にハムスター如くエクレアを詰め込み、頬をぱんぱんに膨らませた鮎の顔色が赤くなる。
「おや?」
なにやら鮎がきょろきょろとテーブルを見回し、一点に止まる。
それは空になったアイスレモンティーの切り子グラスだった。
「うー!うー!」
「当たりかね?」
「う?」
「いやなに、多少エンターテイメント性が欲しいと思ってだね。そのエクレアの中に一つ、練りワサビを丸々一本入れたものがね――」
そう言いつつ、テーブルに置かれた三枝のキャンドル台の元から下ろし金と生ワサビの頭の部分が取り出される。
「安心したまえ。この時のための産地直送だ。チューブではないからな。はっはっは。」
「うーーーー!!!」
「待ちたまえ!そのエクレアは投擲用ではない!中からカスタードと生クリームが出るではないかね!」
「うーーーーーーー!!!!!」

剣信は未だ口元を手で覆い、氷が溶けきったグラスを凝視していた。
「命…早く…帰ってきてくれ…」
小さな声はすぐ横で騒いでいる二人によってかき消された。









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【あとがき】

雪都「舌の根乾かぬうちに始まりました新しい章が。」
つらら「まぁ、深くは問わんが…」
雪「いえ、これが僕の処女作ですからね。」
つ「ほう」
雪「それゆえ思い入れも強く、共に歩んで生きたいと思う所存。」
つ「くっ…お前と云う奴はっ…!」
雪(新作も考えてたんだけど、もう少し煮詰めたいからとりあえず話を決めてた覇道の続きを書いた、なんて言えないしな)
つ「…なんだと?」
雪「ナニモイッテマセンヨ?」
つ「御堂流読心術を甘く見るな!成敗!」
雪「ちょwwwwwwwなにそれwwwwwwwつかやめてwwwwwwww」
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

プロフィール

雪都

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condition:神様、ゲームを最後まで続ける力をください

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